今年になって夫が「マイナンバーカードを作って20,000ポイントももらった」とドヤ顔で言ってきた。

そんなもの私は5億年前に作っているし、もらったポイントもとっくに使い終わっていると、ネット野郎特有のクソデカ単位でマウントを取ってやろうと思ったのだが、私がもらったのは20,000ポイントではなく5,000ポイントだったような気がする。

この謎を解明すべく、私は目の前にいる20,000ポイントもらった人には聞かず、ネットクソ野郎らしくグーグルへと飛んだ。

「追いポイント」むなしく取得率は半分、ブースト策は「保険証」

検索してみると、マイナンバーカード発行でもらえるのは従来通り5,000ポイントだが、今年6月から公金受取口座とマイナンバーカードを紐付けするとさらに7,500ポイント、健康保険証と紐付けると7,500ポイントが追加でもらえるようになったらしい。

私のように、それ以前にマイナンバーカードを作った人間でも新たに申請すれば追加で合計15,000ポイントもらえるし、ネットで簡単にできるそうだが、二度手間感が否めない。そもそも夫が言い出さなければ、この追いポイントに気づくこともなかった。

私が特に情弱なせいもあるだろうが、どれだけポイントを撒いても、その制度自体の周知が足りなければあまり意味がないのではないだろうか。

実際、これだけやってもマイナンバーカードの発行率はやっと半分程度だそうだ。

「2万円相当のポイントをくれてやろうというのに一体どういうことだ、おそらく国民の半分が500円以上の金を見たことがないから、2万と言われてもピンとこないに違いない。これだから庶民を相手にするのは疲れる」

そう言って国がついにキレたからかどうかは不明だが、先日河野デジタル相が2024年に現在の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一本化することを発表した。

つまり、保険証を使い保険内診療を受けたければマイナンバーカードを作らなければいけない、ということである。

医療費ぐらい10割負担しないと札束と金塊で部屋が狭いというセレブか、傷を負ったら手当などせず潔く死ぬ、という侍以外は、実質マイナンバーカード取得が義務付けられたと言って良い。

この突然のデッドオアマイナ宣言にネット民の反発は当然強い。

保険証という命に関わりかねないものを人質に取って取得を強制するというのは乱暴すぎるし、結局義務化するのであれば、大して成果の出ない多額の税金を使ったポイントばら撒きは一体何だったのかという話になってしまう。

そもそもなぜまだ半数の国民がマイナンバーカードを作ってないのかというと「面倒」というピュアな気持ちな人も多いとは思う。

ただそれ以上に。個人情報漏洩問題などマイナンバーカードに対する国民の不信感を払拭できてないせいもある。

安全性が立証できてないものを強制で持たせるというのは、家に不発弾設置を義務化すると言っているようなものなので、腑に落ちない人間が多いのも当然である。

マイナンバーカードへの「不安」、不足しているのは

  • マイナンばあちゃんと彼女の登場する解説コンテンツ、認知度はどの程度なんでしょうか…

この安全性に対する疑問に関し、国も何も回答していない訳ではなく、マイナンバーカードの生き字引・マイナンばあちゃんが「顔写真での本人照合やマイナンバー自体からの情報引き出しに別途身分証がいることからマイナンバーの守りは万全である」と専用リーフレットで説明している。

だが、このキャラ自体私は完全に初見だったので、仮に安全だとしても、その説明が国民に十分届いていないような気がする。

実際マイナンバーを知られたからといって、即個人情報を抜かれるようなシステムではないのだが、そうなると思って作らない人も多いのではないだろうか。

また、保険証だけではなく運転免許証もそのうち1本化すると発表された。

マイナンバーカード、保険証、免許証、というのは、無職でも持てる身分証明書三種の神器である。これらが一本化されたら、マイナンバーカードを紛失した瞬間何者でもなくなってしまい、オチオチ職質も受けられなくなってしまう。

つまり、一本化は我々の「余裕で職質を受ける権利」を奪う制度である。

また、マイナンバーカードを紛失すると再発行には1カ月ほどかかるらしく、その期間中保険証も免許証も持てない、というのは人によっては死に直結する。

この紛失に対する対策が現在のところ「なくさないでくれ」であることも批判原因の一つである。

システムを近代化するためのマイナンバーカードなのに紛失に対する対策が「人間の注意力」というのはアナログがすぎる。

ただし、紛失した際は24時間対応のコールセンターに連絡をすれば利用を即停止、不正利用があればICチップが破壊されるというそこだけ妙に未来な構造になっている。

河野デジタル相がマイナンバーカードの仕組みを1人で考えている訳ではないだろうが、先日のファックス全廃宣言からの怒られもあり、予想されるツッコミに対し明確なアンサーを用意しないまま発表だけしてしまう人、というイメージが一段と強くなってしまった。