今年も3月11日がやってくる。2011年の東日本大震災があった日だ。
丸10年がたったがあの日を忘れてはならない。そして、少し前向きに、未来のために、身の回りの防災グッズを見直すいい機会だと考えることにする。いわば定期点検のタイミングだ。
テレビやインターネットのニュースサイトを眺めていても当時の話題が数多く取り上げられるので、「そういえば」と思い出してチェックするのを忘れなくてすむ。
防災グッズは未来のために定期的な点検を
昨2011年の3月には防災グッズとして、比較的大きな電力を追加しようとAnkerのポータブル電源「PowerHouse II 800」を紹介した。幸い、入手以来この1年間、一度も使わずに押し入れの中に格納したままで過ごすことができた。
バッテリの健康ということを考えると、全体の半分くらいの容量を充電して冷暗所で保存というのが理想的だが、いざというときに半分しか容量がないというのでは心許ない。なので、毎年3月を定期点検のタイミングとしてフル充電の状態にしておこうと決めた。
そして、約1年。PowerHouse II 800を点検してみると、残り容量は92%だった。1年間で8%の放電だ。この製品は、充電される機器が接続されていない状態でも待機時消費電力によってわずだがバッテリが消費され、自然放電以上にバッテリが減るはずだが、なかなか優秀な長期保管耐性を持っているようだ。
このバッテリに電力を継ぎ足して100%にし、また、押し入れに収納した。本当は、いったん空になるまで放電させてからフル充電して保管というのが理想的だ。
バッテリの経年劣化は製品によって違う
Ankerからは、最新製品として「Anker 535 Portable Power Station(PowerHouse 512Wh)」が発売された。容量は512Whで重量は7.6キロ。USB Type-Aポートが3つとUSB PD対応のUSB Type-C 60Wポートがひとつ、そして、AC100Vコンセントが4つ装備されて500Wまでの電化製品に電力を供給できる。また、12Vのシガーソケットも装備されている。
この製品の最たる特徴は、リン酸鉄リチウムイオン電池の中でも特に高品質なセルを採用しているとのことで、一般的なポータブル電源の約6倍の長寿命バッテリを実現していることだ。充放電を3,000回繰り返しても初期容量の80%を維持できるらしい。
同社では「1週間に3回の頻度で8年間利用した場合でも、経年劣化による最大容量の低下は10%未満のため長期間安心して使用できます (気温25度の使用環境および1回の利用にあたり放電深度100%で1サイクル充放電する場合の理論値。ご使用の機器の使用状況や保管環境により変動します) 」としている。非常時だけではなく、日常的にバッテリを使っていても8年間は実用域を維持できるというのは心強い。
保存耐性という点では、以前の製品は省電力モードがなく、待機消費電力でバッテリが自然放電以上に消費されていたが、この新製品では改良されて省電力モードを搭載するようになった。このモードをオンにしておくことによって、待機時間が長く続く場合は自動的に出力がオフになって不要なバッテリ消費を抑制することができる。
Ankerに問い合わせたところ「全く充電せずに長期間おいておくこと自体は弊社としては推奨はできかねますが、数カ月に一度の防災備蓄の見直しタイミング等で充電していただければと思います。電源オンするとディスプレイに残容量がでますので、定期的に確認いただくほうがおすすめではあります」という回答だった。
準備した防災グッズ、無駄になるのは幸せなこと
今後は、念のため、毎年3月に加え、6カ月点検のタイミングとして台風シーズンを前にした9月の防災の日を目処に、点検を実施することにしよう。余裕があれば、いったんバッテリを使い切った上で100%にフル充電するという手順をふむことにする。
仮に一度も使わなかったとしても10年たったら新品に置き換えということにしよう。とりあえず、毎年3月にはこの連載で、バッテリの状況をお知らせするようにしたい。
仕事場を兼ねた今の住居は東京23区内の集合住宅だが、1996年の春に引っ越してきて四半世紀が過ぎた。ただ、東日本大震災のときを含め、これまで停電らしい停電を経験していない。でも、この先、いつ何が起こるかわからない。
備えあれば憂いなしということで、無駄になることは幸せなことだと思って、防災グッズを整備しておく。そして、揃えるだけではなく定期点検も怠らないようにして、いざというときに備える。電源さえ確保できれば非常時の不安な環境を大きく改善できる。