11月1日、スマートガジェット大手のAnkerグループの日本法人、アンカー・ジャパンがAnker Power Conference 2023 Fallを開催、これから発売される各種新製品を発表した。

モバイルバッテリや充電器などで広く知られる同社だが、昨今は家電の領域にも進出、さらに今回は、AIペットロボットLoona Blueを発表するなど、参入分野を拡大し続けている。

  • Ankerの新製品発表イベント「Anker Power Conference 2023 Fall」

充電を取り巻く環境が大きく変化、iPhoneにもUSB-C

冒頭に登壇した同社代表取締役CEOの猿渡歩氏は、充電を取り巻く環境が大きく変化していることを指摘、新しいiPhoneがUSB-Cを採用したことがその変化を加速しているという。そして、「小さい、速い」が充電の新常識だと断言する。

たとえば、USB PD 100W以上の給電ができる充電器の同社Primeシリーズは、GaN素子を使って小型化と安全性の両立の努力を続けている。

  • 代表取締役CEOの猿渡歩氏

  • アップルのiPhone 15紹介ページ。iPhoneのUSB-C対応がアピールされている

今回は、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)のパソコンに、Anker製の充電器とケーブルが同梱されることを発表、ステージには富士通クライアントコンピューティング代表取締役社長の大隈健史氏が登壇した。

大隈氏はこの協業について、人々の生活は大きくオンラインに依存するようになり、オフィスや自宅に限らず、場所を問わない新しい働き方を発見するトレンドがあるとした。そして、パソコンだけが軽くなっているのではなく、暮らしのパートナーとしての充電器は、携行するスマートデバイス全体を軽快にするために、周辺機器もセットで軽くなるべきだとアピールした。

今回の協業では、FCCLの世界最軽量モバイルノートPCであるUHシリーズの同梱製品として、Anker製品の採用が実現した。FCCLのUHシリーズは世界最軽量となる約689gを実現した製品だ。画面の大型化に伴い先代の634gからは重くなってしまったが、14型16:10の画面を持つノートパソコンとしては今なお世界最軽量だ。

この製品では、65W対応USB PD対応急速充電器と、耐久性・安全性・しなやかさを兼ね備えたUSB-Cケーブルの2製品をセットにした「Anker PowerPort III 3-Port 65W Pod with 6ft C-C cable」が同梱される。一般的な60W充電器に対して、約55%の容積を誇るコンパクトサイズの急速充電器だ。

iPhoneもAndroidもパソコンも充電できる充電器

今回発売された新製品群の多くは、来年春以降発売のものが多いが、USB PD対応のモバイルバッテリについては30W超出力のものが目立つようになってきている。

これまでのモバイルバッテリで18~20W出力程度のものが多かったのは、多くのスマートデバイスが18W程度でしか充電できなかったからだ。だが、現行製品の多くが30W充電に対応するようになったのに加え、iPhone 15シリーズもまたUSB-C採用のみならず、30W対応をアピールする。

Androidスマートフォンも、Google Pixelなどが30W充電に対応している。単純計算では18Wが30Wになることで1.6倍の急速充電ができるようになるはずだ。

また、30Wの給電ができれば、ノートPCの非常用電源としても現実的だ。FCCLのUHシリーズも30W対応のモバイルバッテリを接続すれば、ピンチのときの非常用電源として使える。AndroidスマホもiPhoneも、そしてパソコンも30W超対応のUSB PD充電器と両端USB-Cのケーブルに統一でき、トータルでの携行品は少なくなり軽快になる。

  • パソコン付属の一般的なUSB PD対応電源アダプタ(右)とAnker製品(左)の重量比較。Ankerの充電器はカタログスペックでは重さ130g。ケーブルを加えても150g以下。UHシリーズに同梱されるUSB PD対応ACアダプタは45W出力で、写真の一般的な他社製品よりコンパクトだが250g程度。Ankerの充電器を使えば約100gのダイエットと65Wへの増量が瞬時にできる

猿渡歩氏がいうところの“充電を取り巻く環境が大きく変化している”ことの典型的な面は、まさにここにあり、「小さい、速い」が充電の新常識になりつつあることが実感できる。

来年春以降の発売製品の発表をこの秋にまとめてアナウンスするのは、製品をこれから入手する以上、片方がUSB-Aのケーブルや、USB-Aポートしかない充電器、USB PD非対応の充電器、モバイルバッテリを買ってはいけないことを知らせる同社の愛なのかもしれない。