一週間にわたって、液晶ペンタブレット「Cintiq 27QHD」を試用したが、全体として非常に完成度の高い製品であると感じた。

まず、コントローラー部を廃したシンプルなデザインが気持ちいい。盤面全体が一枚ガラスであり、段差もないため、描くことに集中できる。部屋の中でも無駄に存在を主張することがない。描く用途以外、たとえば博物館などでのデジタルサイネージでの利用でも、このシンプルなデザインが大きな意味を持つだろう。着脱式のExpressKey コントローラーは、ファンクションキーを利用する人にも、利用しない人にとっても嬉しい。

第二に画面の高機能。高い解像度と明るい画面で描くことに集中できる。さらに専用のカラーキャリブレーション機能の提供や、30bitカラーへの対応と、ハイエンドユーザーの要求にも十分に応えてくれるだろう。

第三は安定した描写性能。画面との干渉もみられず、高解像度とあいまって、ストレスなく描写に集中できる。反面、タッチ機能は旧来から改善が見られず、アプリケーションによってその恩恵に大きな差があるのは残念だ。最初からOSとしてタッチ機能を前提としているタブレット端末と比べ、どうしても操作性で見劣りしてしまう。これはワコムの技術的な問題ではなく、OS、アプリ、タブレットドライバ三者でタッチ操作というものを共有できていないから起きる問題だと考えられる。ワコムでは「Photoshop」に対する完全対応を行っているが、他社のアプリ、特に最近ユーザーが急増している「CLIP STUDIO PAINT」への対応もより進めて欲しいところだ。