アンドロイドにあって、他のスマートフォンにない特徴の1つがウィジェットです。ウィジェットは、ホーム画面上で動作するプログラムで、さまざまな表示が可能で、タッチによる操作も行えます。アンドロイドは、プログラム起動用のショートカットとウィジェットは別のものになっていて、どちらもスタート画面に配置できるという点が違います。iPhoneやWindows Phoneは、アンドロイドでいうショートカットのみで、付加的に情報を表示する機能を持つだけです。

また、ショートカットは1×1のサイズのものしかありませんが、ウィジェットは大きなものを開発できます。ただし配置するときには、ホーム画面のサイズを超えることはできません。

アンドロイドのホーム画面の活用のポイントは、このウィジェットにあります。原則、アプリは、アプリ画面からすべてアクセスが可能なので、必ずしもホーム画面にショートカットを配置する必要はありません。ほんとに利用頻度の高いアプリのみショートカットを配置すればよく、場合によっては、該当アプリが提供するウィジェットがショートカットの代用になることもあります。

たとえば、カレンダーアプリは、ウィジェットを持っており、これをホーム画面に配置しておくことで、今後の予定を表示させることが可能です。さらにこれをタップすることで該当の予定をカレンダーアプリで表示することもできます。つまり、ホーム画面にカレンダーウィジェットを置くだけでいいのです。

Android 3.xからは、プログラム画面に「アプリ」と「ウィジェット」が表示されるようになり、ホーム画面には、「フォルダ」を含めて3種類のオブジェクトを配置できるようになりました。しかし、現在「ウィジェット」として分類されているものは、すべて純粋なウィジェット(プログラムの1種)だけでなく、以前「ライブフォルダ」などと呼ばれていた「ショートカット」の1種も含まれています。たとえば、「ブックマーク(1x1)」というウィジェットはショートカット扱いになるのに対して、「ブックマーク(3x2)」はウィジェットです。違いは、前者は、フォルダに入れることができるのに対して、後者はフォルダに入れることができない点です。

Android 3.x以前は、ウィジェットやショートカットは、アプリとは別に管理されていて、ホーム画面の長押しやメニューから追加していました。しかし、Andorid 3.xで、プログラム画面にアプリとウィジェットタブができて、ここからホーム画面への追加を行うようになったとき、アプリ以外のものはすべて「ウィジェット」という扱いになったようです。しかし、機構的にはライブフォルダは残っており、これらを使った「ウィジェット」がいくつかあります。

JellyBeansの標準ウィジェット

アンドロイド4.2(Jelly Beans)には、表01のようなウィジェットが標準で搭載されています。調べたのはNexus 7、Nexus S、Galaxy Nexusです。バージョンのちょっとした違い、タブレットとスマートフォン、通話機能の有無などで、標準のウィジェットの構成には若干の違いがあるようです。

■表01
ウィジェット名 動作 対応アプリ フォルダ
アナログ時計 時計アプリと連動。時刻表示 時計 ×
おすすめのコンテンツを楽しむ Google Playのオススメ Playストア ×
カレンダー 今後の予定を表示 カレンダー ×
サウンド検索 音声から曲を推測 Playストア ×
カレント カレントアプリに登録された記事のリスト カレント ×
ニュースと天気 ニュースと天気の表示 ×
デジタルクロック 時計アプリと連動。時刻表示 時計 ×
フォトギャラリー ギャラリーの画像リスト ギャラリー ×
ブックマーク(3x3) Chromeのブックマーク(ブラウズ機能付き) Chrome ×
ブックマーク(1x1) ブックマークに登録された特定のサイトを開く Chrome
ミュージックプレイリスト 特定のプレイリストの再生開始 Playミュージック
メール メールアプリの新着リスト。メールアプリと連動 メール ×
メッセージ SNSの送受信 メッセージ ×
経路とナビ 指定された目的地へのナビ。地図アプリと連動 地図
交通状況 特定の目的地への経路の交通状況を表示 地図 ×
再生-マイライブラリ(6x4) 映画や書籍などのリスト Playミュージック ×
書籍 特定の書籍へのショートカット Playブックス
設定をショートカットにする 設定項目を直接開く 設定
直接メッセージ 特定の人にメッセージを送信 メッセージ
直接発信 特定の電話番号をダイヤル 電話
電源管理 設定変更 (設定) ×
連絡先(3x1) 特定の連絡先を開く 連絡先 ×
連絡先(1x1) 特定の連絡先を開く 連絡先
GMail 受信箱のリスト Gmail ×
Gmailのラベル 特定のラベルのメールを表示 Gmail
Google Now 現在のGoogle Nowのカードを表示 Google検索(Google Now) ×
Google Playbooks Playブックスのマイリスト表示 Playブックス ×
Google Playミュージック Playミュージックの再生状態や再生制御 Playミュージック ×
Google+投稿 Google+の新着と投稿 Google+ ×
Google検索 Google検索を起動 Google検索(Google Now) ×
Playストア Playストアのオススメリスト Playストア ×
YouTube YouTubeのオススメリスト YouTube ×

たとえば、スマートフォンに搭載されている「ニュースと天気」ウィジェットはNexus 7には搭載されていません。また、連絡先ウィジェットはどのAndroidにも搭載されていますが、電話機能を持つスマートフォンには「直接発信」、「直接メッセージ」といったウィジェットがあります。

Nexus 7は、購入直後はコンテンツオススメ系のウィジェットがスタート画面に配置されているので、実用性のなさそうなウィジェットが多い感じもしますが、それほど多いわけではありません。ただ、Playストアに関連するメディア用アプリに関連してコンテンツをダイレクトに開くことができるウィジェットは少なくありません。

標準で含まれるウィジェットの中には「交通状況」などのように日本でサービスが行われていないために利用できないものや、Google検索ウィジェットのようにどう使うのかが不明(最近のバージョンでは、ホーム画面に必ず検索バーが表示されている)ものもあります。

アンドロイドでは、地域によりGoogleのサービスが異なるため、標準組み込みのアプリやウィジェットでも、SIMの状態によって表示されないアプリやウィジェットもあります。たとえば、Google Voiceサービスは、米国でのみ行われています。GoogleのNexus Sは、米国のSIM(もしくは何もアカウントを設定していないSIMなしのアンドロイド機)では、Google Voiceアプリやそのウィジェットなどを表示しますが、米国外のSIMでは、Google Voiceアプリやウィジェットを表示しなくなります。

標準ウィジェットを使って見る

「連絡先」アプリのショートカットを開けば、単に連絡先アプリが起動するだけですが、連絡先ウィジェットでは、特定の人の連絡先を開くことができます。仕事でいろいろな人に電話することが多いときには、連絡先アプリを起動したほうがいいかもしれませんが、自宅やオフィス、あるいは家族などの特定の人に高い頻度で電話するなら、「直接発信」ウィジェットを配置したほうがいいでしょう。ですが、通話以外にメールやSkype、メッセンジャーなど他の通信手段も利用可能な人に対しては「連絡先」ウィジェットや「直接メッセージを送る」ウィジェットのほうがいいかもしれません。

外出した訪問先から、自宅やオフィスに帰るような場合「経路とナビ」ウィジェットで自宅やオフィスを行き先として登録したものを作っておくと便利です。これは、現在の場所から指定した目的地への経路を検索してくれるため、どこからでも自宅へ帰るやオフィスへ向かうルートを検索できます。あるいは、「俺は週に3回は秋葉原へいく」といったように特定の場所へ高い頻度で行くような場合でも、登録しておけば、他の場所を訪問した帰りに秋葉原へ行くルートを検索することができます。

なお、「連絡先(1x1)」「直接発信」、「直接メッセージを送る」、「経路とナビ」ウィジェットは、ショートカット扱いなのでフォルダへ入れることが可能です。つまり、訪問先や連絡先をまとめたフォルダを作ることができます。見た目で簡単に区別する方法はないのですが、少なくともショートカット扱いの「ウィジェット」のサイズは1×1で、それ以外のサイズのものはすべてウィジェットとなるので、フォルダへ入れることはできません。1×1でもショートカットでないものがあり、たとえば、標準では「交通状況」はウィジェットでフォルダへ入れることはできません。フォルダに入れようとすると、フォルダが逃げて場所を空けるようになります。また、連絡先も1x1のものはフォルダに入れることができますが、4×1のものはフォルダに入れることはできません。

あとから追加されるウィジェットでもショートカット扱いになるものを開発することは現在でも可能で、たとえばGoogle Driveアプリに付属している「ドライブのショートカット」は、フォルダへ入れることができます。

便利なウィジェット

Google Playストアには、ウィジェットの配布も行われています。筆者は、以下のようなウィジェットを常用しています。このほかにはアプリに付属のウィジェットもあるのですが、そちらはまた別の機会に紹介したいと思います。

Battery Solo

1x1のアイコンでバッテリ状態を表示。バッテリ状態は通知領域にもあるが、これは、円グラフで残量を表示するため把握しやすい。


https://play.google.com/store/apps/details?id=net.maicas.android.batterys

WiFi Widget

無線LANの接続先(SSID)やIPアドレスなどの状態表示と無線LANのオンオフ、Wi-Fi設定を開く機能のあるウィジェット。各種サイズあり。便利なのは2x1のもの。


https://play.google.com/store/apps/details?id=com.rb.wifiwidget

Rotation Locker

画面の回転や自動回転を制御。ウィジェットは自動回転のロック、アンロックの切替とその表示。アプリを起動すると、自動、縦、横方向の手動表示切り替えかつ自動回転禁止が可能。画面を横向きのままに指定指定したい場合などに利用できる。


https://play.google.com/store/apps/details?id=com.devasque.rotationlocker

Widget Sync

アカウントの同期動作を許可、禁止が設定できるウィジェット。バッテリを長持ちさせたいときに同期を簡単にオフにできる。


https://play.google.com/store/apps/details?id=com.greenlogger.widget.sync

ウィジェットを使うことで、ホーム画面を情報表示の場所にすることが可能です。ホーム画面の中央のページに情報表示のウィジェットを配置しておけば、さまざまな情報を一覧できるようになります。標準のウィジェットでは、「GMail」や「カレンダー」、「デジタル時計」(あるいはアナログ時計)、「ニュースと天気」などを配置するといいでしょう。あるいは、こうした標準のウィジェットのサイズやデザインが合わないというのであれば、同じような機能を持つウィジェットがPlayストアにあります。ウィジェットに凝るのなら、このあたりから捜してみるのがいいでしょう。

編集部注: 本稿は、2013年5月17日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。