仕事でもなく、家庭でもない、第三の居場所があるといい、とよく耳にする。どうしても普段の生活は仕事中心に時間配分が偏りがちになる。それ自体は悪いことではないと私は思う。が、今の社会は「バランス」が大切だと声高にいわれている。行き過ぎはよろしくないのだ。そのためか、私の周りには会社の帰りにホットヨガで汗を流す、クラシックバレエに通う、ベリーダンスに励む、といった人が少なくない。

第三の居場所といっても、さまざまなものがある。何が適しているのだろうか。仕事の帰りに立ち寄る場所といえば、「行きつけの店でお酒を飲む」というのもある。でも、主婦の場合、帰宅後に酒臭いまま、子どもに宿題の進捗を訊くのはしっくりこない。「勉強は集中力が大事。ほかの事に気を逸らさない!」と子どもに赤い顔で言いつつ、逆に子どもから「今の言葉、勉強を仕事に置き換えてみて」などと、言い返されたら怖い。
「仕事は集中力が大事。ほかの事に気を逸らさない!」
その通りである。やはり、主婦ならばホットヨガやダンス系が無難なのか。

何がいいのか選ぶ上でのポイントは、手軽であること。加えて、「人に気を使わなくていい」ことが重要ではないだろうか。ホットヨガやダンスの教室は先生の動作を見て真似る形で進められて行く。レッスン上のマナーなど、いくつか決まりごとはあるが、ほとんど他のレッスン者に気を使うこともないし、自分が上手いか下手か、順番をつけられることもない。人とのほどよい距離感が心地よいといえる。

静かなブーム「ヒトカラ」

話は変わるが、ストレス発散は「カラオケ」という人がいる。しかも、ここ3年くらい、一人でカラオケボックスに行く人が増えているようだ。"一人でカラオケに行くこと"を指す「ヒトカラ」という言葉まである。ためしにウィキペディアで「ヒトカラ」を検索すると、解説文が出てくるのには驚きだ。意外とヒトカラが好きという人は少なくないようである。ミクシィのコミュニティにも「ヒトカラ推進委員会」「ヒトカラ会」など、一人でカラオケに行く人を対象にしたものがいくつもある。

確かに、みんなと一緒にカラオケに行くと、気を使うことが多い。メンバーの年齢や音楽の嗜好に合わせて、私は曲を選んでしまう。しかも、聴いている人が飽きないようにテンポの速い曲を選ぶことも多い(たとえ、誰もぐうたら主婦の歌を聞いていなくてもだ)。気兼ねなく、思いっきり好きなように歌うならヒトカラが良い。でも、カラオケボックスのカウンターで、「一人です」と言うのはちょっと勇気がいるだろう。

タカラトミー「Hi-kara」。色は白とピンク

そこで、おススメしたいのが10月18日にタカラトミーが発売する「Hi-kara(ハイ・カラ)」だ。こちらは世界最小級のカラオケボックスである。本体は7センチメートルの立方体。キー操作部分が顔の形をしていてかわいいパーソナルユースのカラオケボックスである。

手のひらに乗る小さなサイズ

使い方はいくつかあるが、代表的なものはカートリッジをセットして曲を選ぶ方法だ。私が使ったカートリッジはあらかじめ10曲入っているタイプのものだ。歌いたい曲に表示を合わせて「スタート」ボタンを押せば、曲が始まるのである。そのほか、ダウンロードして曲を選ぶ方法もある。

本体にマイクつきのヘッドセットを繋げると、自分の声がヘッドセットからカラオケの音と一緒になって聞こえる。音は意外と本格的。カラオケボックスさながらのエコーが効いている。しかも、エコーのパターンは4つから選べるという。お風呂、ホール、やまびこ、そしてエコーなし。歌詞テロップの色が変わるところも本物のカラオケと同じだ。

満足度は満点、採点機能あり

カラオケといえばキーを変えられなければ意味がない。男性の歌でステキな曲があっても、CDに合わせて歌うのでは低すぎて苦しい。このハイ・カラ、こんなに小さいのに、キーを変える機能もついているのである。そのほか、テンポや音量などを自由に変えることもできる。

10曲入りのカートリッジ。選曲方法は簡単

一曲熱唱。「歌ったぜ!」などと満足していると、ポポポポっという音が鳴る。何かと思えば画面には数字が現れている。なんと、採点機能までついているのである。採点機能はオフに設定も可能だ。結果の数字を見ながら一人でつぶやく。
「これって、声量を大きく譜面どおりに歌わないと、良い点が出ないんだよね」
歌が上手いからって、点数が高いとは限らないのだ。言い訳である。が、点を見るのもまた楽しいものがある。

上面に操作部がある。顔の形がかわいい

カラオケの音量を最大にしても、ヘッドセットをつけているから外には聴こえない。近所迷惑にもならないのだ。カラオケに合わせて歌う私の声だけが部屋に響く。黙々と歌うぐうたら主婦。はたから見たら、四角い箱に向かって、ひたすら歌っている私がいる。暗い。なんて暗いんだ、ぐうたら主婦。

それでもめげずに練習を重ねていくうちに、上手くなっていく。採点結果も数字が高くなっていくのだ。となると、誰かに聴かせたいという欲求が出てくる。聞く側の都合なんて、おかまいなし。「私の歌を聴け」。そんな要求にもこのハイ・カラは対応している。詳細は次回に譲る。

イラスト:YO-CO