インテルの新スピーカーは太田仁彦氏
2024年10月26日、インテルは25日に販売開始となったCore Ultra 200Sシリーズ発売記念イベントを秋葉原LIFORK IIにて開催しました。展示とインテルセッションの内容をお伝えします。
今回、少々気になっていたのが「インテルの誰が説明するか」です。実は9月末をもってこれまで説明を行っていた安生健一朗氏が退社されており、TGS2024がプレスの前で説明の最後となっていました(関連記事)。
後任として登壇したのは、インテル IA技術本部 部長の太田仁彦氏。一般イベントでの出演経験が全くないわけではありませんが、GPUが専門と記憶しており新CPUの説明ではいままで登場されていなかったと思います。
太田氏は開発コードネームArrow Lakeことインテル Core Ultra 200Sシリーズの解説をしました。すでに詳細なベンチマーク記事も出ていますが、やはり省電力性をアピールしていました。
以前のインテルのCPU説明では(買い替えを想定しだす)三世代前との比較が多かったのですが、最近は前世代との比較が主になりつつあります。この場合性能が大きく向上したというアピールが行いにくく、必然的に他の部分を協調することになります。
Core Ultra 200Sシリーズの場合、デスクトップパソコンでもNPUを搭載したところがポイントですが、長年使用していたハイパースレッディングをやめてまで消費電力削減に振っており、その説明が多くありました。
ここ数世代ではパフォーマンス/ワットの向上が説明の主眼になっていましたが、その傾向がさらに強まった感じです。ただし、オーバークロックの粒度が細かくなっており、その点では今まで行えなかった設定ができる、処理能力以上にI/O性能やスペック増強も見逃せないポイントです。
また、Core Ultra 200SからDDR-5メモリのサポートのみとなりましたが、システムパフォーマンスアップのためには高速メモリは不可欠な要素なので、これは致し方ないところ。さらなる高速転送を安定して行うためのCUDIMMのサポートが加わったのも見逃せないところで、今回マザーボードメーカーだけでなく、マイクロンの説明が入ったのもこの点があるからでしょう。
マザーボードメーカー+マイクロンによる関連製品アピールタイムも
その後、マザーボードメーカー4社とマイクロンが5分間の持ち時間をフルに活用し、ポイントを絞った製品アピールがありました。
トップバッターはASRock。Z890マザーの新機能はいろいろとあるのですが、真っ先にアピールしたのがコンデンサ。 他社よりもコンデンサの数が少ないのが特徴で、その秘密は従来品と同じような大きさなのに容量を560⇒1000μFと約二倍に向上させたこと。
数を減らしても必要な容量がありつつ、数を減らしたことで寿命を延ばしてノイズをカットとコンデンサに超コダワリを見せているところを紹介していました(欠点はコスト高)。
電源のコダワリはUSBやM.2スロットにも。M.2はマザーボード上に6枚+4枚のM.2が取り付けられるPCIeボード付属と10枚に対応。「これで机に眠っているGen.3のM.2がすべて搭載できる」と紹介。ハイエンド製品ならではのメリットとして高クロックメモリもサクっと動くことをアピールしていました。今後のオーバークロックメモリ動向が気になるところです
続いてはASUS。ASUSはかなりのZ890製品を発表済みですが、特にアピールしたい製品としてZ890 TUF Gamingの通常タイプを上げていました。BTF登場時にTUF Gamingの白モデルを発表したところ、通常モデルにも白が欲しいというリクエストがあり、これに応えたと紹介していました。なおZ890のBTFモデルはまだ登場していません。
このマザーボード、白いだけでなく、PCIeスロットがあるエリアが長いシルバーヘアラインヒートシンクで大きく覆われており、面白い意匠です。M.2スロットが多く、PCIe Gen5対応で消費電力が増えていることもあり、+12VラインからM.2用電圧を生成し、トータル60Wまで対応しています。
自作時に便利なQ「ナントカ」と名称を付けた機能が多くありますが、今回特に紹介したのがBIOS Q Dashboard。BIOSの設定はなかなか面倒くさいところがありますが、Dashboardと名乗っているように、ソフトウェアから読み取れるメーカー名や型番を表示してよりわかりやすくなっています。ファンなど設定が必要なものはクリックすると設定画面にジャンプするので、使い勝手も向上しているようです。
Gigabyteは新製品の背後のAI技術を中心に紹介していました。
たとえば基板設計に関してはAIを多く活用し、配線のルーティングや配線のレイヤー構造とスルーホールをAIを使った最適化を行っているといいます。また、BIOSの最適化によってメモリモジュールの対応を強化。
またAORUS AI SNATCHという自動OC機能があり、簡単にOC設定が行えるようになりました。そして、製品の3年保証に加えて半年間のCPUピン折れを紹介。また、現在最大4000円のAmazonギフト券が貰えるレビューキャンペーンを実施しているそうです。
マザーボードの最後はMSI。接続性に関してはThunderbolt 4やWi-Fi7の対応に加えて上位製品では10GB、下位シリーズでも5GB Eithernet LANに対応しているとUltra Connectの紹介をおこない、Wi-Fi7も他社で160Mhzバンドまでしか対応していないのにWi-Fi7を名乗っている製品があるのに対し、うちはフルに320Mhzバンドに対応したフル速度を協調。
BIOS設定に関してはCLICK BIOS Xと新しいUIで使い勝手を向上させたほか、FROZR GUARDという冷却設定であるとアピール。 組み立てやすさに関してはツールレス設計を進めており、EZ M.2 CLIP 2によってM.2 SSDの取り付けがより簡単になったほか、グラフィックスカードに関してはEZ PCIe Releaseボタンで解除・設定がわかりやすく。さらにスロットもPCIe Steel Armor IIとなり、従来の1.21倍頑丈になったといいます。
最後にArrow Lakeから対応となるCUDIMMの紹介をマイクロンが行いました。日本では広島に工場があるものの普通の社員では工場に入れないのでいつか工場内のコンビニに行きたいと笑いを誘いつつ、今月から企業ロゴが変わった事とマイクロンが米国で唯一半導体チップの設計、製造、販売。メモリ製品の販売まで一貫して手掛けている企業であると紹介しました。
Arrow LakeからDDR5メモリのみの対応となりましたが、これはDDR4の帯域では現在のCPUの成長に追い付けないと紹介。ちなみにノート用のCore Ultra 200Vでは、CPUモジュール内にメインメモリも搭載し、低消費電力と広帯域を実現しています。
また、今年は大きな変化の一年であると説明。今年1月に発表しているLPCAMM2のように従来よりも小型で帯域幅の大きなメモリモジュールが到来したといいます。デスクトップでは従来UDIMMが使われていましたが、帯域幅の拡大と安定性を向上させるCUDIMM規格が今年制定されました。これはメモリモジュール内にクロックジェネレーターを搭載することによって高速化と安定化を実現するもの。
DDR5メモリはモジュール内に電圧レギュレーターが含まれており、これによって安定した高速動作を可能としていますが、クロックジェネレーターによってより高速動作の安定性が増します。
マイクロンはCore Ultra向け32GBダイを使用した64GB CUDIMM/CSODIMMソリューションを検証した最初のメモリメーカーです。と言っても現在は16GB製品の販売が米国で開始されているだけで、日本での発売は現時点では未定。日本での早期販売は皆様の熱いリクエストが原動力になるとのことでした。