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元浦和レッズの鈴木啓太氏が腸内細菌を研究する会社「AuB」を立ち上げたワケ

JUL. 19, 2025 11:00
Text : 加賀章喜
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腸内細菌の研究と製品・サービスを展開するAuB(オーブ)は、浦和レッズで活躍した元プロサッカー選手、鈴木啓太氏が立ち上げたベンチャー企業だ。同氏が腸活の事業を始めた経緯と、アスリートのセカンドキャリアについての意見を伺ってみたい。

  • 腸内細菌を研究するAuBは、元浦和レッズの鈴木啓太氏が創業した会社だ

アスリート時代から腸活を続けてきた鈴木氏

腸内細菌の研究をコアとして「すべての人を、ベストコンディションに。」というミッションを掲げる会社、AuB(オーブ)。ヘルスケアやフードテック領域で事業を展開し、コンディショニングを広める会社として活動している。

代表取締役を務める鈴木啓太氏は、浦和レッドダイヤモンズ(以下、浦和レッズ)のキャプテンを務め、2016年1月に惜しまれつつも現役を引退したサッカーの名選手だ。Jリーグベストイレブン選出、日本年間最優秀選手賞受賞など輝かしい経歴を持ち、サッカー日本代表にも招集された輝かしい経歴を持つ。

「腸内細菌に着目したきっかけは、小さい頃から母親に『人間は腸が一番大事』と言われて育ってきたことですね。アスリート時代はそれを自分自身のコンディショニングに活かし、腸を整えることでパフォーマンスを整えてきました」(鈴木氏)

  • AuB(オーブ) 代表取締役 鈴木啓太 氏

鈴木氏が自ら意識してお腹の調子を整えるようになったのは高校のころ。それから腸内細菌の入ったサプリメントを飲んだり、東洋医学のお灸なども試したりしたそうだ。また、ぬか漬けや梅干しなど発酵食品を好み、食後には温かい緑茶を飲むようにし、海外遠征にも持参していたという。

「私自身、排便の調子が悪いときはコンディションが悪いと感じましたし、隠れて冷たい水をたくさん飲んだ後は、トレーナーから指摘されるほどパフォーマンスに影響していました。ずっと気をつけて取り組んでいたので、お腹が痛くなったことはあまりないんですよね。ケガも少なく、16年間プレーできたことも、それが影響しているんじゃないかと思います」(鈴木氏)

そんな鈴木氏がAuBを設立したのは2015年10月15日。当時はまだ浦和レッズに在籍しており、現役中に事業をスタートしたことになる。事業を始めようと思ったのは、会社を設立するわずか1週間前だったそうだ。

直接的なきっかけとなったのは、知り合いのトレーナーとの「いま腸内細菌がアツい」という会話。その3日後には詳しい方に話を聞きに行き、さらに3日後にはもう会社を作ろうと話がまとまった。

「母親との関わりもそうですが、これまでの人との出会いや自分が考えていたことがふと線で繋がったんです。腸内細菌を可視化するコストが昔よりもだいぶ下がったので、特徴的な被験者で調べたら大きな発見に繋がるよねと。そして自分の周りにはアスリートがたくさんいるなと。『これまでなんとなく良いと感じていたことを、科学的に検証できたら面白いな』と思って、じゃあ会社にしちゃおうと。計画とかビジネスモデルとか、特段そんなものはなかったです」(鈴木氏)

  • 「菌を摂る」「菌を育てる」「菌を守る」がAuBの考える“自走する健康”への3ステップ

“腸”を良くするソリューションを総合的に提供

AuBの活動の根本にあるのは「“腸”を良くすることが健康に繋がる」という思いだ。腸内細菌を改善する製品の開発のみならず、腸と健康の繋がりを啓蒙するための講演や企業研修なども行っている。

「設立後の最初の4年間はひたすら研究だけしていました。アスリートの腸内細菌叢(腸内フローラ)と一般の方との違いを探し出し、理想的な腸内環境をプロダクトに落とし込んだサプリメント『aub BASE』を作りました。同時に、理想的な食物繊維『aub GROW』も開発しました」(鈴木氏)

酪酸菌や乳酸菌、ビフィズス菌など30種類の菌が入っている「aub BASE」。これらの腸内細菌はエサとなる食物繊維があってこそ活動してくれる。このエサとなる3タイプの食物繊維をローテーションで摂取できるのが「aub GROW」だ。

  • アスリートの理想的な腸内環境に存在する菌を摂取できる「aub BASE」と3タイプの食物繊維を摂取できる「aub GROW」

さらに、アスリートからの要望が多かったプロテイン「aub MAKE」、腸内細菌叢の検査キット「BENTRE」や便秘改善サポートプログラム「BENSAPO」など、腸内環境を自走させるためのさまざまな商品を開発している。

  • 自分の腸内細菌叢をチェックできる検査キット「BENTRE」

また子ども向けのブランド「aud for kids」では、大人向け同様に約30種類の菌を配合した粉末食品「kids base」を提供。GLP認定の工場で生産されており、子どもの好きな飲み物や食べ物に混ぜて使えるよう無味無臭にしてあるため、家族で腸活が行えるだろう。

  • 子ども向けの「kids base」は粉末状になっており食事などに混ぜてもOK

より気軽に腸活を行えるブランド「aub food pantry」のラインアップも充実してきた。「はらもちあまざけ」「おなかのための発酵こうじ」など、普段の食事の中でに腸内細菌を改善させていく製品群が並んでいる。このほか、歯磨きジェル「ORAL GEL」や入浴剤「SLEEP BATH」など、間接的に腸に関わる製品も増えている。

「当社の最大の強みは、やはりアスリートを検査して得た理想的な腸内細菌叢に関するデータを数多く保有していることです。ヘルスケア業界においてはベンチャーなので、そのぶんしっかりと研究を進めています。プロダクトだけではなく、検査やサポートなどのサービスも提供しているため、腸内細菌叢の改善を総合的にご用意できているのかなと思っています」(鈴木氏)

  • 「おなかのための甕仕込みにごり酢」を紹介する鈴木氏

AuBのユーザーは比較的、顧客生涯価値(LTV:Life Time Value/取引期間中に顧客から得られる利益の総額を表す指標)が長い傾向にあるという。一度実際に使ってみることで、同社の製品の効果を体感した人が多いのだろう。

「事業を始めてからは毎日が楽しいんですよ。ちょっとずつ製品が作れてきているとか、研究する検体の数も増えてきたなとか。日々の中でそんな小さな喜びを感じながら、お客さまから『調子が良くなりました』というメッセージをいただいたりするのがとても嬉しいです」(鈴木氏)

  • 日常的な食事に使える「aub food pantry」は腸活のきっかけにもなりそうだ

鈴木氏はプロアスリートのセカンドキャリアをどう考えたか

多くのプロアスリートは引退後の人生に悩みを抱えている。鈴木氏もまた、長いアスリート人生の中で引退後のキャリアについて考えていたそうだ。

「私も18歳でプロになって、プロとしてやっていけるかどうか、チームがなくなったらどうするのか、常に頭に浮かんでいました。『29歳までに絶対にワールドカップに行くぞ!』という自分と、『30歳までプロでサッカーができれば御の字だよね……』という自分がいるわけですよ」(鈴木氏)

鈴木氏がJリーグの試合に出るようになったのは19歳。それでも毎年、「使われなくなったら……」という不安はあり、ネクストキャリアは常に意識していたという。

「でもサッカー選手は、どこかのタイミングで必ず引退をするわけですから、その後のキャリアについてはいろいろな人と会って話を聞きましたね。以前はJリーグ選手協会(現:日本プロサッカー選手会)にキャリアサポートセンターというのがあったんですよ。紹介される仕事が自分にはミスマッチに感じて行かなかったのですが、いま思うと一度くらい行ってみてもよかったなと思います」(鈴木氏)

AuBの事業をスタートさせ軌道に乗せた鈴木氏は、多くのアスリートにとって、引退後の生き方にひとつの解を示した存在とも言えるだろう。鈴木氏はプロアスリートの強みとして、「死ぬ気で競技をやってきた経験」と「実績」を挙げる。

「アスリートは『結果が出ないのは自分のせい』って考えるんですよ。能力がないのか、センスがないのか、素質がないのか……でもそれをどう補っていくかを考えて実績を出してきているのですから、それは仕事でも活きると思います」(鈴木氏)

そんな鈴木氏に、後進のプロアスリートに向けたアドバイスを伺ってみたい。

「やっぱり競技人生はとてつもない財産なんです。そこで100%やるっていうのはかけがえのない時間ですから、ぜひ情熱を燃やしていただきたいですね。ただ、違う視点として、競技もまた人生を豊かに生きるための手段のひとつであって、競技がすべてではないと思っています。競技人生を終える瞬間は必ず来ます。プロアスリートだからこそ見れる社会、景色、世界があると思うんですよ。そこから見えるものは人それぞれ違うと思いますから、たくさん発見しに行ってほしいですね」(鈴木氏)

  • 鈴木氏は「競技人生はとてつもない財産」と振り返る

ミッションは「すべての人を、ベストコンディションに。」

いま社会の健康に対する考え方は大きく揺れ動いており、社会保障はもちろんのこと、健康寿命や病気、予防に対しての意識が一人ひとりに求められている。

自分の健康状態を自ら可視化する手段として、現在は睡眠や体重、血圧などがある。しかし、それが健康に繋がっているとわかっていても、毎日こまめに計測している人は少ないだろう。

鈴木氏は、こういった健康状態の可視化を生活動線の中に組み込むため、現在取り組みを進めているという。それが「スマートトイレ」だ。毎日トイレに座るだけで健康状態を可視化できる仕組みができれば、人々が豊かに日々を過ごせる一助になると鈴木氏は考えているという。

「当社のミッションは『すべての人を、ベストコンディションに。』です。人も社会もコンディショニングしていくためのプロダクトやサービスを提供することを目指しています。プロダクトだけでなかなか伝わりづらい部分があると思うので、発信の仕方だったり、イベントだったりで人との繋がりを大切にしながら、輪を広げていきたいですね」(鈴木氏)

2025年10月15日、AuBは10周年を迎える。これを記念したキャンペーンも行われているので、興味をお持ちの方はぜひ同社のWebページを確認してみてほしい。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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