「Becky! Internet Mail」。日本発のシェアウェアで高度な機能と使いやすさが魅力。PC上級者にも愛用者の多い定番中の定番ともいえるメールソフト。標準的な画面は標準的な3ペイン構成だが、設定によって横3分割表示なども可能だ

皆さんは、普段どんなメールソフトを使っていますか? Windows XPに標準で搭載されている「Outlook Express」や、Vistaの「Windows メール」を利用している人が多いのではないでしょうか。これらは、Windowsと共にバージョンアップを繰り返してきただけに、普通にメールをやり取りするだけなら充分な実力を持ったソフトです。

しかし、プライベートに仕事にといくつものメールアドレスを使い分けたり、たくさんのメーリングリストやメールマガジンに登録したりと、本格的にメールを活用するようになると、いろいろと不便に感じる点がでてきます。そんな時にぜひ試してみたいのが、今回紹介する「Becky! Internet Mail」(以降Becky!)です。

名称 Becky! Internet Mail
作者 RimArts
種別 シェアウェア
動作環境 Windows 95 / 98 / Me / NT4.0 / 2000 / XP / Vista

メールソフトの大定番

長くPCを利用している人に愛用のメールソフトを尋ねると、真っ先に名前が挙がるのがこの「Becky!」です。ライセンス価格4,200円と決して安いソフトではありませんが、メールソフトに必要な機能はほとんどそろっている上に動作も軽快で、大量のメールを効率よく管理できます。また、日本生まれのソフトなので、ヘルプなどの日本語のドキュメントがきちんと整備されている点や、ユーザー数が多くFAQなどの情報が蓄積されている点も見逃せないポイントです。

多機能なソフトなだけにいろいろと便利な機能が揃っているのですが、その中でも「Outlook Express」と比べて特に「ここが便利!」と感じられるところを中心に見ていってみましょう。

テンプレート機能でメールを素早く作成

メール冒頭の常套句などの定型文書をテンプレートとして登録しておきメール作成時に呼び出すことで、メールを効率よく作成可能。BCCなどのヘッダー情報も指定できる

メールを書く場合、「○×様。いつもお世話になっております」といった感じで、出だしはいつも似た内容になることが多いはずです。こうした常套句の部分をあらかじめ作成しておき、メール作成時に定型文書として呼び出す機能を“テンプレート”といいます。

「Outlook Express」の場合、HTMLメールではテンプレートにあたる機能を利用できるのですが、なぜか一般的なテキストメールでは利用することができません。その点「Becky!」なら、メールの種類にかかわらず利用できるほか、新規作成に返信、転送と作成するメールの種類ごとに異なったテンプレートを設定できるので、効率よくメールを作成できます。

フォルダごとにテンプレートを指定可能

作成したテンプレートはアカウント(メールアドレス)やフォルダごとに異なる内容を指定できるので、取引相手やメーリングリストごとに異なるテンプレートを自動的に適用することが可能

さらにこれらのテンプレートは、メールアカウント別に異なる内容を設定できるのはもちろん、メールフォルダごとに個別指定することも可能となっています。取引先やメーリングリストごとに振り分けた専用フォルダ上でメールを作成するだけで、専用の出だしや署名の付いたメールを素早く作成でき、便利です。

またテンプレートには、宛て先やCC、BCCといったヘッダー情報を設定することもできるので、送信メールをWebメール宛に転送したりといった、さまざまな応用が考えられます。

メーリングリスト支援機能

いくつものメーリングリストやメールマガジンを利用するようになると、久しぶりに投稿したり、いざ退会したくなった時などに必要な情報が分からなくなってしまい、あわててしまうことも少なくありません。本ソフトの「メーリングリストマネージャ」機能を利用すれば、加入時に届いた案内メールを元に、投稿アドレスや主催者のアドレスなど利用に必要なさまざまな情報を、簡単な操作でひとまとめに登録しておくことができ便利です。

メーリングリストマネージャを利用すれば、メーリングリストやメールマガジンの利用に必要な投稿アドレスや管理者アドレスといった情報をスマートに管理できる

メールソフトを備忘録に活用

メール作成時、[ファイル]メニューから[リマインダ]を選択することで、未来の自分にメールを出す感覚で「リマインダー」機能を利用できる。指定日時になると受信箱にメールが入るので、予定をど忘れする心配がなくなる

仕事の予定など、本格的なスケジュールの管理にはカレンダーソフトが便利ですが、見たいテレビ番組の情報などちょっとした予定を登録するには少々大げさ過ぎます。そんな時に活用したいのが、「リマインダー」機能です。指定した日時になるとあらかじめ作成しておいたメールが受信箱に入るので、未来の自分にメールを送るような感覚で利用できます。また、指定日時にメールの編集画面を開いたり、送信箱に送信待ちの状態で入れたりもできるので、自分以外の相手に予定を知らせたい場合や、指定日時にメールを送りたい場合などにも活用できます。

さまざまな可能性を秘めたプラグイン機能

今回は、「Becky!」の「Outlook Express」にはない便利な機能を中心に紹介してきましたが、実は逆に「Outlook Express」や「Windows メール」にはあって、「Becky!」にはない機能も存在します。たとえば、「Windows メール」ではあらたに迷惑メール対策機能が搭載されましたが、「Becky!」には搭載されていません。

しかし、「Becky!」には、「プラグイン」という機能拡張のための仕組みが用意されており、後から機能を追加できるようになっています。愛用者の多いソフトだけに、有志の手によるさまざまなプラグインが公開されており、たとえば「Becky! メールセキュリティ」などの迷惑メール対策機能プラグインをインストールすれば、まるで最初から迷惑メール対策機能が搭載されていたかのような感覚で利用できてしまいます。

「Becky!」は、単独で見ても充分に高機能で使いやすいソフトですが、好みのプラグインを組み込むことで、さらに自分好みの使いやすいツールに仕立てていくことができる魅力も持っているのです。

「Becky!」用迷惑メール対策プラグイン「Becky! メールセキュリティ」の設定画面。「Becky!」には“プラグイン”方式の機能拡張の仕組みが採用されている。迷惑メール対策機能からちょっとした便利機能まで、さまざまな機能を追加して「Becky!」をより便利で自分好みのソフトにカスタマイズすることが可能だ

「Becky! Internet Mail」はシェアウェアですが、30日間無料で試用することが可能です。もしあなたが、今使っているメールソフトにちょっと不満を感じていたり、メールをもっと積極的に活用したいと考えていたりするなら、ぜひ一度試してみることをお勧めします。プライベートにビジネスにと、手放せないソフトになってくれることでしょう。