iPadでMicrosoft Officeはどこまで使えるのか

仕事で避けがたいデータにPDF、Microsoft Excel、Microsoft Wordなどがある。ドキュメントデータとしてはPDFが広く浸透してきたように思うが、スプレッドシートに関してはMicrosoft Excelのデータに触れる機会が多い。PDFはiPadでシームレスに扱えることが多いのでよいが、仕事でiPadを使っていこうとすると、、MicrosoftのWordやExcelとの縁は切っても切れない。

そうなってくると、iPadでMicrosoft WordやMicrosoft Excelのデータは扱うことができるのか、扱えるとすればどこまで互換性が確保されているのか、無料で利用できるのか、ライセンスの購入が必要なのか、その辺りが気になる。

結論から書くと、iPadでは「Web版のMicrosoft Office」や、「モバイルアプリ版のMicrosoft Officeシリーズアプリ」を利用できる。どちらも完全にデスクトップアプリケーション版の機能が利用できるわけではないのだが、使い方によってはこれで十分である。そしてこれで事足りるのか、どちらのほうが使いやすいかは、用途に依存するので実際に試してもらうしかないと思う。

今回は、iPadでMicrosoft Officeを利用するかどうかを決定する際に役立つ情報をまとめておきたい。なにせ、Web版やモバイルアプリ版を使うには、いくつかのポイントを整理しておく必要があるのだ。というのも、サービス名が数年ごとに変わったり、利用できる条件がスクリーンサイズで違っていたり、利用できる機能に違いがあったりなど、整理しておかないと思わぬ出費が発生する可能性があるのだ。本稿を参考に、どの方法が自分の目的に近いものかを知ってから、利用してもらえればと思う。

「Microsoft Office」と「Microsoft 365」

MicrosoftはOfficeに関して、数年ごとに新しいサービスやプロダクトを発表したり、サービス名を変更したりしてきた。2020年に入ってからは、これまでOffice 365の名前で提供してきたサービスをMicrosoft 365という名称にリブランドしており、ちょっとばかり訳がわからなくなってきている。ここで、名称とその意味を簡単に整理しておこう。

まず「Microsoft Office」から。現在のところ、Microsoftは「Microsoft Office」という名称の下で、デスクトップアプリケーション、モバイルアプリ、Webブラウザ版を集約しつつつある。これまではそれぞれに名称があったのだが、すべてをまとめて「Microsofit Office」というプロダクト/サービスという位置づけにしつつある。

次は「Microsoft 365」だ。Microsoftは2020年4月にOffice 365からMicrosoft 365という名称へのリブランドを実施したのだが、これはMicrosoftの提供するサブスクリプションと考えてもらえればよいだろう。「Microsoft Office」がアプリケーションやWebブラウザ版など実際の製品で、「Microsoft 365」がそれを利用するための料金体系、ざっくりそう考えておけばよいと思う(将来さらに概念統合や名称変更があるかもしれず、あくまでも本稿執筆時点の内容だ)。

Microsoft Office - Webブラウザ版

最新のiPadのコンピューティング性能はなかなか素晴らしい。iPad Proなどはスクリーンも大きく、Macのような使い方ができる。そして、これが本連載の目的の1つなのだが、MacのWebブラウザで「Microsoft Office」のWebブラウザ版を使えるように、iPadでも「Microsoft Office」のWebブラウザ版を利用することができる。次のページからアクセス可能だ。Microsoftアカウントでサインインすると、使えるようになる。

  • Microsoft Office - Webブラウザ版

    Microsoft Office - Webブラウザ版

もともと、Webブラウザで利用できるMicrosoft Officeは「Office Web Apps」という名称で呼ばれていた。その後、「Office Online」と名称が変更され、その後、さらに「Office on the web」と呼ばれるようになった。現在ではさらにその名称も使われずに、ただの「Microsoft Office」という形で使われるようになった。

本校執筆時点では、Web版のMicrosoft OfficeからはWord、Excel、PowerPoint、OneNote、OneDrive、Skype、Outlook、Flow、Forms、Sway、予定表、連絡先、To Doなどの機能が利用できる。ただし、デスクトップアプリケーションとまったく同じ機能が提供されているわけではない。Google Driveを使ったことがあるなら、Google Driveのようなものと考えると、飲み込みやすいと思う。

  • Microsoft Office Web版 - Word実行例

    Microsoft Office Web版 - Word実行例

  • Microsoft Office Web版 - Excel実行例

    Microsoft Office Web版 - Excel実行例

  • Microsoft Office Web版 - Excel実行例

    Microsoft Office Web版 - Excel実行例

Web版のMicrosoft OfficeはOffice Open XMLやOpenDocumentといった新しいフォーマットを使用するが、旧Officeのドキュメトにも対応している。ただし、マクロの実行には制限がある。

Web版のMicrosoft Officeを使う場合、それなりにプロセッサパワーやメモリが必要ということには触れておきたい。古いモデルのiPadでは操作が重くてストレスが貯まると思う。新しいモデルであれば問題にならない。古いモデルを使う場合には実際に実用に耐えるのか試す必要があるだろう。