近くにいる友人のiPhoneから自分のMacへ写真を送ってもらう……そんなとき場面にピッタリの機能が「AirDrop」です。メールに添付して送って、などと言うと笑われてしまうかもしれませんよ?

「AirDrop」のココがいい!

スマートフォンとパソコンは、補完関係にあります。移動中に立ちながらでも利用できる機動性の高さで選ぶならスマートフォン、腰を据えて作業するなら人間が作業しやすい大きさのディスプレイと入力装置(キーボード/マウス/トラックパッド)を備えるパソコン、とキャラクター的にも棲み分けができています。

iPhoneとMacは、そのスマートフォンとパソコンという関係性の延長線上にありますが、いろいろな点で洗練を感じさせてくれます。インターネット上のサーバを経由して連絡先やメモなどの情報を同期させる「iCloud」、その認証に使われる「Apple ID」はWindowsパソコンでも利用できますが、Macからテザリング開始を指示できる「Instant Hotspot」、iPhone/iPadのSafariとの間で開いたタブを共有できる「iCloudタブ」はMac/iOSデバイスだけの機能です。

書類や各種データをワイヤレス転送できる「AirDrop」も、iPhoneとMacだけの機能です(正確にはiPadとiPod touchも含みます)。Bluetooth LEによるワイヤレス通信を頼りに通信相手を探し、こちらと通信可能な場合には相手の情報(iPhone/Macの名称)が表示されます。それをタップ/クリックすれば、写真や連絡先データ、閲覧中のWEBサイトのURLを直接転送できるのです。

この「直接転送」がAirDropのポイントです。Bluetooth LEは消費電力が少なく、つねにオンの状態でもバッテリーのもちに対する影響はごくわずかです。通信速度はいまひとつですが、AirDropは通信経路をWi-Fiへと自動的に切り替えてくれるので、写真の転送は一瞬で完了するほど高速なデータ転送を実現します。しかもインターネットを経由しませんから、基地局がない山奥ですら利用可能です。近くにあるiPhoneとMacでデータ転送するなら、だんぜんAirDropが有利です。

  • MacからAirDropでファイルを送信する場合は、Finderの「AirDrop」画面を利用します

AirDropの使いかた

1. AirDropを利用するには

iPhoneとの間でAirDropを利用するには、OS X Yosemite以降が動作する2012年よりあとに発売されたMac(詳細はこちら)が必要です。Appleが要求するスペックを満たしているかどうかはともかく、「システム情報」を起動して「ネットワーク」→「Wi-Fi」の順に画面を開き、AirDrop欄に「対応」と表示されていればOKです。

やり取りするiOSデバイス側にも条件があります。対応モデルはiPhone 5以降のiPhone、iPod touch(第5世代)、iPad 4以降のiPad、およびiPad miniで、システムがiOS 7以降でなければなりません。とはいえ、現在利用されているiOSデバイスのほとんどがこの条件を満たしていることでしょう。

  • システム情報で「Wi-Fi」項目を見ると、AirDropに対応しているかどうか確認できます

2. iPhoneから写真を転送する

iPhoneからMacへAirDropで写真を転送するには、『写真』など共有メニューを表示できるアプリを利用します。転送したい写真を表示した状態で共有ボタン([↑])をタップすると、近くにあるMacやiPhoneが転送先候補として現れます。そこで目的の相手をタップすれば、数秒ほどで転送が完了します。

ただし、MacのシステムはOS X Yosemite以降を用意し、そのうえでWi-FiとBluetoothを有効にしておかなければ、iPhoneの共有メニューに転送先の候補として現れません。自分以外(異なるApple IDのユーザ)から転送される場合は、写真を受け取るかどうか確認するダイアログが表示されます。

  • 「写真」などのアプリで共有メニューを表示し、転送先のMac/iOSデバイスを選びます

3. Macからファイルを転送する

MacからiPhoneへ画像などのファイルを転送する場合は、Finderのサイドバーで「AirDrop」(または[移動]→[AirDrop])を選択し、転送先のiPhoneのアイコンが表示されるまで待ちます(スリープ状態になると消えます)。そこへファイルをドラッグして重ねれば、間もなく転送がスタートします。

ただし、転送先のiPhoneがAirDropの条件に「連絡先のみ」を選択している場合、相手が許可してくれないかぎりファイルは転送されません。自分が所有するiPhone(同じApple IDでサインインした端末)はこのかぎりではなく、なんの確認も行われずに転送が始まります。

  • FinderのAirDrop画面に現れた相手のアイコン上に、転送したいファイルを重ねます

  • 相手のiPhoneには、AirDropを受け入れるかどうかの確認ダイアログが表示されます

4. どのようなファイルでも送信していいの?

MacがAirDropで受信できるファイルに制限は特にありませんが、送信先がiPhoneの場合はそうとは限りません。Macではどのようなファイルでも扱えるファイルブラウザ(Finder)で受信するため、ファイルに対応したアプリ(ファイルを開くことができるアプリ)があるかどうかを考える必要はありませんが、iPhoneで受信するときはファイルに対応したアプリがあることが前提です。

MacからAirDropでiPhoneへファイルを送信し、対応するアプリが特定できない場合は、「ファイル」アプリでiCloud Driveに保存するよう促すダイアログが現れます。結局のところ、iPhoneでは内容を見られないため、相手がどのようなアプリを持っているか事前に確認したほうがいいでしょう。

  • 送信したファイルに対応するアプリを特定できない場合、相手のiPhoneには「ファイル」アプリでiCloud Driveに保存するよう促すダイアログが現れます