9月1日、ご存じの通り例年通り防災の日だ。

この連載コラムでは、1923年9月1日に発生した関東大震災を教訓とするためのこの日と、東日本大震災が発生した2011年3月11日、読者のみなさんの防災意識を喚起するために周辺の話題を取り上げることにしている。どうか、身の回りの防災グッズの点検等のきっかけにしてほしい。

防災用に特別に用意したグッズを半年ごとに年に2回チェックしておけば、万が一のときに使えないといったこともなさそうだ。モバイルバッテリの容量は十分か、また、それを接続するケーブルに断線等の異常はないか、忘れ物タグのバッテリ残り容量はあるか、なければ交換するなり、充電するなりといった対策が必要だ。

Ankerが防災バッグを一般販売「電気は第4のライフライン」

防災の日の直前、各種デバイス周辺機器メーカー大手のAnkerが「Anker PowerBag 2025」を限定400セットで販売開始した。同社は防災には衣食住のみならず、電気も第4のライフラインとして必要だと考えているそうだ。

このバッグは同社が自治体向けに提供していた特別災害対策セットを一般家庭でも使いやすいようコンパクトにしたもので、災害時・停電時のスマートフォンの電源確保の不安を解消出来る製品と防災グッズをセットにしたものだ。それらを丸ごと入れられる防水バッグがセットになっている。販売価格は36,990円だ。

  • Ankerの防災グッズ新製品「Anker PowerBag 2025」。バッテリー関連製品や長期保存食、簡易トイレなどがまとまっている

    Ankerの防災グッズ新製品「Anker PowerBag 2025」。バッテリー関連製品や長期保存食、簡易トイレなどがまとまっている

内容は、

となっている。4キロ超えのポータブル電源を含め、これらのグッズが全部入る防水バッグだが、スペースにはまだ余裕があるので、頼りになるグッズを追加で入れておける。食料や飲料については、定期的な入れ替えが必要だ。家族分の追加もしておいたほうがいい。

特設ページも公開され、防災準備をうながしている。命を守るために最低限の衣食住と同じように、今の時代は電気が必要だと訴えている。

  • 「Anker PowerBag 2025」が入った販売箱

    「Anker PowerBag 2025」が入った販売箱

防災対策は8割が未準備、スマホやラジオは生命線

同社の調査では、防災対策が必要だと感じていながら準備できていない人は約8割なのだという。電気の備えがあれば災害時にも大いに役にたつ。

Ankerによれば、情報源であるスマホやラジオによる情報の収集は生命線となり、エアコンやヒーターなどの家電が生命維持に直結し、電気炊飯器やケトルが使えれば心身の疲れを癒やすことができる。そして部屋を明るくする照明器具が使えれば心理的な不安も軽減できるという。そして、これらのために電気の備えが大いに役立つというわけだ。

ポータブル電源などは、一般的なモバイルバッテリとは違い、大容量のものなら電子レンジ調理ができたり、冷蔵庫への給電ができるものもある。一方で、今回のバッグに同梱されるAnker Solix C300 Portable Power Stationなどは重量を4.1キロに抑えることで、コンパクトさとなんとか人力で持ち運びができることを両立させている。いろいろな製品が発売されているのでチェックしてみよう。

こうした大容量ポータブル電源だが、日常的にキャンプなどのアウトドア活動などで愛用しているなら、それをそのまま防災グッズとして流用できるが、とにかく災害に備えるだけの専用機器としていると保守管理がけっこう難しい。

固体電池で火災リスクを低減。防災×テクノロジーが進む

次世代の蓄電池として注目されている固体電池は、日本発祥の技術で圧倒的な安全性を誇り注目されている。

それを採用した世界最小の1kWhポータブル電源として知られるヨシノパワージャパンのB1200 SSTなどは、一般的なリチウムイオン電池よりも液漏れなどの影響を受けにくく発火リスクが大幅に軽減されているという。災害に備えるためだけに待機させておくなら、こうした安全要素についても考えておきたい。

昨今のポータブル電源はUPS(無停電電源)機能を備えているものも多い。これは停電したときに、自動で電力源を切り替えできる機能で、通常はACコンセントからの電力をパススルーして出力し、バッテリは自然放電した分だけをインテリジェントに充電する。いざ停電が起こり、ACコンセントからの電源が断たれたとき、0.0数秒のオーダーでバッテリからの電力供給に切り替わる。

日常的に使い続けながら、万が一にも備えることができ、さらにバッテリも満充電状態をキープできる。家族で見るテレビや冷蔵庫などはこうした機能を使って運用すれば万が一の停電時にも安心だ。家庭用冷蔵庫にUPSなんて発想は以前は考えられなかった。

テクノロジーを駆使したいろんな防災グッズが出てきている。ちょっと前とは当たり前が格段に進化しているようにも感じる。