The Browser CompanyはAIブラウザ「Dia」に、同社の旧ブラウザ「Arc」で高い評価を得た機能を統合する方針を明らかにした。創業者のジョシュ・ミラー氏がXへの投稿で公表したもので、AIネイティブかつ軽量というDiaの強みを維持しつつ、熱心なユーザー層の支持を集めたArcの機能を組み合わせることで、AIブラウザ市場での競争優位性を確立する狙いだ。

Arcは2022年に「現代のWebの使い方に適応したブラウザ」として登場した。タブ・ブックマーク・検索を統合した垂直サイドバー、頻繁に使うサイトやWebアプリをサイドバー上部に固定表示する「ピン機能」、プロジェクトや用途ごとにサイドバーを切り替えられる「Spaces」など、従来にない機能を導入。新技術への関心が高いユーザーや、情報整理・作業効率を重視するユーザーから高い支持を獲得した。一方で、使いこなすまでに時間を要するという課題があり、一般層への普及は限定的にとどまった。

この反省を踏まえ、同社は2025年6月、より直感的な操作性を追求した新AIブラウザ「Dia」をリリースした。The Browser Companyは開発リソースをDiaに集中させる方針を採り、一時はArcのオープンソース化や売却も視野に入れていた。しかし、同年9月にAtlassianによるThe Browser Company買収が実現。AtlassianはArcとDiaの技術を自社のコラボレーションツール群に統合する構想を打ち出し、これによりArcの技術資産が継承されることとなった。

ミラー氏によれば、The Browser Companyは現在、Arcの機能をDia上でネイティブ動作させるための最適化作業を進めている。10月30日にリリースされたDia v1.3.1では、「Google Meetのピクチャインピクチャ(PiP)機能」と「キーボードショートカットのカスタマイズ」が追加されたが、いずれもArcが備えていた機能だ。

さらに、Arcの象徴的機能である「サイドバー」の搭載も計画されている。アーリーアクセス版にはすでにサイドバーモードが実装され、一部のテスターが動作を確認している。

ミラー氏は「Dia + Arc = より高速で、よりスマートで、よりシンプル」と表現し、単なる機能移植ではなく、DiaのAIネイティブ設計(メモリやエージェント機能を組み込んだアーキテクチャ)に、Arcの機能性を融合させる方針を強調した。その上で、「ピン機能」や「Spaces」といった人気機能のDia版実装にも意欲を示している。