Amazon Musicが人気ポッドキャスト番組のハイライトを試聴できる「【公式切り抜き】ポッドキャスト試聴室」の配信を開始した。

それぞれのコンテンツを5分間に編集したハイライトを試し聴きできるというもので、初回配信では、18番組がまとめられ、今後順次セレクションを拡大していくという。

  • Amazon Musicアプリの「【公式切り抜き】ポッドキャスト試聴室」

おもしろいコンテンツに出会う確率を上げる

この視聴室は、最初の段階では、アマゾンが把握している人気ポッドキャストが取り上げられる。当たり前の話だが、アマゾンは、どのポッドキャストがどのくらいの人気なのかを正確に把握しているからだ。

そこに選ばれるのもかなりの難関のはずだ。ただし、アマゾンでは、この視聴室への参加希望も受け付ける。問い合わせれば担当者から折り返しの連絡があるという。もっとも、選考の結果、応募しても採用されない可能性もあるという。さすがに世の中は厳しい。

ポッドキャストはオンデマンドで、好きな番組を好きなときに聴けて、そして、自分に響かなければすぐに別の番組を聴いたりすることができる。ザッピング自由なコンテンツなのに、なぜ、ダイジェストが必要なのか疑問だったが、それこそ星の数ほどあるポッドキャストコンテンツの中から、お気に入りのものを探すのは聴く側にとっても至難の業だ。

積極的に、探してやるという強い意志があればできるかもしれないが、世の中の多くのリスナーは、なんとなくつけたら、なんとなくおもしろいコンテンツが流れていてほしいし、偶然でいいから、おもしろいものに出会えたらいいと思っている。そんなものだ。

それでもおもしろいものに出会う確率が少しでも上がるのならその方がいい。つまり、偶然を引き寄せることができればその確率があがるのだ。

ハイライト部分でリスナーの心をつかめるか

昔は、こういうことをするのがたいへんだった。世の中の流行り物について、クチコミを頼るのも難しかった。特に、ロングテールで世の中の多くが無関心な領域では苦労する。たまたまスイッチを入れたラジオやテレビから、人生を変えるようなコンテンツが流れてくるなんてことは、本当にまれだ。

だからこそ、ハイライト部分だけの試聴で、本編を聴く、聴かないを決められるのはありがたい。選ばれる方にとってはコンテンツ冒頭の数秒でリスナーの心をわしづかみにしなければならないし、それに失敗すると、せっかくの本編が聴かれないまま埋もれてしまう。

ちなみに、同じようなコンテンツザッピングを既存の環境でやるには、たとえば、人気のポッドキャストを並べ、それを順番に再生していけばいい。でも、スキップした部分にやけにおもしろいコンテンツが隠れていたりするかもしれないことは覚悟の必要がある。

ポッドキャストを手軽に巡回できるデザインを希望

それ以前に、既存のアプリでは、並んだポッドキャストのリストを、テレビのチャンネルをザッピングするように、ちょっと聴いては次へ、次へとスキップしていくのがやけにめんどうだ。

そもそもAndroidなどは、Amazon Musicアプリのできが悪すぎる。あまりにも使いにくいのだ。普通に音楽を聴いているときに、次の曲にスキップするように、ポッドキャストも、コンテンツをスキップしながら順に聴いていければ、便利なのにと思う。この視聴室は、アプリで開いて聴くよりも、ブラウザで開いたほうが、スキップしたりの操作が容易で使いやすい。これならお気に入りのポッドキャストを見つけやすいと思う。

優れた才能を持っていることはもちろん、さらに努力を重ねながらコンテンツ作りに懸命にならないと成功しないし、たとえ、優れたコンテンツを提供していたとしても、それがリスナーの耳に届いていなければ意味がない。

人気のYouTuberなどは、世に出る運もあるのだろうけど、それを維持するために並大抵ではない努力をしているはずだ。それはポッドキャストの世界でも同じだろう。完パケを公式が切り抜くという大胆な試みではあるが、それが全体の質を底上げるることを期待したい。