楽天市場が海外事業に関する説明会を開催した。主にインバウンドCBT(クロスボーダートレーディング)に関する取り組みに関するもので、いわゆる越境ECと呼ばれる日本市場での海外事業者が展開するビジネスへの取り組みだ。
つまり、楽天市場のECモールに海外事業者を招き入れて出店させるチャレンジだ。
楽天が狙う越境ECの可能性
楽天市場が海外事業者に対して自負する強みは、買い物客が国内事業者のショップで買い物をするのと同様の違和感なく海外事業者から商品を買えることだという。
ただ、今現在、日本国内におけるB2CビジネスのEC化率は1割程度にとどまっているともいう。9割の小売りはリアル店舗でのもので、ネット通販で一般消費者が買い物をするのはまれだということだ。
一方、世界のEC市場規模における国別のシェアを見てみると、中国、アメリカの2国で7割近くを占め、その後グッと少なくなるが、イギリス、日本や韓国が続く。国別EC市場シェアでは4位につけている日本だが、それでも国内のEC化をはるかに上回るかたちで他国のEC化が進んでいると同社はいう。
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2023年国別EC市場シェア(単位:%)。経済産業省による「令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」内PDF資料より引用
国別EC市場シェアで日本は約3.4%だが、それでも人口約1億2,000万人、インターネット普及率86.2%、GDPが世界で4番目というこの国は、世界の事業者にとって魅力的な市場として映るらしい。韓国コスメを例にとれば、楽天市場で扱ったとたんに市場が拡大するといった事例もある。
今年、楽天市場での海外事業者数は1,000店舗を超えたというが、これまでの推移はどちらかといえば、スローな成長であると楽天市場はいう。
海外事業者を招き入れることに懸念があるとすれば、楽天市場での買い物における商品品質の低下やユーザーの期待するサービスレベルを提供できない恐れがあるということだ。
今、楽天市場には22の国、地域から出店が可能となっているが、その対応をさらにきめ細かなものにして、店舗数の出店ペースをこれまでの3~4倍へと増やしていきたいと同社は考える。
買う側・売る側の不安をどう解消するか
越境ECについては買う側も売る側も不安を抱いている。
買う側は楽天市場で海外商品を購入する体験が国内商品購入と同じかどうかを心配するし、売る側も、自分たちの当たり前が日本の市場に好意的に受け止めてもらえるか、いや、それ以前に当たり前が本当に当たり前として受け入れられるかどうかを不安に感じている。
こうした不安を払拭していこうと、楽天市場の海外営業戦略部は懸命だ。とはいうものの、国内の輸入販売事業者との競合についてはあまり考えていないともいう。そこには、明確な競争があり、これまでも正規輸入代理店と並行輸入業者は共存してきた。また、39ショップなど、送料無料サービスとの兼ね合いについても個別に対応するという。
最近は、ヘルスケア、ビューティアプライアンス(美容家電)、関連ガジェットなども人気だが、こうした電気/電子デバイスには技適やPSEといった日本特有の要件がある。日本国内で電気製品を販売・使用する場合、「技適マーク」と「PSEマーク」は必須の要件となる。ドライヤーやヘアケア用品などもそれに含まれるのだ。
これらは消費者の安全を守り、電波障害を防ぐための法的な規制だ。今や、アプリ連携前提のスマート歯ブラシも少なくない。そのためにBluetoothの送受信機能がついている時代だ。これらにも技適マークの取得が必要となる。Wi-FiとBluetoothに対応した体組成計は、その両方をサポートする機器としての取得が必要だ。
楽天が担う“安全フィルター”としての役割
楽天市場では、これらのルールを遵守するために、出店される製品について、日本国内で求められる要件の規制をクリアしているかどうかを綿密にチェックするともいう。消費者にしてみれば、楽天に並んでいる商品である限り大丈夫という保険にもなるわけだ。
他社の越境ECや海外通販サイトでは、日本の法律を無視した製品が「自己責任」で放置されているケースも少なくない。楽天がそこをフィルターすることで、「合法で安全な海外ガジェット/海外家電」が買える場所になるなら、それは消費者にとって最大のメリットであり、楽天の勝ち筋になるだろう。
このあたりは、日本の企業が直接めんどうをみる越境ECならではのことになるだろう。買い物の体験にちょっとした変化が訪れるかもしれない。
