Moto Zの背面には、Moto Modsと呼ばれる拡張ユニットを装着することができます。Moto Modsは磁石で固定され、背面のコネクタでMoto Zと接続します。現在は、

  • Hasselblad True Zoom(ズーム付きカメラ)
  • JBL SoundBoost(ステレオスピーカー)
  • Moto Insta-Share Projector(プロジェクター)
  • Incipio offGRID Power Pack(外部バッテリ)

の4種と、「Moto Style Shell」と呼ばれる背面カバーが6種類あります。

Moto Modsは、装着すると自動的に識別され、初回は機能を紹介するページが表示されます。また、付属アプリ「Moto Mods」から、Moto Modsのバッテリ状態やファームウェアバージョンなどを表示することができ、また、種類によっては、設定が行えるものもあります。そのほか、Moto Modsのファームウェアアップデートなどもここから行います。

現在あるMoto Modsは、もともとあるMoto Zの機能を拡張するもので、付属アプリがそのまま利用できます。たとえば、ズーム付きのカメラアダプタであるHasselblad True Zoomは、標準のカメラアプリがそのまま対応し、音楽を再生するPlay MusicなどもJBL SoundBoostを接続するとステレオ再生を行います。

Hasselblad True Zoom

Hasselblad True Zoom(以下True Zoomと表記する)は、Moto Zを10倍ズーム付きのデジタルカメラにするMoto Modsです。ユニット側にシャッターボタンやズームレバーがあり、フラッシュは、キセノン管を使った本格的なもので、かなりデジカメ的な使い方が可能になります。もちろん、カメラアプリ側から操作することも可能です。このユニットはモトローラとカメラメーカーであるHasselblad社が共同開発したといいます。また、このTrue Zoomでは、RAW形式の保存が可能で、Hasselblad社のRAWファイル編集ツールが利用できます。

光学ズームは、これまでのほとんどのスマホがもっていなかった機能で、やはり便利です。また、専用のシャッターボタンが本体から少し離れた位置にあり、同軸でズームレバーが装備されていて、撮影感覚もかなりデジカメに近いものでした。レンズは、いわゆる沈胴式で、そのための電源ボタンがあります。ですが、本体でカメラアプリを起動すると、自動的に電源が入るほか、True Zoom側の電源ボタンを押せばカメラアプリが起動します。

これまでも、デジカメ主体のハードウェアにアンドロイドを搭載したものはありましたが、アンドロイドのバージョンアップに追いつけない、カメラ機能の起動時間が長いといった問題がありました。Moto Modsは、不要時には取り外しも可能で、オフにしていれば、本体側の電力を消費しないため、スマートフォンとデジタルカメラの両方のメリットを享受可能です。

ただ、実際に使ったところ、オートフォーカスが効きにくい場面がいくつかありました。マニュアルに切り替えることで撮影は可能なので、ソフトウェア側の問題という感じがしないでもありません。

True Zoom自体は、145gと装着するとちょっと重たい感じがあり、普段ネックストラップを使うような人だと重さを特に感じるかもしれません。一応、True Zoom自体を収納できるケースが付属しているので、必要に応じて装着するのがいいのかもしれません。

Hasselblad True Zoomは、コンパクトデジカメのようなMoto Mods

背面はには、接続端子などが並ぶ。Moto Zのカメラレンズ部分は写真左側のスポンジ部分の下に来る

Moto Zに装着して電源を入れると、沈胴式のレンズが出てくる。右手前のオレンジの部分がシャッター、その外側がズームレバーになっていて、使い心地はコンパクトデジカメとあまり変わらない

付属のMoto Modsアプリ。装着しているMoto Modsの種類やファームウェアバージョンなどを表示できる

どのMoto Modsでもアプリから、ファームウェアのアップデートを行える。このときダウンロードオプションを指定できる

詳細情報やチュートリアル(最初の装着時に表示)の再表示、Modsの再起動なども行える

JBL SoundBoost

Moto Zの本体組み込みのスピーカーは、モノラルで、ちょっとした画像の再生などには問題はないのですが、さすがに映画や音楽の再生ではステレオスピーカーが欲しくなります。JBL SoundBoostは、本体背面に装着でき、横置きのスタンドを組み込んだステレオスピーカーです。バッテリを内蔵していて、再生時には、これが使われるため、最大で10時間の音楽再生が可能になるようです。なお、充電は、Moto Zに装着して行うだけでなく、SoundBoost側にもUSBタイプCコネクタがあり、単体でも行えます。

また、背面にキックスタンドがあり、スマートフォンを横向きで立てた状態にすることが可能です。タブレットと違ってスマートフォンは筐体サイズが小さいので、単にスピーカーを入れただけでは、ステレオ効果が出にくく、そのためか、モノラルスピーカーというものがほとんどです。しかし、最近ではモノラルの音楽ソースはほとんどなく、動画などもステレオ音声が普通です。どうせ音楽を聴くのであればステレオで聞きたいと思うのが人情というものです。このSoundBoostは、スピーカーは背面にありますが、正面で聞いていて十分にステレオ感がありました。

残念なのは、このJBL SoundBoostを含むMoto Modsは、1つしか本体に装着することができません。このため、たとえば、後述のプロジェクターなどを使っている場合には、このSoundBoostを使って音声をステレオ再生することができないのです。バッテリまで内蔵しているので単体で動作できそうなものですが、Moto Modsの構造上、本体とコネクタで接続なので、しかたがない点ではあります。とはいえ、泊まりがけの旅行などに持っていくと、宿泊先などでもヘッドホンを使わずにステレオで再生が可能になるというのはちょっと魅力的です。

JBL SoundBoostは、バッテリ内蔵のステレオスピーカー。右側の丸い部分はMotoZのレンズための穴

赤いJBLロゴのある部分がキックスタンドになっていてMoto Zを横向きに立てておくことができる

Moto Modsアプリでの表示。バッテリを内蔵しているため、Mods名の隣に充電量が表示される

Moto Insta-Share Projector

Moto Insta-Share Projector(以下Insta-Shareと略す)は、Moto Zのディスプレイをそのまま投影できる小型プロジェクターです。小型とはいえ、結構明るく、周囲をちょっと暗くすれば、十分に画面を見ることができます。Insta-Share自体にスタンドがついており、机に対して角度を付けて配置したり、真上に投影することが可能です。天井に投影させれば、寝ながら映画を見るなんてことも可能です。こちらもバッテリが内蔵されているため、投影ランプの電源に本体のバッテリを使うことなく、装着時には、最大で60分間、動作時間を延長できるようです。

このInsta-Shareだけは、設定をInsta-Shareの電源ボタンで起動することが可能です。このため、動画の再生中でも設定を開くことが可能です。設定には、映像の上下のサイズ調整(台形補正。投影先がプロジェクタに対して垂直でない場合には、投影像の上下どちらかが小さくなる)が行えます。なお、ピントの調整は、Insta-Share側にあり、やはり投影象を見ながら行えます。

ただ、数10センチ程度の近距離では、ピント調整範囲が狭く、投影先は、Insta-Shareとほぼ垂直になっていることが要求されます。2メートル程度あれば、ピントを維持したまま、上下サイズの調整が利きます。

その名前から、Moto Zで再生できる動画、静止画を多人数で見るようなことが想定されていますが、映画を一人で見るなんて場合にも結構つかえます。一回枕元に置いて映画を天井に投影して見てみました。ちょっと気になるのは、高輝度のランプが使われているため、ファンが内蔵されていて、できれば、少し離れたところに置く方がファンの音が気にならないでしょう。あるいは、ヘッドホンを使うほうがいいのかもしれません。

Moto Insta-Share Projectorは、モバイルプロジェクタ。DLP方式でランプを内蔵する。中央のモトローラロゴのある部分がスタンドになる

投影部は側面にあるので、画面を上にして配置し、スタンドで角度を付ける

スタンドは90度まで開くため、このようにして天井に投影することも可能

Moto Modsアプリでの表示。やはりバッテリ充電量が表示される

Incipio offGRID Power Pack

Motorolaが扱っていますが、パッケージの様子などからすると、サードパーティの製品のようです。ですが、Moto Modsであり、設定ページなどを含め、他のMoto Modsと同じように利用できます。

このIncipio offGRID Power Pack(以下Power Pack)は、外部バッテリですが、Moto Zと一体になるため、持ち歩きが簡単です。Moto Zは比較的バッテリが保つほうですが、それでも足りない場合には、これを装着しておくと動作時間を延ばすことができます。カタログスペック上は本体の動作時間を最大20時間延長可能ということです。本体に接続した状態なら、充電器をMoto Zに接続しておけば、自動的にPower Packも充電が行われ、別途充電する必要がないのは非常にラクです。いわゆる外付けのモバイルバッテリでは、本体とは別に充電の必要があり、毎日、本体とバッテリの両方を充電するのはちょっと面倒だし、場合によっては忘れてしまうかもしれません。しかし、Power Packならそんな心配は無用です。

また、このPower Packや他のMoto Modsでもバッテリを内蔵しているものは、接続面にボタンがあり、単体でバッテリ状態をチェック可能です。これにより、Moto Zに接続しなくても充電状態を調べることができます。もちろん、装着時には、Moto Modsアプリ側で充電状態を見ることもできます。

今回は、通常版しか使っていませんが、モトローラのWebサイトを見るに、ワイヤレス充電に対応したPower Packも存在しているようです。

すべてのMoto Modsは、専用アプリ(Moto Modsアプリ)からヘルプを表示させることができます。マニュアルが付属していますが、オンラインで常に見ることができるため、必要な時に読めばいいようになっています。

Incipio offGRID Power Packは、外部バッテリで、Moto Zの動作時間を延長できる

背面にあるボタン(左側、コネクタ部のとなりのグレーの丸い部分)で、LEDによるバッテリ残量チェックが行える

Moto Modsアプリによる表示

動作切り替えによりMoto Zのバッテリを100%に保つか80%に保つかを切り替えられる。後者のほうがPower Pack自体の動作が長くなる

Moto Modsは、最初に装着したときにこのようなチュートリアル画面を表示する

Moto Modsアプリから各デバイスのヘルプを表示できる。評価時点では日本語化されてなかった

お借りして、ざっと触った感じ、Hasselblad True Zoomは、ちょっと便利な感じです。スマートフォンで写真を撮る機会は多く、ときどきズームがあればと感じることがあります。画像処理でズームできるスマートフォンもあるようですが、ちょっとガッカリした写真になることもあります。そんなとき、True Zoomでは、光学式10倍ズームが使えるため、解像度が高いまま、対象に大きく「寄った」撮影が可能になります。