ViXion(ヴィクシオン)が同社のオートフォーカスアイウェア「ViXion」シリーズの視野面積を約2.4倍に拡大した新モデル「ViXion2」を2026年4月17日に発売する。
3月17日から全国の取扱店と公式オンラインストアにて先行予約受付が開始される。希望小売価格は11万円だ。
視野の広さが2.4倍に進化したオートフォーカスアイウェア
ViXionは視覚に不自由を感じている人向けの電子デバイスの開発、販売、ソリューションを提供している。2021年にHOYAから暗所視支援メガネの事業を譲受して営業を開始した企業だ。
同社によれば2000年当時14億人だった世界の老眼人口は2030年に21億人に達し(出所:日本老視学会)、同様に14億人だった近視人口は2050年には50億人に達するという(出所:国連「World Population Prospects The 2019 Revision」/Holden, et al, 2016 Ophthalmology)。ピント調節不全という社会課題は世界の悩みでもある。
オートフォーカスアイウェアというのは聞き慣れない言葉だが、早い話が自動でピントを合わせる眼鏡だ。フォーカスを合わせる筋肉を自力で使う必要がない。
そして新製品では、前モデル比2.4倍の面積を確保、圧倒的に広い視界を得ることができるようになった。
左右の9ミリ径レンズを左右の目で個別にのぞき、5cmから無限遠までの焦点距離をオートフォーカスで合焦させる。いってみれば、オートフォーカスカメラの光学ファインダーが両目の前にあるイメージだ。
さらにアタッチメント的な位置づけでアウターフレームが同梱され、本体に装着してサングラス風にしたり、乱視矯正などのために度付きのレンズを重ね合わせたりすることができる。
もちろん遠近両用メガネをセットしておくこともできる。これらについては、ビックカメラやオーダーメイド眼鏡専門店のJUN銀座などで受け付けてもらえる。
境目のない遠近両用眼鏡としてバリラックスが1959年に登場するまでの、かつての遠近両用眼鏡は、レンズの特定部分に小窓がついたような二重焦点レンズだったそうだが、現時点でのViXionはそれに近いが画期的なソリューションだ。
どうやって瞬時にピントを合わせている?
仕組みとしては液体レンズと距離センサーを連動させピント合わせをオートで行う。左右のレンズの真ん中、ちょうど鼻の上のブリッジ部分に距離センサーが仕込まれていて、見ようとする対象との距離を測定、その距離に応じてレンズ形状を瞬時に変化させて自動でピントを合わせる。
調節は約0.1秒、まさにカメラのオートフォーカスそのものだ。ピント位置はテンプルの根本のタッチ操作で任意の距離に固定することもできる。
液体レンズは、水に油を加えたもので、水部分に電圧を加えると、油部分の形状が変化する。電圧を可変して凸と凹の状態を調節することでピント位置が変わる。かかる電圧は数十ボルトだそうだが電流はほんのわずかなので感電などの心配はないという。
内蔵のリチウムポリマー電池は本体のUSB-Cポートから充電する。約3時間で満充電になり、約15時間の使用が可能だ。寝ているときに充電すれば、起きてから寝るまでの間はずっとつけていられる想定だ。
今回は9ミリ径となったが、もっと口径が大きくなればもっと見やすくなるのはわかっている。だが、レンズは必ず瞳に対して立てた状態で装着するため、重力によって液体が下に垂れて歪んでしまう。レンズ径が大きくなると、重力の影響が大きくなり、軽量化や安定化が難しくなるのだそうだ。
ペリスコープなどのプリズム利用で光軸を調整すれば実現できそうなものだが、そうは問屋が卸さないようだ。
1本で全距離を見る「理想のメガネ」に期待大
個人的には自宅のデスクトップパソコンを大画面ディスプレイで使うために1メートルメガネ、出先でノートパソコンを操作するために60センチメガネを所有している。それぞれの距離に最適化したメガネだ。
それだけでは日常生活には足りず、読書など印刷物の閲覧、スマホ操作、そして遠くを見るための遠近両用眼鏡を用意している。やることに応じてメガネをとっかえひっかえすることになるが、ひとつのメガネで全距離をオートフォーカスできれば理想的だ。
光学ファインダーではなくEVF相当のXRメガネならクリアできそうな課題だが、あくまでもリアルな光をとらえたい。
今回の新製品でViXionは先代に対して飛躍的に視野を広げた。これは素晴らしいことなのだが、どうしても顕微鏡を覗くイメージがあって、広々とした視野を確保できたとは言い難い。
レンズの上下でなだらかに焦点距離が変わる累進屈折レンズによる「境目のない遠近両用眼鏡」でさえうっとおしさを感じるほどに、人間の瞳は敏感だ。贅沢ではあるが、期待をもってさらなる進化を望みたい。

