新しいiPod shuffleの分解記事が、あちらこちらで公開され始めました。部品点数の少なさもありますが、使用されたネジが1つというところがステキですね。神は細部に宿るといいますが、Appleというか某立方体の頃から、美しい製品では神は内部に宿る傾向にあるようで……。
さて、今回は「Live Mesh」について。かつてメディアがWin vs Macの二項対立という図式で煽った名残か、Microsoft社製品に好意的でないOS Xユーザは多いようだが、それではあまりに惜しい。視野狭窄に陥らないためにも、ここに紹介するLive Meshというオンラインサービスを通じ"食わず嫌い"を悔い改めていただきたい。
Microsoftの「Live」な製品たち
Microsoft製品の動向に疎い読者は少なくないと思われるため、Live Meshの紹介に入る前に、最近増え始めた「Live」と名が付くサービス群について、そのコンセプトをかんたんに説明しておこう。
同社が「Live」の概要を発表したのは、いまから3年以上前の2005年秋。それまでのソフトウェアとライセンスの販売に大きく依存してきた収益構造から、各種オンラインサービスを収益の柱として加えるべく打ち出した戦略だ。それまでもオンラインと連動するサービスは存在したが、「Live」では従来Windows向けに提供してきたソフトウェアとWebとを有機的につなぐことを目指している。サービスの原資を広告に求めている点からも、単純なソフトウェアのオンライン化ではない様子がうかがえる。
モバイル機器などWindows以外のデバイス向けにサービスを提供することも、「Live」のコンセプトに含まれている。Macも例外ではなく、Office for Macも「Live」に組み込まれるアプリケーションだと言っていい。Office書類をオンライン上に保存 / 共有できるストレージサービス「Office Live Workspace」に対応するMac版クライアントとして、近々「Microsoft Document Collaboration Companion for Mac」のβ版がリリース予定であることは、その1つの例だ。
「Live Mesh」をOS Xで使う
「Live」のコンセプトがMacユーザに影響をもたらすとすれば、その世界観が受け入れられてからだろう。AppleはiWork '09で「iWork.com」という共有サービスを提供しているが、これから紹介する「Live Mesh」の機能を知れば、スケールの違いに気付くことと思う。
まず、デバイスが並列の関係にあるということ。PC (Mac / Windows) や携帯電話などのデバイスをLive Meshのサービスに登録しておくと、写真をアップロードすれば自動的に登録済の全デバイスへ配信される。登録されるデバイスのオーナーは、Windows Live IDのアカウント (無料登録可) を保有し、ローカルでLive Meshクライアントを動作させている必要があるが、あとは全自動でデータが同期されるという仕組みだ。
たとえば、MacをLive Meshに登録しておき、クライアントを動作させた状態で所定のフォルダへWord文書を保存すれば、自動的にLive Meshのサーバへアップロードされ、同じLive Meshのグループに登録されたデバイスへと転送 / 同期される (瞬時というわけにはいかないが)。Word文書にかぎらず、JPEG画像やサウンドファイルでも、同期されるまでの流れは同じだ。
Live MeshのMac版クライアントは、Live MeshのWebサイトへWindows Live IDでログインし、トップ画面から「Add Device」を選択、プルダウンメニューで「Macintosh」を選択して「Select」をクリックすればOK。DMGファイルがダウンロードされるので、あとは一般的なアプリケーションと同様にインストールすればいい。起動後にWindows Live IDアカウントでログオンすれば、メニューエクストラからフォルダの作成などの作業を行うことができる。
フォルダを開けば、他のメンバー (Windows Live IDが必要) を招待してコラボレーションすることもできる。1つの文書を共同で作成してもよし、画像やサウンドファイルの共有スペースとしてもよし。いちいち「アップロードしたよ」などと相手に知らせる必要がないうえ、共通のパスワードなどを設ける必要もない。まだ日本語ローカライズは完了していないが、便利に使えること請け合いだ。