6月15日から、Android Nの「DP4」(Developer Preview 4)こと、6月のプレビュー版の配布が始まったようです(ビルド番号はNPD56N)。もともとのAndroid Nのプレビュー版の計画では、 、

3月 DP1 初回リリース。アルファ版
4月 DP2 DP1のアップデート版。アルファ版
5月 DP3 ベータ版
6月 DP4 APIが確定。SDKが正式版。Playストアで配布可能
7月 DP5 最終版とほぼ同じ
7~9月 正式版 -

という予定でした。

今回のDP4は、ソフトウェア開発という点からみると、ほぼ仕様が確定したプレビュー版になります。また、逆にDP4では、追加された新機能はなく、逆にDP3まであった機能の一部のAndroid Nでの実装が断念され、将来バージョンに回されるために削除されるなど、機能的にも最終に近いものになってきました。ただし、まだ、カーネルパニックが発生する可能性があるなど、安定版とは言いがたい部分もあります。プレビュー版なので当然であり、また、ざっと触った感じDP3のときのように操作中に「黙ったまま」になってしまうことが減ったなど、ある程度の進歩は感じられます。

実装が将来バージョンに延期になったのは、「ランチャーショートカット」と呼ばれる機能です。これは、アプリの特定の機能を呼び出すショートカットです。たとえば、特定のユーザーとチャットを開始するショートカットなどです。これまで、こうしたショートカットを作ることはできず、アプリ自身がウィジェット機能を使って対応する必要がありました。これをシステム側の仕組みとして組み込むことで、アプリ開発の負担を軽減しようというのが狙いです。ですが、どうも開発が間に合わなかったようです。

ショートカットキーをいつでも表示

Android NのGUI関連では、「キーボードショートカットヘルパー」が新しい要素の1つです(写真01)。これは、アプリ実行中など、その時点で利用可能なショートカットキーを表示するための機能です。ショートカットキーには、アンドロイドが処理するものと、アプリが処理するものがありますが、アンドロイドの機能を利用していれば、アプリ固有のショートカットキーも表示させることができます。また、アプリ自身がキーボードショートカットヘルパーの機能を置き換え、自分専用のヘルパー画面を表示することも可能です。

写真01: キーボードショートカットヘルパー画面。物理キーボードでメタキー(Winキー)と"/"の同時押しで表示される。ただし、DP4では、どこでやっても同じ画面しか出なかった

この機能が入った背景には、キーボードが標準搭載されたPixcel Cの存在があります。タッチ前提で作られ来たアンドロイドでは、たとえば、ウィンドウズのボタンやメニューのようにマウスクリックやタッチと同等の働きを持つショートカットキーを表示する機能がありません。また、キーボードが必須ではないので、システム汎用のショートカットキーを説明する文書もほとんどありません。

キーボードショートカットヘルパーは、メタキーを押しながら「/」キーを押すことで表示されます。メタキーがどれなのかはキーボードによって違いますが、PC用のキーボードでは、[Win]キー(Windowsロゴキー)がメタキーになります。また、メタキーは、キーボードショートカットヘルパー画面では検索を意味する「虫眼鏡」アイコンで表現されます。

ただし、DP4が配布直後の原稿執筆時点では、独自のショートカットを定義したアプリはないようです。DP4ではどのアプリを開いた状態でも同じキーボードショートカットヘルパー画面が表示されます。かつては、物理キーボードを持つスマートフォンもありましたが、現状ほとんどのアンドロイド機がキーボードを持っていないので、アプリがキーボードショートカットに対応していないのは当たり前だとは思いますが。

表示されるショートカットキーは、「システム」、「アプリ」の2種類が最低でも表示されます。「システム」は、画面下のナビゲーション領域や物理ボタンの機能に相当するもので、ホーム画面、オーバービュー(最近使ったアプリ)画面、通知シェードなどを開いたり、「戻る」キーに相当するものです。これを見ると、いつでも「メタキー」+「スペースキー」で入力方法を切り替えできることがわかります。

キーボードを接続して使って見ると、「入力方法の切り替え」(メタキーとスペースキー)は、Android Nでのみ動作し、キーを押すたびに利用可能な入力方法が順次切り替わっていきます。表示はトースト通知のみなので、画面が切り替わったり、他のウィンドウが上に表示されることもありません。このあたりはキーボード利用を想定しての機能といえます。

なお、「最近」(最近使ったアプリ)ボタンは、「Alt+Tab」キーですが、これは、従来のアンドロイドでも動作しており、キーを押すたびにアプリ履歴から1つ1つアプリが選択されていきます。

「アプリ」は、アンドロイドが管理するアプリ起動のショートカットで、どの画面からでも、指定されたアプリが起動します。DP4では、「カレンダー」、「ブラウザ」、「メール」、「連絡先」、「音楽」と「アシスト」(Google Now on Tap)の起動です。

なお、以前のアンドロイドより、キーボードを接続すると、コピー(Ctrl-C)、切り取り(Ctrl-X)、貼り付け(Ctrl-V)が使えましたが、これらは表示されないようです(ただし、Android Nでも利用は可能)。

設定のレイアウトが変わった

また、「設定」の画面レイアウトが変更になっています。もともと、設定画面は、タブレット系とスマートフォン系で、レイアウトが違っていました。タブレットでは、最初の設定項目(設定カテゴリ)を横2段にすることができ、1つの画面により多くの設定項目を並べることができるようになっていました(写真02)。

写真02: 従来のMarshmallow(Android 6.0)までの設定画面。タブレットでは分類項目が左右2段表示になる

Android Nでは、最初の画面は、タブレットでもスマートフォンと同じく縦に項目をならべます(写真03)。左右に空きができますが、設定項目を囲む枠を表示して、左右の空きの部分を、スクロールしない「地」であるかのように見せています。

写真03: Android Nでは、タブレットでも設定画面の分類項目は縦一段に並ぶ。先頭部分には、よく使う設定などが表示される

個々の設定のページの左上は、Marshmallowでは、戻るボタン(写真04)だったのですが、これがハンバーガーアイコン(短い横線が3本並んだ図案)になりました(写真05)。これをタップすると、設定カテゴリが表示され、他の設定にダイレクトに移動できるようになりました(写真06)。地味な変更ですが、一回カテゴリページに戻らなくてよくなったので便利です。

写真04: 従来のMarshmallow(Android 6.0)では、各設定ページの左上は戻るボタンになっていた。他の設定に移るには一回、設定のトップページに戻るひつ用があった

写真05: Android Nでは、各設定ページの左上はハンバーガーアイコンになっている

写真06: ハンバーガーアイコンをタップすると、カテゴリが表示され、他の設定項目へ直接移動することができる