福島県沖の地震が発生してから10日余りが過ぎた。10年前の大震災の余震だとされているようだが、改めて、災害対策の重要性を再認識する。用意しておいて使わないですむほうが、用意しなくて困るよりずっといい。
日頃から電力供給の手段を確保しよう
地震に限らず、災害中の装備として重要なのが電力の確保だ。スマホやパソコンなど、情報の収集のために役立つデバイス類も電力を確保できなければただの文鎮だ。
だから、大きな地震があったときには、手元のモバイルバッテリーの保守について考えるようになった。たとえば、毎年×月×日には、備蓄してあるモバイルバッテリーをフル充電にしておこうといったことを決めるのだが、喉元過ぎれば……もあって、なかなかきちんと励行することができないできた。
今回の地震が起こったのは午前零時近くだった。自宅にいたが、停電等が起こることもなかったが、念のために、手元にあった大容量のモバイルバッテリーを2つほどをチェックしたところ、どちらも75%ほどの容量だったので、念のために継ぎ足し充電をしながら就寝した。何年か前にフル充電した状態で放置してあったのだが、放電がそれだけですんでいるのは優秀だと感心する。
もちろん、何台かのスマホやパソコンにも電力を供給し、翌朝まではフル充電を維持できるようにしておいた。また、いつ避難を強いられても困らないように、バックパックに必需品を格納してから床についた。
使っていないスーツケースに非常グッズをまとめる手も
本当は、災害などが起こらなくても、この程度の準備は普段からきちんとしておいたほうがいい。毎日使うもののみならず、万が一の装備として自宅に保管してある災害ガジェットについては、停電で真っ暗闇になったとしてもいつでも取り出せる場所に、それなりのメンテナンスを維持しながら置いておくということが重要だ。
普段使わないものをいつでも使えるようにしておくには、それなりの努力が必要だが、それが徒労に終わることは多い。でも、徒労に終わったことを素直にありがたく感じられるようになりたいものだ。
今は、コロナ禍のせいもあって、旅行用のスーツケースの出番がなくなっている。スーツケースに非常グッズを入れて、いつでも持ち出せるようにしておくのもいいかもしれない。
ポータブル電源は「持ち出せるか」も大事
最近は、大容量のポータブル電源が目につくようになっている。モバイルバッテリーのジャイアント版と言ってもいい。キャンプなどのアウトドアでも使われる電源だ。災害対策グッズとしても注目されているようだ。
500~1,000Wh程度の容量のリチウム系バッテリーを搭載している製品が多い。ノートパソコンに搭載されているバッテリーが50Wh前後、スマホなら20Wh前後であることが多いので、容量的にはその10~20倍を確保できることになる。
何かいい製品があるなら、手元に置いて災害対策用になるのではないかと、いろいろと物色しているところなのだが、いくつか気がついた点がある。もちろんいざというときに持ち出せるくらいに現実的な重量というのもポイントだ。
まず、出力についてはほとんどの製品がAC100V、シガーソケットなどによる直流DC12V、そしてUSB Type-Aによる出力、USB Type-CでのUSB PD出力に対応している。逆にいうと、この4種類の出力に対応できない製品は避けた方がいい。
汎用ケーブル対応だと安心なのだが……
見落としがちなのがその充電方法だ。ほとんどの場合、本体同梱の専用ACアダプターを装着しての充電がもっとも効率がよく、短時間でフル充電にできる。
ただ、汎用性ということを考えると、ACケーブルさえあれば、充電できるようになっていてほしい。それができないなら、USB PDによる充電をサポートしていて欲しい。今や、USB PDでは最大100Wを供給できるのだから電力的にも問題はないだろう。専用ではなく汎用であることが重要だ。
いざというときに、他の機器で使っている何かを使えるというのは大きな安心感につながる。充電しようとしたときに、専用ACアダプターが見つからなくて詰んでしまうよりも、パソコンやスマホで使っているUSB PD充電アダプターが使えたり、他の機器でよく使われているメガネケーブルやミッキーケーブルが使えるようになっていれば、それだけで難を逃れることができるかもしれないからだ。
毎日使うものでない以上、いろいろなパターンの万が一を想定しておく必要がある。そういうことを考え始めると、なかなかベストな機器が見つからないのがもどかしい。