AIによる要約なしには成り立たなくなりつつあるのが今の世の中だ。
長々としたためられた懇切丁寧なウェブもたった3行にまとめられ、それに目を通しただけで全文を読んだつもりになる。なんなら目次も生成されているので、そのクリックだけで、読みたい部分にジャンプできる。
AIが大量の情報を“秒”で要約していく
会議も同様だ。流行のボイスレコーダーはAI連携で、録音した音声をクラウドにアップロード、会議が終わってスマホやウェブでチェックすれば、その要約がすでにできあがっている。要約がわからないところだけ、リアル音声や映像にあたればいい。だが、多くの場合は正確だ。
会議の内容をAIが把握し、これから起こすべきアクションなども提案してくれる。ごくまれにある間違いに気がつけるかどうかは、これからのビジネスマンに必須のスキルとなるだろう。
これからはテレビ番組や映画などの配信コンテンツなども要約されるのが当たり前になっていくだろう。もちろんYouTubeムービーなども同様だ。もう、やっているほうはたまらないかもしれない。
一時期、ビデオデッキで録画したドラマや配信コンテンツを数割の早送りで見ることの是非が話題になったことがあったが、早送りによる時短の比ではない。
そもそも1時間のコンテンツ、これは会議などでも同様だが、その内容を2倍速で見たところで30分かかる。内容を把握するためにはメモもとらなければならないだろう。でも、AIにコンテンツデータを与えれば、数行の要約にまとめてくれるのだ。それで物足りなければ、もっと詳しくと依頼すればいい。それで1時間の内容のほぼ完全な要約が秒で得られるというわけだ。
日本におけるAI PC導入の壁は「コスト」
先だって、インテルが世界23か国と地域を対象に調査した「AI PCグローバルレポート」を発表したが、世界のAI PCへの期待が高い中で、日本はさらに成長の余地があるという。
これは裏を返せば日本のAI導入が遅れているということでもある。AI PCに対する日本の理解度は52%で、世界との差は34ポイントもある。
なぜ、これだけの遅れがあるかというと、その障壁はコストにあるのだそうだ。日本において、AI PC導入のための初期コストと運用コストが遅れの原因となっているとレポートされている。世界ではセキュリティ上の懸念がコスト以上に障壁になっているようだが、これについて他国と比べた場合、日本がもっともデータ漏洩を懸念しているという。
1時間の会議の全貌を数秒で把握している組織があるかと思えば、コストが障壁となってそれができない組織がある。だったら会議は要約だけをやりとりすればいいんじゃないかとも。つまりAIが要約を作るための材料が1時間の会議なわけで、それをするのが人間だという複雑な状況だ。
新しい「当たり前」? 報告と連絡はAIにおまかせ
学生なら毎日の講義、ビジネスマンなら繰り返される会議やミーティングが占める時間はかなりのものになる。その時間を節約するには要約が手っ取り早い。
要約はいわば圧縮だ。しかも非可逆の圧縮で、それをほどいたところで、元のコンテンツが再現できるわけではない。でも、それでよいという風潮が新しい当たり前として受け入れられつつあるのが今という時代だ。
会議の途中で要点をメモするのか、会議全部を録音しておいて、あとでAIに要約させるのか。ビジネスマンの基本は「ほうれんそう」、つまり、報告、連絡、相談だとされてきた。だが、相談はともかく報告と連絡はAIにまかせてしまうような世の中になりつつある。というか、それなら部下はいらないという話でもあるのだが……。

