米Valveは5月22日(現地時間)、ゲーミングオペレーティングシステム「SteamOS」の最新安定版バージョン3.7.8をリリースした。このバージョンでは、「Steam Deck」以外の携帯型ゲーミングPCへの正式サポートが追加された。
SteamOSは元々、Steam Deck向けの専用OSとして開発されたもので、他の携帯型ゲーミングPCでSteamを使いたい場合、Steam Deck用のリカバリーイメージの流用や、「Bazzite」のようなコミュニティベースで開発された類似のOSの利用など、非公式な手段に頼る必要があった。しかし、2024年頃からValveは徐々に他社製デバイスへの展開を進め始め、今年1月にCESにおいてLenovoが「Lenovo Legion Go S」のSteamOS版の提供を発表した。
SteamOS 3.7.8では、Lenovo Legion Go Sが正式にサポート対象となった。さらに他のAMD搭載携帯型デバイス(例:ROG Ally、初代Legion Go)についてもサポートが改善され、リカバリーイメージによるインストールが可能となっている。
ただし現時点では、「Powered by SteamOS」と正式に認定されていないデバイス(5月22日時点ではSteam DeckおよびLegion Go S以外すべて)へのサポートは最終的なものではなく、ユーザー自身の責任で導入を行う必要がある。多くのデバイスでは、USBドライブを用いた再イメージングの前にSecure Bootを無効化する必要があり、Valveはサポートページで、Legion Go(初代)とROG Allyでの設定手順を案内している。
「Powered by SteamOS」認定を受けたデバイスは、現時点ではSteam DeckとLegion Go Sの2機種に限られるが、今回のアップデートにより対応範囲が拡大されたことで、将来的には公式サポートデバイスの選択肢がさらに広がり、ユーザーが自身のニーズや好みに合わせてハードウェアを選べるようになることへの期待が高まっている。
このほか、バージョン3.7.8では、Linuxカーネルが6.11に更新されてパフォーマンスと安定性が向上。バッテリー寿命の延長につながる充電上限(例:80%)設定機能が追加された。また、これまでOLEDモデル限定だったBluetoothコントローラーによるスリープ解除機能が、LCDモデルでも利用可能になった。デスクトップモードがHFP/HSPプロファイルに対応し、Bluetoothヘッドセットの内蔵マイクの利用が可能になった。