ツイ廃の朝は早い。

私レベルになると朝6時のアラームを止めたと同時にTwitterが開かれている。それを「習慣」とか、まして「ルーティン」などとしゃらくさいことを言っているうちはまだ青い。

Twitterは習性、または本能と呼べるようになってからが一人前のツイカスだ。蛇や鶏が頭を切り落とされてもしばらく生きているように、「午前2時37分ご臨終です」と言われた後も3分ぐらい指がスマホをスクラッチし続けているのが理想的なツイ中の一生である。

その日も起床と同時にTwitterを開き、いつもならイミテーションゴールドの新カレぐらい身軽な動作でエゴサを始めるところだが、その日の私は指が止まってしまった。まだまだ私もシャバ蔵といったところである。

なぜならその時Twitterのトレンドに「SOUL‘d OUT」というワードが上がっていたからである。

SOUL‘d OUTに何かあったのか、やおら再結成かと、高鳴る鼓動を抑えながら自らも「SOUL‘d OUT」で検索したところ、そこには「SOUL‘d OUTに何かあったのか?」というつぶやきが並んでいた。

俺がお前でお前が俺で、私たち俺たち入れ替わってる?

世界一地味な『君の名は。』が始まり、そして終わった瞬間である。

その後も「Diggy-MO'」「ウェカピポ」など、俺たちがソワソワするワードがトレンドに上がってきていたのだが、正直私はこれを書いている現時点でも、なぜこれらのワードがトレンドに上がっていたのかを知らない。

どうしてトレンドになっていたのかは知らないが、俺たちお前たちが未だにSOUL‘d OUT大好きである、ということがわかっただけで満足してしまったからである。

理由なんかなくても、SOUL‘d OUTに「動き」があるだけで

  • 話題にのぼることそのものに、泣ける……

    話題にのぼることそのものに、泣ける……

そして私も未だにSOUL‘d OUT大好きな奴の一人だ。

私はどんなイケメンや美女を見ても「次元が1個多いのが惜しいな…」と思ってしまう二次元オタなので当然芸能界には疎く、SOUL‘d OUTのことも結成してからしばらく知らなかった。

知ったのは他人の車で流れていたSOUL‘d OUTのシングルベスト盤を聞いた時である。

その中の「TOKYO通信~Urbs Communication~」という曲を聞いた瞬間、私はこれまた俺たちが大好きな「今夜はブギーバック」のラップパート状態になってしまった。

フリースタイル具合にマジ泣けてしまった私は、ピザポテトをコーラで一気に流し込んでゲップで「ナニナニこれ?コレコレコレナニナニナニセイイエーッ!」といつもの早口で聞き出し、気づいたらブーツで村唯一のCDショップのドアをドカーっと蹴って普通に怒られた後同じアルバムを入手していた。

それまでSOUL‘d OUTの名前すら知らなかったのだが、本当に1回聞いただけで沁みた痺れた泣けた惚れた状態になるほどSOUL‘d OUTの楽曲はカッコよかった。

その後、現在の部屋からさえろくに出ない惨状からは想像もつかないが、ライブにも何回か足を運んだ。

SOUL‘d OUTが我が県に来ることはまずなかったのだが、幸い我が県は「広島と福岡にフックをかけることで沈没を免れている」でおなじみでもある。全国ツアーでは必ずその両県には来るので、隣県まで足を伸ばすだけでよかったのだが、それでも今からは考えられない行動力である。

だがその後SOUL‘d OUTは解散してしまったので、行ける時に行っておいて本当によかった。

SOUL‘d OUTのライブはMCが極端に少なく、ひたすら曲をやるので曲に染みて痺れて吐いた自分にとっては最高のライブなのである。

多くのTwitter民たちが、何故SOUL‘d OUTがトレンドに上がっているのか突き止めることを早々に諦め、SOUL‘d OUTとの思い出語りや「アッアラララァアアァ」という奇声に終始し出したように、私も「こう見えて私も昔は」という一番嫌われるタイプの昔話をしてしまった。

だが、流石に「SOUL‘d OUTが何故トレンドに上がっていたかはわかりませんでしたが、これからも注目していきたいですね!」というクソまとめサイトみたいな終わり方はできない。

しかし、原因は未だに明確ではないらしい。ただ、スタバの新作が売り切れていたことを嘆いた若者たちがSOLD OUTをSOUL‘d OUTと打って投稿したことに、SOUL’d民が反応したためという説が有力である。もうひとつ、吉本の若手芸人による「SOUL'd OUTの物まね」動画がトレンド入りに寄与したとも考えられている。

とはいえ、それだけだとしたら、本当に「俺たちは未だにSOUL‘d OUTが大好き」という以上の内容がない話なのだが、私にとってはお前らが未だにSOUL‘d OUTが大好きとわかっただけで大満足な出来事であった。