今年は2024年、いわゆるオリンピックイヤーだ。7月のパリオリンピック開催に向けて着々と準備が進んでいる。

オリンピックは基本的にうるう年に開催される。つまり2月29日が存在する年だ。うるう年は四国のお遍路でさえ88番から逆向きに回る逆打ちの年だともいう。通常の10倍御利益があるとか、ないとか……。

ITの業界では通常年より1日多いうるう年が原因になって引き起こされるトラブルをよく耳にする。先日、複数の都道府県警で起こった免許証作成機のトラブルは、うるう年が影響していたという。

コンピューターが一般的に使われるようになって何百年もたっているわけではなく、その創世記から今日まで、そして100年先までを考慮しても、たかだか200年ほどだ。その間に存在するうるう年は50回ほどで、計算で特定しなくても、うるう年を列挙するだけでも事が足りそうなものだが、それでもプログラムの不具合を引き起こす重要な原因となってしまう。

プッチンプリンに会えるのは少し先になりそう

直近で話題になっているのは江崎グリコ社の基幹システムの障害だ。スーパーなどに行くと店先の売り棚に入荷しない旨の貼り紙がしてあるのを見つけることができるだろう。チルド食品の出荷再開が延長されることが公表されたくらいにコトは深刻だ(発表PDF)。

  • グリコのチルド食品はシステム障害で出荷停止が続いている。スーパーのプリン売り場では注意書きを見つけた

同社のお詫びによれば、この4月3日に新システムへの全面移行を実施したそうだが、その際にシステム障害が発生、全国の物流センターでの出荷業務に遅滞が生じ、遅配や欠配が発生していたという。いったんは再開したものの、データの不整合が発生したり、受注処理が間に合わないことによる混乱などで、出荷を再度停止するに至ったそうだ。

出荷が停止されているのは冷蔵カテゴリーのチルド商品なので、その中にはプッチンプリンなどの人気商品も含まれる。その一方で、冷凍カテゴリーのアイス商品は含まれない。いずれにしてもプッチンプリンが2カ月以上にわたって食べられないということで、ショックを受けている方もいるだろう。

この障害の原因はすでにわかっているそうだが、その詳細は同社からはまだ明らかにされていない。プッチンプリンファンのためにも早期の障害解消を願いたい。

デジタル処理の基盤を考えるのは人間だ

デジタル処理が当たり前になり、デジタル処理抜きに日々の暮らしを送ることが不可能な時代ではあるが、それを支える基盤を考えるのは人間だ。たとえAIがソフトウェアコードを生成するとしても、そのアルゴリズムを考えて、AIに作成指示を出すのは人間だ。そして、その人間の指示に曖昧なところがあればいろいろなトラブルが起こる。

うるう年はもちろん、西暦2000年問題などに遡っても、人間の最終的な判断が引き起こしたトラブルが目立つ。はるか未来の日付があって、そんな先までそのソフトウェアが使われるはずがないという想定がトラブルを生んだりもするわけだ。うるう年があるのはわかっていても、それを無視して仕様にしているプログラムもある。ちょっと昔のデジタル時計などはそういうものが散見された。

ちなみにうるう年に伴うプログラムミスは、まず、その年の2月29日に発覚するとされる。存在しないと決め打たれた日付だ。そして次に発覚するのはその年の大晦日だ。

まだ先の話だが、うるう年の12月31日に何かが起こるというのは利用する側も、利用させる側も、そして何よりも、システムの運用者にとっては考えたくないことだ。こうしたことこそ、まっさきにAIがチェックしてくれればいいのにと思う。