米ラスベガスで開幕した世界最大のテック見本市CES 2026で、AMDがコンシューマPC向けプロセッサに3種の新製品を発表した。Ryzen AIの新世代シリーズとして「Ryzen AI 400シリーズ」と、Ryzen AI Max 300シリーズへのGPU強化モデルの追加、そしてゲーマー向けの「Ryzen 7 9850X3D」だ。

  • CES 2026で公開された「Ryzen 7 9850X3D」

    CES 2026で公開された「Ryzen 7 9850X3D」

Ryzen AI 400シリーズは「最高のAI体験」アピール

Ryzen AI 400シリーズは、Gorgon Pointの開発コードネームで知られていたRyzen AIの新世代シリーズ。市場投入は2026年第1四半期を予定。同じく今回のCESでIntelが発表したCore Ultra Series 3とは直接のライバルになるだろう。Series 3との直接比較はこれからだが、少なくとも対Core Ultra Series 2での優位性として、AMDは、CPUで1.3倍、NPUで1.25倍ほど高速であるとアピールしている。

  • Ryzen AI 400シリーズ

    Ryzen AI 400シリーズ

  • TDP枠がほぼ同等のCore Ultra Core Ultra Series 2と比較して優位だとアピール

    TDP枠がほぼ同等のCore Ultra Core Ultra Series 2と比較して優位だとアピール

なお、Ryzen AI 400シリーズは新世代シリーズではあるが、中身のCPUコアはZen 5とZen 5cのハイブリッド構成で、統合GPUはRDNA 3.5、NPUはXDNA 2と、このあたりの設計はRyzen AI 300シリーズから変更されていない。製造もTSMC 4nm FinFETでこれも従来同様。Zen 5とその省電力版であるZen 5cの組み合わせも、12コアであればZen 5×4コア+Zen 5c×8コアとなる割合を引き継いでいる。前世代からの性能向上に寄与している主な改良点はCPUやGPUの高クロック化、メモリスピード向上などである。

  • Ryzen AI 400シリーズの最大スペック

    Ryzen AI 400シリーズの最大スペック

  • これはRyzen AI 300シリーズのものだが、設計はRyzen AI 400シリーズでも同じ。Zen 5cコアはZen 5コアに比べキャッシュは少なく最大動作クロックも抑えめだが省電力

    これはRyzen AI 300シリーズのものだが、設計はRyzen AI 400シリーズでも同じ。Zen 5cコアはZen 5コアに比べキャッシュは少なく最大動作クロックも抑えめだが省電力

Ryzen AI 400シリーズのラインナップ一覧と主な仕様は以下の表のとおり。例として最上位のRyzen AI 9 HX 475は、CPUが12コア/24スレッドで最大ブーストクロック5.2GHz、キャッシュが36MB、メモリが最大8533MT/sのLPDDR5x対応、NPU性能が60TOPS、TDP28W。Ryzen AI 9 HX 375と比べると最大ブーストクロックとメモリ速度が向上している。

  • Ryzen AI 400シリーズのラインナップと主な仕様

    Ryzen AI 400シリーズのラインナップと主な仕様

  • Ryzen AI 400シリーズ搭載のPCはパートナー各社が2026年第1四半期からリリースを開始

    Ryzen AI 400シリーズ搭載のPCはパートナー各社が2026年第1四半期からリリースを開始

  • CES 2026の会場でもRyzen AI搭載PCの出展は多く見ることができる。ミニPCや小型デスクトップで採用する例も

    CES 2026の会場でもRyzen AI搭載PCの出展は多く見ることができる。ミニPCや小型デスクトップで採用する例も

強力GPUのRyzen AI Max 300に、さらにGPU強化の追加モデル

Ryzen AI Max 300シリーズはRyzen AIの統合GPU強化モデルで、この統合GPUがほこる最大40基ものCU(コンピューティングユニット)数はディスクリートGPU並みであり、これによりノート型やミニPC型のワークステーション用途で重宝されている。先のRyzen AI 400でも最大16CUなので、GPUは実に倍以上の規模だ。

  • Ryzen AI Max 300シリーズ

    Ryzen AI Max 300シリーズ

  • Ryzen AI Max 300シリーズの最大スペック

    Ryzen AI Max 300シリーズの最大スペック

今回、このRyzen AI Max 300シリーズに「Ryzen AI Max+ 392」と「Ryzen AI Max+ 388」の2モデルを追加した。CPUコア数はシリーズ中位モデル相当の12コア(Max+ 392)と8コア(+ 388)で控えめなのだが、GPUは両モデルともRyzen AI Max最大の40CUと盛っており、つまりGPU性能重視のRyzen AI MaxにあってさらにGPU性能に偏重した新モデルとなっている。これは、旺盛なAI用途の需要に応えるためのラインナップ強化だ。

新モデルと既存モデルをあわせたRyzen AI Max 300シリーズの主な仕様は以下の表のとおり。GPUが40CUモデルはモデル名もMax「+」として区別されている。

  • Ryzen AI Max 300シリーズのラインナップと主な仕様

    Ryzen AI Max 300シリーズのラインナップと主な仕様

X3Dの空き地を埋める高クロックなRyzen 7 9850X3D

Ryzen 7 9850X3Dは、Zen 5世代のデスクトップ向けプロセッサであるRyzen 9000シリーズの新モデルで、そのなかでもゲーマーやクリエイター向けに3D V-Cacheを搭載するX3Dシリーズの追加モデル。現行のX3DはRyzen 9 9950X3DとRyzen 9 9900X3D、Ryzen 7 9800X3Dの間を埋める製品となる。

  • Ryzen 7 9850X3Dの外観

    Ryzen 7 9850X3Dの外観

  • Ryzen 7 9850X3Dのヒートスプレッダ内のイメージ。3D V-Cacheの黒いNANDチップが基板上で接続されている

    Ryzen 7 9850X3Dのヒートスプレッダ内のイメージ。3D V-Cacheの黒いNANDチップが基板上で接続されている

  • Ryzen 7 9850X3Dは高い動作クロックに注目

    Ryzen 7 9850X3Dは高い動作クロックに注目

Ryzen 7 9850X3Dはブースト時の動作クロックが5.6GHzと、むしろ上位の9900X3Dより高い。コア数よりも動作周波数が効いてくる場面もあるので、この違いは注目したい部分だろう。今回のRyzen 7 9850X3Dを含む各モデルの主な仕様を、以下表にまとめておく。

モデル コア/スレッド ブースト動作クロック キャッシュ TDP
Ryzen 9 9950X3D 16/32 5.7GHz 144MB 170W
Ryzen 9 9900X3D 12/24 5.5GHz 140MB 120W
Ryzen 7 9850X3D 8/16 5.6GHz 104MB 120W
Ryzen 7 9800X3D 8/16 5.2GHz 104MB 120W
  • こちらは9000シリーズ全体の仕様一覧表

    こちらは9000シリーズ全体の仕様一覧表

  • グラフはライバル(Intelの285K)を100%とした場合のゲーム性能アピール

    グラフはライバル(Intelの285K)を100%とした場合のゲーム性能アピール

Ryzen 7 9850X3Dの発売は今年の第1四半期中を予定。CES 2026の会場ではこれを搭載するゲーミングデスクトップPCがさっそく製品発表されていたりもするので、それほど待たずに入手可能になる可能性が高い。