2025年10月1日にスタートするNHKの新インターネットサービス「NHK ONE」のサービス詳細と特徴が発表された(関連サイト)。

  • 番組や情報を1つにまとめてユーザーに届けるというNHK ONEの公式サイト。サービス詳細も案内されている

    番組や情報を1つにまとめてユーザーに届けるというNHK ONEの公式サイト。サービス詳細も案内されている

Webとアプリを再編した「NHK ONE」が10月1日始動

ウェブサイトについては現行のNHKプラス、NHK NEWS WEB、番組公式サイトなどが新サービスサイトのNHK ONEとして統合され、あらゆるサービスがこのサイトから利用できるようになる。入り口がひとつになるだけなので、それが意味があるのかどうかはわからない。どうかカネの無駄遣いにならないようにしてほしいものだ。

また、スマホやタブレット用のアプリについては現行のアプリをリニューアル、パワーアップするが、NHKラジオ第1、ラジオ第2、NHK-FM放送の音声と番組情報を提供するサービス「らじる★らじる」と語学講座アプリの「ゴガク」についてはこれまで通りだ。さらに、対応テレビ用には、NHKプラスがリニューアルされる。

NHKではテレビでもスマホでも同時・見逃し配信ができるようになったことや、世帯での登録に対して5つまでのプロファイルを設定できるようにすることで、家族それぞれが自分の視聴スタイルを反映した楽しみ方ができることをアピールする。

独立を保つ「NHKオンデマンド」は料金体系もそのまま

気になるのは、このサービスにNHKオンデマンドが含まれていないことだ。少なくとも、新サービス関連の発表の中ではふれられていない。

990円/月で配信番組のすべてを何本でも視聴できる「まるごと見放題パック」、1本あたり110円から220円で提供される「単品商品」といったスタイルで、過去に放送されたNHKの番組を見ることができるサービスがNHKオンデマンドでは提供されているが、どうやらそれについての料金は何も変わらないようなのだ。

このサービスで配信される番組は視聴者からの受信料で作ったものだ。直近の1週間分をNHKプラスで見るときは無料なのに、それより前の番組を見るのは有料というのは、どうも、コンテンツ視聴料の二重取りのように感じてしまう。放送したらそれで終わりという一回限りの配信をいつでもどこでも何度でも見れるサービスにすることで、放送という閉じられた枠組みを超えたいということなら、このあたりも、きちんとフォローアップしてほしいものだ。

番組のアーカイブや見放題サービスの価値をどう位置付けるか

もちろん、見放題サービスには別途コストが必要だというのはわかる。でも、民放が局ごとに提供しているオンデマンドサイトのサービスと同等の料金を取るというのはやりすぎではないか。受信料を支払っている視聴者にとって、さらに追加料金が発生するNHKオンデマンドの料金は割高に感じられる。

NHKオンデマンドは受信料を支払っていなくても契約ができるし、AmazonやU-NEXTといった配信サイトでも契約することができる。支払った受信料で作った番組をオンデマンドで見るのに、受信料を払っていない人と同じ価格というのは納得できないという視聴者も多いのではないか。

先日、ちょうど10年間使った全録ビデオが壊れてしまって買い替えた。10年前当時、178,000円で買ったデッキは約1,500円/月くらいでオンデマンド欲を満足させてくれた計算になる。でも、世の中はもうビデオデッキを手元に置くような時代ではなくなりつつもあるようだ。

リアルタイムでNHKを見るのは災害時だけという視聴者も少なくないかもしれない。そんな時代のNHKのあり方を、われわれも少し考えた方がいいように思う。