毎年9月にドイツ・ベルリンで開催されるエレクトロニクス・家電総合展示会「IFA」。最新の家電やIT製品が一堂に会する世界的な展示会で、2024年9月6日~9日までの期間で行われた「IFA 2024」では、シャープやソニー、パナソニックなど日本メーカーも含め世界各国から1,800社を超える企業が出展しました。
2025年のIFAは9月5日から9日まで、ドイツ・ベルリンで開催されます。今回、IFAを主催するIFA Management GmbHのライフ・リントナーCEOが来日し、2025年におけるIFAの展望を紹介しました。
「AI」や「サステナビリティ」がトレンドに。スタートアップも重視
IFAの前身となるラジオ展が1924年に初めて開催されてから、2024年でちょうど100年を迎えます。現在のIFAのコンセプトは「Innovation for All」(すべての人にイノベーションを)。
リントナーCEOはまずIFA 2024が成功裏に終了したと前置きし、次の100年に向けた準備が整ったと振り返りました。IFA 2024ではリブランディングを実施し、ベルリン全体を巻き込んだ“お祭り”として展示会を開催したほか、若年層にも訴求すべく、会場となったメッセ・ベルリンの中央にある広場「サマーガーデン」にアーティストを招き、野外コンサートなどを実施。来場者の半数ほどがIFAにも足を運び、若年層が最新の技術に触れる機会を作れたと取り組みを紹介しました。
BtoBおよびBtoC両方の幅広いエレクトロニクス製品や家電を扱うIFAですが、この2024年はスマートホーム、コミュニケーション&コネクティビティ、コンピューティング&ゲーミング、オーディオ、フォト、ビデオ、&コンテンツクリエーション、デジタルヘルスの分野で出展が増加したといいます。また、スタートアップも重要な市場と見ており、スタートアップ企業が中心となる「IFA NEXT」では200社を超えるスタートアップの出展を実現しました。
リントナーCEOは現在ドイツのトレンドとなっている「AI」や「サステナビリティ」が、2025年以降も重要な分野になると位置付けました。AIは特に高齢者が新しい技術を受け入れて市場が広がっていること、またサステナビリティはエネルギー効率化の観点から、節約や省エネに関する需要があり、モビリティ製品など新たなチャンスが生まれてくるとみています。
日本のコンシューマ向けテクノロジ―市場(2024年上半期)では、PCやスマートフォン、オーディオ・ビジュアルなどがマイナス成長となった一方で、空調やカメラは強い伸びを見せているといいます。今後は製品間の「接続性」が大事だとし、メーカーをまたいだ製品間で連携する機能などを整えることで、業界全体が成長するチャンスにつながるとしました。
リントナーCEOは、「コロナ禍を経て日本企業の参加が減ったものの、(日本には)エレクトロニクス業界を創ってきた企業が多くある」と、IFAにおいて日本企業は重要な存在だと強調しました。いまは多くの中国ブランドが“エレクトロニクス業界のリーダーである”と認識されるようアピールしており、日本企業がIFAに参加しないことで中国企業が業界で台頭していく可能性があるとコメント。また今後はカメラ関連を中心に、キヤノンやニコンといったイメージング企業も再びIFAに参加して欲しいと呼びかけました。