ソニーグループは、2025年度第3四半期(2025年4月~12月)連結業績を発表。売上高は前年同期比2.3%増の9兆4432億円、営業利益は同21.0%増の1兆2839億円、税引前利益が同16.0%増の1兆2985億円、当期純利益が同12.4%増の9477億円と、増収増益の結果となった。

また、2025年度第3四半期(2025年10月~12月)の継続事業による連結業績は、売上高が前年同期比1%増の3兆7137億円、営業利益が同22%増の5150億円、税引前利益が同12%増の5002億円、当期純利益は同11%増の3773億円となった。

  • 2025年度第3四半期(2025年10月~12月)の実績

    2025年度第3四半期(2025年10月~12月)の実績

過去最高の第3四半期、通期見通しを上方修正

ソニーグループ 執行役 CFOの陶 琳(タオ・リン)氏は、「売上高、営業利益は第3四半期実績として、過去最高を記録した。セグメント別では、G&NS、音楽、I&SSが過去最高益を更新している。グループ全体の収益構造の改善にも貢献している」と総括した。

  • ソニーグループ 執行役 CFOの陶琳氏

    ソニーグループ 執行役 CFOの陶琳氏

これを受けて、2025年度の通期業績見通しを上方修正し、売上高は3000億円増額の前年比2.2%増の12兆3000億円、営業利益は1100億円増額の同20.6%増の1兆5400億円、税引前利益が900億円増額の同15.4%増の1兆5500億円、当期純利益が800億円増額の同5.9%増の1兆1300億円とした。営業利益、税引前利益、当期純利益は、今年度だけで3回目の上方修正となる。

  • 2025年度通期(2025年4月~2026年3月)の見通し。今年度だけで3回目の上方修正だ

    2025年度通期(2025年4月~2026年3月)の見通し。今年度だけで3回目の上方修正だ

だが、陶CFOは、「不確実な事業環境が継続しており、慎重な事業運営を徹底し、通期決算に向けて着実に成果を出していく。2026年度の良好なスタートに向けて、2025年度行っておくべき準備をしっかりと進める」と手綱を締めた。

セグメント別の2025年度第3四半期(3カ月間)の業績と、2025年度の通期見通しは以下の通りだ。

  • 2025年度第3四半期(2025年10月~12月)のセグメント別の実績

    2025年度第3四半期(2025年10月~12月)のセグメント別の実績

  • 2025年度通期(2025年4月~2026年3月)のセグメント別の見通し

    2025年度通期(2025年4月~2026年3月)のセグメント別の見通し

PS5はPS3超えの累計9200万台を突破、メモリ影響は最小化できる?

ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の売上高は前年同期比4%減の1兆6136億円、営業利益は同19%増の1408億円、調整後OIBDAは15%増の1701億円となった。

「ハードウェアの販売台数が減少して減収となったが、為替の好影響、ネットワークサービス、ファーストパーティソフトウェアの増収が貢献し、第3四半期の営業利益では過去最高を更新した」という。

  • ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野。為替影響やネットワークサービスが業績に貢献

    ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野。為替影響やネットワークサービスが業績に貢献

2025年12月におけるプレイステーション全体の月間アクティブユーザー(MAU)数は、前年同月比2%増の1億3200万アカウントと過去最高を記録。総ゲームプレイ時間は同0.4%増となり、「ユーザーエンゲージメントは堅調に推移した。プラットフォームとしてのモメンタムは維持している」と述べた。

  • 月間アクティブユーザー数が過去最高を記録し、総ゲームプレイ時間も増えた

    月間アクティブユーザー数が過去最高を記録し、総ゲームプレイ時間も増えた

PS5の出荷台数は、第1四半期に250万台(前年同期は240万台)、第2四半期は390万台(同380万台)となり、第3四半期は800万台(同950万台)となった。第2四半期までは前年実績を上回る形で推移していたが、第3四半期までの累計では前年実績を下回ることになった。

「年末商戦は、コンソールハードウェア市場全体が想定以上に厳しい環境だったが、PS5は当初計画に沿って、インスルールベースを確実に拡大でき、累計9200万台を突破している。コンソールサイクルの後半に入り、緩やかに減少する一方、PlayStation Storeにおけるソフトアェアの売上げは、サードパーティの大型タイトル、新作ヒットタイトルなどの貢献で、過去最高を更新した。PlayStation Plusでは、上位プランへのシフトが進み、業績に貢献している」と述べた。

PlayStation向けメモリの確保については、「2026年の年末商戦をマネージするために、必要最低限の数量の確保には目途がついている。お客様の需要にしっかりと応えていくだけの供給確保に向け、サプライヤー各社との協議を引き続き進めていく」とする一方、「PS5は健全なエコシステムを構築しており、コンソールサイクルのステージを踏まえると、ハードウェアの販売戦略は柔軟に調整することができる。ハードウェアは、メモリなどのコスト上昇の影響はあるものの、これまで拡大してきたインストールベースからのマネタイズに重点を置き、ソフトウェアやネットワークサービスの売上拡大を図ることで、メモリ価格上昇の影響を最小化していくことができる」と語った。

  • 「インストールベースからのマネタイズに重点を置き、ソフトウェアやネットワークサービスの売上拡大を図ることで、メモリ価格上昇の影響を最小化していく」という

    「インストールベースからのマネタイズに重点を置き、ソフトウェアやネットワークサービスの売上拡大を図ることで、メモリ価格上昇の影響を最小化していく」という

なお、PS5の年間販売計画は1500万台としていたが、第3四半期までに1440万台を出荷した。

スタジオビジネスでは、2025年10月に発売した「Ghost of Yōtei」が、前作を上回る好調な販売を達成。「HELLDIVERS」や「MLB The Show」などの既存のライブサービスタイトルからも安定したリカーリング収益を得ることができているという。3月5日には、発売を延期していた「Marathon」を投入。2026年度には、「SAROS」や「Marvel's Wolverine」の発売が控えており、スタジオビジネスの収益成長の取り組みを強化することができるという。

「Marathonはいくつかのユーザーテストを行い、フィードバックを得て、修正をかけた。自信を持って発売する」としたほか、「ライブサービスはリカーリングビジネスである。ボラティリティの高いスタジオ運営で無くなる点がメリットである。ここにAAAゲームを加えたポートフォリオ経営を目指す」と語った。

G&NS分野の2025年度通期見通しは、売上高は前回公表値から1600億円増額の前年比1%減の4兆63300億円、営業利益は100億円増額の同23%増の5100億円、調整後OIBDAは100億円増額の同26%増の6750億円とした。

音楽分野の売上高は前年同期比13%増の5424億円、営業利益は同9%増の1064億円、調整後OIBDAは10%増の1332億円となった。ストリーミングの売上高は音楽制作で5%増、音楽出版で13%増(いずれもドルベース)となっている。

「音楽制作におけるライブ興行収入の増加、ストリーミングの売上げ増などが貢献。営業利益は第3四半期として過去最高(一時要因を除くベース)を更新した」という。

  • 音楽分野。鬼滅の刃のヒットや、10周年でシナリオのクライマックスを迎えたFGOもここに含まれる

    音楽分野。鬼滅の刃のヒットや、10周年でシナリオのクライマックスを迎えたFGOもここに含まれる

また、「Rosaliaの新作アルバム『Lux』は、Spotifyでの配信初週の再生数がグローバルで1位を獲得するなど、SMG(ソニー・ミュージックグループ)傘下のアーティストがヒットを生み出している。SMGが戦略的に注力してきたローカルアーティストの発掘と音楽活動へのサポートが、グローバルのヒットアーティストの創出につながった」とした。

映像メディアプラットフォームでは、「劇場版 鬼滅の刃 無限城編第一章 猗窩座再来」が、世界累計興行収入で1000億円を突破。発売10周年を迎えたモバイルケーム「Fate/Grand Order」は想定を上回る業績貢献が見られたという。

  • ストリーミングの成長も業績を支える

    ストリーミングの成長も業績を支える

音楽分野の2025年度通期見通しは、売上高は700億円増額の同11%増の2兆500億円、営業利益は600億円増額の同25%増の4450億円、調整後OIBDAは150億円増額の同10%増の4950億円とした。

なお、営業利益見通しの修正には、スヌーピーなどで知られるPeanuts Holdingsの持分追加取得に伴う再評価益として、約450億円を織り込んだ。「ソニーグループの強みを生かし、長期視点でさらなる事業拡大と、ブランド価値の向上に取り組む。音楽、映像、イベント事業の拡充や、SMEJのアーティストやコンテンツとのコラポレーション、SPEが持つ制作力や配信ネットワークを生かして、より多くの人にPeanutsのIPを楽しんでもらう。SMEおよびSPEは、Peanuts Holdings全体の80%を間接的に保有することになる。2026年度中の完了を予定している」と語った。

  • スヌーピーなどのIPで知られるPeanutsの持分追加。ソニーの制作力や配信ネットワークでシナジーを狙う

    スヌーピーなどのIPで知られるPeanutsの持分追加。ソニーの制作力や配信ネットワークでシナジーを狙う

映画分野の売上高は前年同期比11%減の3533億円、営業利益は同9%減の309億円、調整後OIBDAは同6%減の444億円となった。前年度にあったヒット作の反動が響いて減収減益となっている。

  • 映画分野。前年度にあったヒット作の反動で減収減益

    映画分野。前年度にあったヒット作の反動で減収減益

また、映画事業の2025年度通期見通しは、期初計画を据え置き、売上高はほぼ前年並みの1兆5000億円、営業利益は同7%増の1250億円、調整後OIBDAはほぼ前年並みの1750億円とした。

2026年1月には、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)が、米Netflixと、Pay1ライセンス契約を結び、劇場およびホームエンタテインメントでの配給期間終了後に、テレビライセンスの最初の一定期間を配信することができる。これにより、Netflix は、SPEの今後の劇場公開作品を全世界で配信することになる。「業界初となる全世界を対象としたライセンス契約であり、SPEはこれまで以上に安定した収益基盤を得ることができる」と語った。

中国TCLと提携、テレビとホームオーディオを対象に合弁協議

エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野の売上高は前年同期比7%減の6581億円、営業利益は同23%減の594億円、調整後OIBDAは同16%減の856億円となった。

ET&Sの2025年度通期見通しは、売上高は据え置き、前年比4%減の2兆3000億円、営業利益も据え置き、同11%減の1600億円。調整後OIBDAは50億円減額の同11%減の2600億円とした。

  • エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野。中国市場の軟調がカメラ販売に影響

    エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野。中国市場の軟調がカメラ販売に影響

「レンズ交換式カメラ市場は、中国において政府補助金の減少による販売減が継続。独身の日の商戦期も低調だった。一方で、2025年12月に発売したα7Ⅴは、ボリュームゾーンの新製品として販売は好調に推移している。メモリの影響については、2026年度までの必要量を確保できる目途がおおむねついている。だが、今後も状況を注視し、損益影響を最小化する」とした。

なお、ソニーグループは、2026年1月20日に、中国TCLと、ホームエンタテイメント領域における戦略的提携に向けた基本合意書を締結している。

「合意書のなかで、両社はソニーのホームエンタテイメント事業を、両社が出資する合弁会社が運営していく意向を確認した。2026年3月末の確定契約の締結を目指して、詳細条件についての協議を進めているところである。ソニーの高画質、高音質技術、ブランド力、オペレーションマネジメント力と、TCLの先端ディスプレイ技術、コスト競争力、垂直統合されたサプライチェーンといった両社の強みを結集することで、この事業の競争力をさらに強化し、持続的な事業成長を目指す」と述べた。

合弁会社がスタートするのは、2027年4月を想定。協議の対象となっているのは、テレビとホームオーディオ領域だという。現時点では、どの技術や資産を、合弁会社に移管するのかを、確定契約に向けて協議をしているところだという。

また、「事業を取り巻く環境を見ながら、ポートフォリオを見直して、最適化していくことは経営のミッションのひとつである」とし、「ソニーが長年培ってきた資産と、TCLの強みを組み合わせることで、テレビを含むホームエンタテイメント事業をより成長できる。2026年度は、これまで通りにバジェットを組んでコミュニケーションを行う。追加構造改革については、事業の状況を見ながら最適化していくが、決まったことはない」とした。

イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の売上高は前年同期比21%増の6043億円、営業利益は35%増の1320億円。調整後OIBDAは20%増の1991億円となった。

  • イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野。モバイルセンサーが数量、単価ともに増え、過去最高の業績

    イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野。モバイルセンサーが数量、単価ともに増え、過去最高の業績

「第3四半期の業績としては過去最高を更新した。モバイルセンサーの販売数量の増加、単価上昇が影響した」とし、「スマホ製品市場の緩やかな回復基調に加えて、大手顧客の新製品向けに、モバイルセンサーの出荷が好調であり、センサーサイズの大判化も貢献している。足元の受注状況も安定的な推移となっている。サプライチェーンの懸念は後退したと見ており、モバイルセンサーの年間出荷数量見通しを上方修正した」という。

2025年度通期見通しは、売上高が900億円増額の前年比16%増の2兆800億円、営業利益は400億円増額の同34%増の3500億円、調整後OIBDAは400億円増額の同15%増の6150億円とした。

メモリ価格の影響はローエンドを中心に生産台数の減少に響いてくると予測しているが、「ソニーのイメージセンサーはハイエンド向けを中心にしていることから、影響は比較的軽微だと見ている」という。

なお、低収益事業の見直しについては、「継続的に対応施策を進めており、その一環として、第4四半期に、対象事業のリソースおよびアセットを最適化するための費用を追加で織り込んだ。事業ポートフォリオの改善に注力し、収益向上に取り組む」と語った。

  • 通期業績見通しに対して、現時点でゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野と音楽分野の好調が目立つ。エンタメ企業としてのソニーの姿が鮮明だ

    通期業績見通しに対して、現時点でゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野と音楽分野の好調が目立つ。エンタメ企業としてのソニーの姿が鮮明だ