MSI「K9A2 Platinum」
主な仕様メーカー | MSI |
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製品名 | K9A2 Platinum |
フォームファクタ | ATX |
対応ソケット | Socket AM2+ |
対応CPU | Phenom、Athlon 64 FX-6x、Athlon 64 X2、Athlon X2、Athlon 64、Sempron |
チップセット | AMD 790FX+ATI SB600 |
対応メモリ | PC2-8500/6400/5300/4200×4スロット(最大8GB) |
拡張スロット | PCI Express x16×4(PCIe x16レーン×2のCrossFireに対応するほか、PCIe x8レーン×4としても利用可能)、PCI Express x1×1、PCI×2 |
ストレージ | SATA×6(チップセット×4・PROMISE PDC42819×2)、eSATA×2(PROMISE PDC42819)、PATA×1 |
RAID機能 | チップセットSATA(RAID 0/1/0+1)、PROMISE PDC42819 SATA&eSATA(RAID0/1/0+1) |
ネットワーク | 1000Mbps×1(Realtek RTL8111B) |
オーディオ | 8ch HDオーディオ(Realtek ALC888) |
インタフェース | USB2.0×10、IEEE1394a×2(VIA VT6308P) |
付属品 | Mコネクタ、CrossFireケーブル×2 |
AMDから2007年末のリリースが予定されている次世代CPU「Phenom」。そんなPhenomの登場にさきがけてリリースされたMSI「K9A2 Platinum」は、Phenomへの対応をうたう「AMD 790FX」チップセットを搭載したATXマザーボードだ。なお、11月5日時点において、CPUだけではなく、チップセットの「AMD 790FX」も未発表の状態である。そのため、チップセットの基本的なスペックなどは、マザーボードの仕様から読み取っていくこととする。
Phenom対応をうたうマザーボードには2種類ある。というのも、Phenomが採用する「Socket AM2+」は、現行のSocket AM2と形状的にはまったく同じ。互換性もきっちり保たれており、BIOSさえ対応すれば既存のSocket AM2マザーボードでもPhenomを利用することができるからだ。しかし、これはあくまでも利用できるというレベル。MSI K9A2 Platinumの場合は、正式にSocket AM2+をサポートしているので、Phenomで採用される高速インタフェース「HyperTransport 3.0(HT 3.0)」や省電力機能である「Split Power Planes」などの機能を活かすことができる。さらにメモリもPC2-8500(DDR2 1066)までをサポート。Phenomの持つ新機能をしっかり利用できる仕様となっている。もちろん、Athlon 64 X2をはじめとする既存のCPUにも対応しているが、その場合はHT 3.0などの機能は利用できない。
ソケットの形状は従来のSocket AM2とまったく同じ。Phenomが登場するまでは既存のAthlon 64 X2などを装着して運用することも可能だ |
パッケージにはすでに「Phenom FX」および「Phenom」のロゴが印刷されている |
AMD 790FXは、開発コードネーム「RD790」と呼ばれたチップセットで、HT 3.0などをサポートするほか、グラフィックスインタフェースも最新のPCI Express(PCIe) 2.0に対応している。このPCIe 2.0を合計32レーン分サポートしており、フル帯域でのATI Crossfireが可能となっている。このマザーボードの場合、PCIe x16スロットは計4本。通常、x16/x0/x16/x0という構成になっており、ATI CrossFireを構成する場合は、青のスロット2本を利用する。水色のスロットにグラフィックスカードを装着すると、自動的にx16レーンが2本のx8レーンに分割される仕様となっており、4本のスロットすべてにグラフィックスカードを装着すれば、x8/x8/x8/x8というレーン構成になる。なお、サウスブリッジは既存の「ATI SB600」が組み合わされている。
チップセットおよび電源回路部分の冷却には、MSI製マザーボードではおなじみとなる「CIRCU-PIPE」と呼ばれるヒートパイプ式の冷却システムを採用している。これまでに登場したCIRCU-PIPEは、サークル状になっている部分が縦向けになっていたが、この製品では横向けの配置となっているのが特徴である。電源回路は5フェーズで、20個のレギュレータを使用。ハイエンドCPUを利用する場合やオーバークロックなどで負荷が高まる場合でも安定した電源供給が期待できる。なお、コンデンサ類がすべて、品質に定評のある日本製の固体タイプとなっている点もチェックしておきたい。
オンボード機能は、製品名の「Platinum」に恥じない充実ぶり。その中でもチェックしておきたいのがPROMISE製のRAIDコントローラ「PDC42819」である。ボード上にある6つのSATAコネクタのうちのピンクのコネクタ×2ポートとバックパネルのeSATA×2ポートをコントロールしており、内蔵ポートとeSATAによる混在RAIDを構築することもできる。さらに注目したいのは、内蔵の2ポートは、SAS(Serial Attache SCSI)にも対応可能となっている点。サーバー用途などで活用する際は、考慮に値するポイントといえそうだ。そのほかのオンボード機能をチェックすると、ギガビットイーサネット(GbE)チップはRealtek RTL8111B。IEEE1394aチップはVIA VT6308Pで、8ch HDオーディオのコーデックチップはRealtek ALC888を採用している。
PROMISE製のRAIDコントローラ「PDC42819」。バックパネルのeSATAもこのチップを経由している |
PROMISE PDC42819がサポートするピンクのコネクタにはSASを装着することも可能となっている |
高い将来性を備えた期待の大きいマザーボード
AMDの次世代CPU「Phenom」の登場前にリリースされたこともあり、現段階では、マザーボードのポテンシャルを活かしきるのは難しい。PCIe 2.0についても、NVIDIAからGeForce 8800 GTが投入されているが、ATI Radeonシリーズは未発表。とはいえ、Phenomのサポートやグラフィックスカード4枚挿しによるクアッドCrossFireへの対応が期待できるなど、将来性という点では非常に有望である。すでにリリースされているCPUやグラフィックスカードとの互換性もきっちり保たれているので、当面は現行パーツで運用し、PhenomやPCIe 2.0対応のATI Radeonシリーズが登場した際にパーツを換装していくことも可能。SASが利用できるというのも、自作派の拡張魂に訴えかけるポイントである。MSI K9A2 Platinumは、過不足のない機能を備えた1枚に仕上がっており、今後、長いスパンで楽しめる1枚といえそうだ。