編集部注: 本稿は、2012年6月15日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。

先週は、取材で台湾へ行きました。台湾といえば、最近では、多くのメーカーがAndroidを手がけているし、他社から製造を受注するODM企業も少なくありません。もっとも、こうした企業でも、工場自体は中国本土にあることも多いのですが。

ただ、アメリカなどに比べると、スマートフォン関連は、それほどバリエーションがない感じです。地元ともいえるHTC社はあちこちに専門店があるのですが、現在の主力はHTC oneシリーズ。筆者的には、いまいち、ヒキを感じません。そのほかでは、SamsungのGalaxyシリーズが多く、よく見かけるのは、Galaxy NoteやGalaxy SIIIなどです。

そんな中で、筆者は、MotorolaのXT316というキーボード一体型のAndroidスマートフォンを買いました。W-CDMA/GSMに対応しており、Android 2.2を搭載しています。液晶はQVGAですが、キーボード一体型としては珍しく縦使い(横240ドット×縦320ドット)です。

今回は、海外で購入したAndroidを使うための設定などについて解説しましょう。なお、基本的な話として、海外で購入した機器でも「技術基準適合証明」または「技術基準適合認定」を取得していることを示す「技適マーク」があれば、日本国内でも利用できます。

海外向けに販売されているAndroidスマートフォンには、言語切り替えで日本語に切り替えが可能なものとそうでないものがあります。Android自体は、各国の言語に対応しているのですが、メーカーの都合で対応可能なすべての言語への切り替え機能を搭載していないことがあります。

しかし、Android自体は、各国の言語を表示する機能を持っているため、海外向けのものでも、たとえば、Webブラウザなどで日本語を表示させることは可能です。

Androidの設定で言語を切り替えると、以下のような部分が切り替わります。

  • アプリ名やその表示など(メッセージ)
  • 日付や時間の表示など
  • Webブラウザなどが標準とする言語

海外で販売されているAndroidが「日本語」に対応していない、というのは、たとえば、設定ページの表示などを行うための日本語「メッセージ」データを搭載していないということです。こうした部分はソフトウェア開発時に切り捨てることで、テスト項目が減らせ、またOS自体のサイズを小さくすることができるため、日本でビジネスする可能性のないメーカーでは、最初から切り捨てることがあります。

しかし、日本語の表示を行う仕組みは、Androidに最初から組み込まれており、これをはずすのはかえって手間であるため、普通はそのままになっています。なので、海外向けのスマートフォンで日本語のWebページを見ることは可能です。

もう1つは、時間や日付の表示などです。たとえば、日本語では、「2012年6月1日」と日付を表記しますが、アメリカなどでは「1 June 2012」といった表記になります。こうした部分も言語に依存する部分ですが、必ずしも言語だけではありません。日本語の日付は「2012/06/01」と数字記号だけで表記しますが、「年月日」の順です。ところがアメリカだと「01/06/2012」と「日月年」の順になります。つまり、地域、国によって違いが生じます。

このように言語と地域には、ある程度の関連があり、この2つを合わせて「ロケール」といいます。Androidの言語切り替えは、実は「ロケール」の切り替えです。一般に日本を表すロケールは「ja-JP」です。これは「日本語(japanese)」と「日本(JAPAN)」の組み合わせです。英語は、アメリカでも英国でも使われますが、アメリカと英国には習慣上の違いや綴りの違いなどがあります。これを「en-US」(EnglishとUnited States of America)、「en-GB」(EnglishとGrate Britain)を意味します。ちなみに英国の正式国名は、 United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国)で、United KingdomやUKと略すことがあります。

このロケールの先頭2文字は、ISO 639で定められた「言語コード」(2文字言語コードとも)で、後半2文字は、「国名コード」(同2文字国名コード。ISO 3166-1で定義)です。

もし、ロケールがAndroidに登録されていない場合、Google Playから「MoreLocale 2」というアプリをダウンロードしてインストールすると、設定としては日本語が使えて、日付の並びなども日本向けになります。ただし、メッセージが置き換わるかどうかはシステム次第です。Googleの標準アプリケーションなどは、各国語の名称を内部に持っているため、アプリ画面のアイコン名が日本語になりますが、それ以外のアプリでは変わらないこともあります。

台湾で販売されていたモトローラXT316は標準では、言語として英語か中国語しか選択できない。最初は英語のままにしておく

MoreLocale2を起動する。ここで「Japanese(Japan)」を選択する

すると日本語対応しているアプリでは日本語表示が可能になる

また、標準アプリなどもアイコン名が日本語表示になる

これを入れたあと、日本語入力のためのIMEをインストールします。今回のように物理キーボードがついている場合、対応しているかどうかがIMEの選択ポイントになります。たとえば、Google IMEは物理キーボードを認識しないようです。これに対して、物理キーボードと相性がいいのは「Simeji」です。Simejiでは、物理キーボードの場合には「Shift+Space」で日本語、英語の切り替えが可能です。ただし、入力欄を一回タッチしないと正しく切り替わらないことがあります。インストール直後、設定の「言語」でSimejiをアクティブにしたあと、標準のアプリ(Google検索ウィジェットなど)で、IMEとして選択(文字入力エリアを長押し)、正しく文字入力ができるかをテストしたほうがいいでしょう。一度正しく動くと、そのあとは文字入力エリアをタップする程度でSimejiは正しく動くようになります。

Simejiで日本語入力中。Shift+Spaceで日本語モードになり、画面右下にちいさく「あ」と表示される。画面の一番下にグレーのステータス行が表示されていればSimejiが動作している

もう一回Shift+Spaceを入力すれば、英語モードとなる。右下の表示は「A」に切り替わる

これで基本的な設定が完了です。海外には、プリペイド方式で利用できるAndroidスマートフォンが販売されていることも少なくありません。また、CDMA方式のようにSIMカードではなく、端末本体内部に顧客情報を記憶させる方式もあります。このため、海外製のAndroidスマートフォンを日本語で利用する方法は一通り理解しておくと便利です。