サムスン電子ジャパン(以下、サムスン)から発表された「Galaxy Z Fold7」は日本国内で最薄の折りたたみスマートフォンです。閉じたときは8.9mm、開いたときは4.2mmと驚異的な薄さを誇ります。ところがこれよりもさらに薄いスマートフォンが存在するのです。それは中国のHONORが発売した「Magic V5」。サイズはそれぞれ8.8mm、4.1mmと0.1mずつ薄いのです。
Magic V5は本体を開くと7.95インチ、2,352×2,172ピクセルのディスプレイが現れます。輝度は5,000nitsと明るく屋外での利用にも適しています。サムスンのGalaxy Z Fold7は8.0インチとサイズは大きいものの、解像度は2,184×1,968ピクセル、2,600nitsと性能はMagic V5のほうが上回っています。またフロントカメラも2,000万画素で、これもサムスンの1,000万画素より高画質です。
閉じたときの画面サイズは6.43インチ、2,376×1,060ピクセルです。こちらにも上部に2,000万画素のフロントカメラを内蔵しています。なおOSはAndroid 15をベースに自社開発したMagicOS 9を搭載しています。
Magic V5には実はカラバリがあり、4.1mm/8.8mmの世界最薄モデルはホワイトモデルとなっています。今回触っているゴールドモデル、そしてブラックモデル、エコレザーモデルは4.2mm/9.0mm。質量もそれぞれ217g/222gと異なっています。若干、仕様が異なるにせよ折りたたみスマートフォンが一般的なスマートフォンと変わらないサイズになったことは事実であり、この薄さと軽さには驚きを覚えます。
こちらがホワイトモデル。本体のサイズ感はわずかながらも両者を比較するとわかる気がします。なおヒンジはこのように自由な位置に止めて使えます。Magic V5も最近のスマートフォンらしくAIエージェント機能を搭載しているので、机の上に置いて気軽にAIを呼び出すことができます。
スマートフォンとしての性能も高性能です。カメラは5,000万画素の広角、6,400万画素の3倍望遠、5,000万画素の超広角を搭載します。この性能は各社のフラッグシップスマートフォンと遜色ないものであり、Magic V5は折りたたみスマートフォンとしての特徴だけではなく、スマートフォンそのものの性能も優れているのです。ちなみにチップセットはクアルコムのSnapdragon 8 Elite、バッテリーは5,830mAhで最上位モデルは6,100mAh。66Wの有線充電、50Wの無線充電にも対応します。
それにしてもHONORが世界最薄の折りたたみスマートフォンを出すとは驚きです。HONORが折りたたみスマートフォンに参入したのは2022年10月で、最初のモデル「Magic V」は折りたたんだ時の厚さが14.3mmでした。当時はこのサイズも薄いと話題になったものの、一般的なスマートフォンと比べると厚さだけではなく質量もあり、折りたたみスマートフォンはニッチな製品として一部の愛好者向けの製品に留まっていました。
しかし2023年7月には厚さ9.9mmと、1cmを切る世界最薄(当時)折りたたみスマートフォン「Magic V2」を発表。ここからHONORが折りたたみスマートフォンの厚さ競争でリーダー的存在となります。ちなみにこのMagic V2にはポルシェデザインモデルも登場し、デザインの美しさで人気となりました。そして2024年7月の「Magic V3」は9.2mmと、着々と折りたたみスマートフォンのスリム化をけん引していったのです。
HONORのCEOである李健(James Li)氏は、7月2日に中国・深センで行われたMagic V5の発表会でMagic V5の薄型化の研究開発ストーリーを披露しました。たとえば本体の素材は地球上のあらゆる素材から探し、最終的に宇宙服の牽引ロープと同じ特殊繊維をバックパネルに採用したとのことです。本体内部のコンポーネント1つ1つの薄型軽量化を進め、バッテリーもシリコンカーバイドタイプの採用で容量とサイズを克服。最終的に業界の「不可能三角形」と言われた薄さ、バッテリー寿命、耐久性をクリアしたのです。
Magic V5の価格は中国で8,999元(約18万5,000円)から。1万元を切る価格もかなり攻めています。なおグローバルでも2025年8月以降に販売予定で、ヨーロッパや東南アジアなどでも登場します。
サムスンにとっては強力なライバルになりますが、薄型モデルが出そろうことで、一般的なスマートフォンからの乗り換えユーザーが増えるともに、折りたたみスマートフォンの普及が大きく広がるきっかけになりそうです。