「Intuos5」の機能と特徴に迫りながら、クリエイションの作業効率アップ術を紹介していく本連載。今回は「Intuos」シリーズの特徴的な機能のひとつ、「ファンクションキー」を紹介します。

「Intuos5」には、ペンタブレットでの操作の可能性を広げてくれる「ファンクションキー」、「タッチホイール」、「ラジアルメニュー」という機能が搭載されています。これらの機能は、使いこなすと作業効率が大幅アップする優れもの。

各機能の内容は次のとおり。

  • ファンクションキー→よく使うキーボードショートカットキーを割り当てることができる上下計8つのキー
  • タッチホイール→円形のボタンで、なぞるとスクロールズームやカンバスの回転などを直感的に操作可能
  • ラジアルメニュー→画面上に呼び出せるコマンド選択メニュー。「保存」、「ブラシパネル」、「画面キャプチャ」など良く使う機能を登録できる

各機能の設定はユーザーがカスタムできるよう自由度が高くなっていることも特徴です。これから「Intuos5」の購入を検討されている方も、購入したもののあまり機能を使いこなせていないという方も、自分に合った設定を見つけて、もっとペンタブレットを活用してみませんか?

ファンクションキーを使いこなしてみよう!

今回はまず「ファンクションキー」に焦点を当ててみたいと思います。タッチホイールを挟んで上下に4つずつ並んだ8つのキーが「ファンクションキー」です。

キーに触れると画面に設定内容が透過表示されるようになっており、手元を見ずにボタンが選べるようになっています。慣れてきたら表示をオフに設定することも可能です。表示オフでもボタンについている突起がガイドになり、ボタンの押し間違いを防いてくれます。

ファンクションキーの設定ですが、初期設定ではこのようになっています。

初期設定では上部の4つが「(タブレットの)タッチ機能on/off」、タブレット設定画面を開く「設定内容の表示」、精緻な描画時に便利な「プレシジョンモード」、デュアルモニター使用者には嬉しい「マッピング画面切り替え」。

そして下半分が「Shift」、「Command(WindowsはCtrl)」、「option(Alt)」、「スクロール/移動(Spaceキー)」となっています。

この中で自分があまり使わない機能があれば、良く使うものと入れ替えてみましょう。例えばPhotoshopでイラスト制作をする私の場合、このようにカスタムしています。

上半分は「タッチon/off」を残してほか3つをチェンジ。「カンバスを左右に反転」は線画のゆがみをチェックするために使っています。「カラーピッカー」も頻繁に開くのでファンクションキーにセット。

このふたつは元々ショートカットキーが設定されていないコマンドなので、予めPhotoshopの設定画面でショートカットキーを登録してから、それをファンクションキーに読み込むという手順で設定しています。(ちなみに「カンバスを左右に反転」は「command+L」、「カラーピッカー」は「K」を割り当て)。 「esc」キーはカンバスの反転や画面回転をした後にリセットしやすいよう選びました。 タッチホイールの上にあるキーにセットしてあるので、ホイールで回転操作をした後にすぐ押せてスムーズです。

下半分ですが、押しやすい位置に「一つ戻る」コマンド(ショートカットキーでは「command(Ctrl)+option(Alt)+Z」)を設定。 残り3つはデフォルトのまま使っています。 commandは自由変形で多用するため、またoption(Alt)はスポイトとして使うことが多いのでキープ。 「スクロール/移動」はいわゆる手のひらツールの事ですが、こちらも画像をズームした際によく使うのでデフォルトのまま残しています。

上記はあくまで一例で、クリエイターの皆さんはそれぞれオリジナルの設定を試されているようです。 例えば、先日のワコム主催のクリエイティブセミナでイラストレーターの蛯原あきらさんが紹介されていた設定に次のようなものがありました。

「Shift+B, Shift+B, Shift+B」=「鉛筆→ブラシ」

「Shift+B」は鉛筆/ブラシツールにある4種類の描画ツールを切り替える際のショートカットキー。「ブラシ→鉛筆」にしたい場合は一回押すだけでOKですが、「鉛筆→ブラシ」へ変更する場合は3回押さなくてはなりません。 それを丸ごとファンクションキーにセットすることで、鉛筆からブラシへボタンひとつで切り替え可能になるというもの。ショートカットキー3回分をひとつのファンクションとして設定するという発想が新しいですよね!

クリエイターの数だけ、カスタム方法も無限に広がりそうです。8つのキーをどう使いこなすか。様々な組み合わせで試してみながら使い込んでいくのも楽しみのひとつではないでしょうか。