米Googleは3月29日、最新のAIモデル「Gemini 2.5 Pro Experimental」の提供対象を、無料版を含むすべてのGeminiユーザーに拡大した。まずはWeb版から展開が始まり、モバイルアプリ(AndroidおよびiOS)でも順次利用可能となる。
Gemini 2.5は、思考プロセスを経て回答を導き出す論理思考型のAIモデルである。Gemini 2.5 Pro Experimentalは、このシリーズにおける初のリリースであり、高度な推論能力を要する各種ベンチマークにおいて最高水準の性能を示している。
3月25日のGemini 2.5発表直後から、有料プラン「Gemini Advanced」向けにGemini 2.5 Pro Experimentalの提供が開始された。論理思考型モデルは多くの計算リソースを必要とすることから、無料ユーザー向けの提供は当面先になるとの見方もあったが、Googleはわずか数日で提供範囲を無料ユーザーにも拡大した。
Googleは今回の決定について、「これまでで最も高性能なモデルをできるだけ早く、より多くの人々の手に届けたい」と説明している。2月にOpenAIが論理思考型AIモデル「o3」の単独リリースを中止しており、Gemini 2.5 Proはその空白を埋めるかたちでユーザー基盤を広げる好機になると見られる。
無料ユーザーもGemini 2.5 Proの多くの機能を利用可能だが、リクエストの回数などに一定の制限(レート制限)が設けられている。また、Geminiの特徴である広大なコンテキストウィンドウについても制限がかかる。具体的な上限値はGoogleから明らかにされていないが、上限に達すると警告メッセージが表示され、一時的にGemini 2.5 Proの利用ができなくなる。