Microsoftが現地時間2024年5月20日に開催したイベントを鑑みると、「Copilot+PC」は同社におけるAI PCの表現方法だ。
Windows CopilotやRecallと呼ばれるインテリジェント検索、生成AIで画像加工を支援するCocreatorなどがWindows 11で利用可能になるものの、NPU(ニューラルネットワーク プロセッシングユニット)が欠かせない。
そのため新たな「Surface Pro 11th Edition」「Surface Laptop 13.8/15(インチ) 7th Edition」はいずれもIntel製CPUではなく、Qualcomm Snapdragon X Plus/Eliteと、NPUにQualcomm Hexagon with 45 TOPSを選択した。
Surface Pro 11th Editionは最大14時間のビデオ再生に耐えうるバッテリー容量と、90%のパフォーマンス(対Surface Pro 9比)、Surface Laptop 7th Editionも20/22時間のバッテリー容量と、86%のパフォーマンス(対Surface Laptop 5比)を備える。
筆者は2021年のSurface Pro Xを触れていないが、MicrosoftはMicrosoft SQ2ではなく、Snapdragon Xなら多くの利用者が満足する性能に達したと判断したのだろう。
個人的に興味を引かれるのはSurface Pro Flex Keyboardである。Surface ProキーボードはSurface Pro本体に取り付けなければ使用できないが、Surface Pro Flex Keyboardは切り離した状態でも使用できるという(仕様上はBluetoothに対応している)。利用場面に応じて着脱を選択できるのは便利そうだ。
とはいえ気になるのは価格だろう。Surface Pro 11th EditionのLCDディスプレイモデルは899.99ドル(日本マイクロソフトの直販価格は207,680円)から、有機ELディスプレイモデルは1,349.99ドル(同295,680円)から。
Surface Laptop 7th Editionは13.8インチモデルが899.99ドル(同207,680円)から、15インチモデルが1,169.99ドル(同268,180円)から。ここからメモリーやストレージ容量を増やすと価格が上昇する。
もう一つはArm版Windowsの互換性だ。前述のとおりMicrosoft SQ1/2を搭載したSurface Pro Xは使用しておらず、Armデバイスは初代のSurface RTのみだが、あまり芳(かんば)しくなかったように記憶している。
オープンソースのアプリをインストールするにもArm版を選択するか、自分でビルドしなければならない。Armに対応する特定のアプリやSaaSのみ使用するのであれば、Armの互換性は気にすることはないものの、パワーユーザーとしてSurfaceデバイスを使い倒すのであれば、互換性問題は頭の片隅に入れておくべきだ。
確かにIntel製CPUを搭載した新Surfaceだったら変わり映えせずに関心を集めないだろう。だが、CPU/NPU/GPUをQualcomm製プロセッサーに置き換えた新Surfaceは、ある意味野心的なモデルといえる。後は市場に受け入れられるか否かだ。関心をお持ちの方は同社の動向に注目してほしい。