いまやMacのUSBポートといえば「USB-C」。上下を気にせず挿し込めるうえコンパクト、モバイルバッテリーなど周辺機器も充実...しかし、従来のUSB-Aとはいろいろな点で違いがあり、一筋縄にはいきません。今回は、USB-Cポート搭載のノート型Macを充電するときの基礎知識を紹介します。
USB-Cは「給電だけ」か「充電も」かが重要
MacBook(2015年以降)、MacBook Pro(2016年以降)、MacBook Air(2018年以降)には、側面にUSB-Cポートが搭載されています。いずれのモデルも従来の電源用コネクタ(Mag Safe)を廃止し、USB-Cからの電源供給に切り替えています。つまり、USB-Cは周辺機器を接続するためだけではなく、Macに電源を供給し内蔵バッテリーを充電するためのポートでもあるのです。
USB-CでMacを充電するときには、ACアダプタのワット数に注意を払わなければなりません。ノート型Mac各モデルには適合ワット数があり、それよりワット数の大きいACアダプタは支障なく使用できるものの、小さいACアダプタは十分な電力を供給できず、Macに給電できてもバッテリーは充電されない状態になることがあるからです。
適合ワット数より小さいACアダプタを使用した場合、Macの電力使用量が供給量を上回りバッテリーに充電されません。だから、ACアダプタに接続し続けているのにバッテリー残量が減ってしまう、という事態もありえます(Macの負荷を減らせば充電が始まることもあります)。
その「給電だけ」か「充電も」かを見分けるには、メニューエクストラのバッテリーアイコンをチェックします。Macに給電/充電中の場合、バッテリーアイコンには稲妻マークが表示されますが、給電だけの場合は背景が黒で稲妻が透明、給電にくわえて充電も行う場合は背景が透明で稲妻が黒になります。
純正ACアダプタがベストとは限らない!?
ノート型Macに給電/充電するときは、製品に同梱されている純正ACアダプタを使うことが基本ですが、それが必ずしもベストな方法ではありません。理由は2つあります。
理由の1つは、サイズと重量です。MacBook Pro 13インチに付属のACアダプタ(MRW22LL/A)を例にすると、約72×72×28mm/約193gであるのに対し、同じ出力61WでUSB PD対応のACアダプタ「RAVPower RP-PC112」は約49×49×32mm/約118gとコンパクトかつ軽量です。このRP-PC112という製品は、電力の制御/供給を行うパワー半導体の素材に「GaN(窒化ガリウム)」を採用しており、これまで主流だったシリコン素材に比べ効率化/小型化を実現しています。
もう1つの理由は、「大(容量)は小を兼ねる」ということです。たとえば、MacBook Air(2018年)に付属のACアダプタは30Wの「MR2A2LL/A」ですが、MacBook Pro 13インチ(2019年)に付属する61Wの「MRW22LL/A」でも高速充電が可能です(表参照)。通常USB PD対応のACアダプタは、「5V×3A(=15W)」や「12V×3A(=36W)」、「20V×3A(=60W)」など複数の出力パターンを持っているため、自分が使う機器がそのパターンに該当すればいいのです。
もし、その2台のMacを外出先で利用するのなら、最大出力61WのMRW22LL/A 1台を持参すれば用が足ります。前項で述べたサイズと重量の観点からいえば、同じ61Wなのに小さくて軽いGaN採用サードパーティー製ACアダプタのほうがいい、ということにもなります。
Apple純正アダプタとノート型Macの充電/給電の関係(○=高速充電+給電、△=高速充電非対応) | ||||||
型番 | ワット数 | MacBook('15~) | MacBook Air('18~) | MacBook Pro 13"('16~) | MacBook Pro 15"('16~) | MacBook Pro 16"('19~) |
MU7T2LL/A | 18W | △ | △ | △ | △ | △ |
MJ262JA | 29W | ○ | △ | △ | △ | △ |
MR2A2LL/A | 30W | ○ | ○ | △ | △ | △ |
MRW22LL/A | 61W | ○ | ○ | ○ | △ | △ |
MNF82J/A | 87W | ○ | ○ | ○ | ○ | △ |
MX0J2AM/A | 96W | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ケーブルに注意
給電/充電でベストな性能を引き出すためには、端子が同じUSB-CであればOK、挿し込めれば問題なし、という考えかたを改めましょう。あくまでUSB PDはUSB-C(USB Type-C)のオプション規格であり、端子形状がUSB-C(USB Type-C)のケーブルでもUSB PD対応とは限らないのです。実際、USB PDに対応しないUSB-Cケーブルは珍しくありません。
USB PD対応ケーブルには3A対応と5A対応の2種類があり、電圧が同じであれば5A対応ケーブルのほうが高速に充電できます。どの電圧・電流の組み合わせで給電/充電するかは、USB PD対応ケーブルと機器間のネゴシエーションによって接続時に決定されるため、5A対応ケーブルを利用すれば必ず5Aの電流が流れるわけではありませんが、ケーブル選びの参考にはなります。