11月に発売が予定されている「KAOSSILATOR」は電池駆動にも対応し、どこでも使えるコンパクトサイズのハードウェアシンセサイザ。どのような機材か、早速使ってみよう。
ポケットにも入りそうな小型ハードウェアシンセ
シンセサイザと一口に言っても単体で動作するハードウェアシンセ、パソコン上のソフトウェアとしてエミュレートしているソフトウェアシンセがある。ハードウェアとしてのシンセサイザにもいろいろなタイプがあるが、パッとイメージしやすいのは演奏するためのキーボードも装備された、オールインワンタイプのシンセサイザだろう。
つまりハードウェアシンセといえばある程度の大きさがある機材、個人的にはそう連想してしまうのだが、そういったイメージを覆すような製品が登場した。それがKORGより11月に発売が予定されている「KAOSSILATOR」だ。具体的なサイズは106×129×29mm、重量は154gで、手のひら上に載るサイズ。簡単に持ち運べるのはもちろんだが、服によってはポケットにも収まりそうだ。
本体サイズがこれだけコンパクトなせいか、さすがにキーボードは用意されていないが、本体の半分以上をタッチパッドが占めている。演奏はこのタッチパッドを叩いたり、指でなぞって行うのだ。
タッチパッド主体の操作インタフェースとコンパクトな本体、そしてKORGというブランドで、DJ機材に興味がある人は気づいたかもしれないが、KAOSSILATORはKORGのコンパクトなDJエフェクタ「KAOSS PAD mini-KP」とまったく同じサイズ。電源はACを利用することもできるがACアダプタは別売で、基本的には単三電池で駆動する。本体手前にはストラップを通すためのストラップホールも用意されており、屋外やステージ上でライブパフォーマンスに使えるシンセサイザといえるだろう。
指先で音程だけでなくエフェクトもコントロール
まず入出力端子からチェックしていこう。本体背面にはRCAピンのラインアウト端子を1系統搭載、前面にはヘッドフォンアウトを用意している。スピーカーは搭載していないものの電池駆動が可能ということもあり、ヘッドフォンさえあればどこでも使うことができる。
逆に入力端子は備えておらず、またMIDIポートやUSBポートも用意されていない。つまりMIDIキーボードを接続して演奏したり、パソコンからKAOSSILATORをコントロールするといったことはできない。このあたりはシンプルな設計だ。
KAOSSILATORの電源を入れると、タッチパッド左上のディスプレイが点灯する。まずは音を出してみることにしよう。とはいっても非常に単純で、タッチパッドをタップ、つまり軽く叩くことで音が出る。タッチパッドの右側に行くほど音が高く、逆に左側は音が低くなるが、タップするだけでなく指先でタッチパッドをなぞれば音程が連続的に変化していく。
次は音色の変更だ。タッチパッド上部に用意されたPROGRAM/VALUEノブを左右に回すとディスプレイの表示が変わるが、これがサウンドプログラム、つまり音色の切り替えとなっている。KAOSSILATORにはシンセ・リードを始めとしてピアノやトランペットといった楽器音を再現したもの、ドラム、ベース、そしてSE音など、100種類のサウンドプログラムが用意されている。
PROGRAM/VALUEノブを回してサウンドプログラムを切り替える、「a.20」の「a」は「Acostic」の略でこれはトランペット、他に「b」(bass)や「S」(SE)、「d」(Drum)、「P」(Pattern)といったジャンルが用意されている |
基本的にディスプレイの横方向は音の高低のコントロールが割り当てられているが、縦方向はプログラムによってフィルタのカットオフやフィードバック、LFOスピードなどエフェクトのコントロールが中心として割り当てられており、縦横にディスプレイをタップしたり、なぞることで音が変化していく。
この指先でのコントロールは結構楽しいが、単純にひとつの音色を適当に鳴らしているだけではすぐに飽きてしまう。次回はKAOSSILATORに用意されたループレコーディング機能などを使ってみることにしよう。