アップルが、新しいiPad ProとiPad Airを発表しました。特に、iPad ProはMacBookとは違うベクトルの進化を見せ、ペンでの作業効率を高めたApple Pencil Proとのコンビでクリエイターの創作活動を高められる存在になっています。

しかし、クリエイターではない普通のユーザーにとっても、iPad Proは魅力の多い存在だと感じました。美しいTandem OLEDディスプレイは、写真編集や動画配信、ゲームの満足度を引き上げてくれます。ニューラルエンジンの性能向上は、イマドキの生成AIへの対応もバッチリ。何より、高性能でありながらきわめて薄いiPad Proはシビれるほどカッコよく、所有欲を思い切りくすぐられました。

  • 新しいiPad Pro(右)とiPad Air(左)が登場。コスパの高いiPad Airも魅力的だが、やはりさまざまな新装備や新機能が加わりつつ、大幅な軽量化や薄型化を図ったiPad Proが注目株といえる

    新しいiPad Pro(右)とiPad Air(左)が登場。コスパの高いiPad Airも魅力的だが、やはりさまざまな新装備や新機能が加わりつつ、大幅な軽量化や薄型化を図ったiPad Proが注目株といえる

本体の軽さと薄さはインパクト大!

先日ロンドンで開かれたイベントでお披露目された新しいiPad ProとiPad Airですが、やはり注目はシリーズ初の装備や機能を多く盛り込んだiPad Proといえます。

iPad Proは13インチモデルと11インチモデルの2製品がありますが、今回試用したのは大画面の13インチモデル。本体を手にして驚いたのが、本体の軽さと薄さです。重さはセルラーモデルでも582gと、従来の12.9インチiPad Proより102gも軽くなりました。新旧モデルを持ち比べると、約100gの違いは数字以上の感覚でした。これだけ軽いと、ビジネスバッグに入れて毎日持ち歩くのも苦ではなさそうです。

  • Magic Keyboardを装着した13インチiPad Pro。iPad Pro本体の重さは582g(セルラーモデル)で、Magic Keyboardは実測で660gだった

軽さ以上にインパクトがあったのが本体の薄さ。厚さ6.4mmだった従来モデルに対して新型は5.1mmと、1.3mmほどスリム化されたわけですが、こちらも数字以上に「うっす!」と感じます。これだけ薄いと、単に可搬性に優れるというだけではなく、薄さという価値に心がくすぐられ、これは所有したい…と感じました。

  • 従来モデル(下)と比べると、新しいiPad Pro(上)は驚くほどスリムになっている

これだけ薄くなると気になる本体の剛性ですが、角を指でつまんで持って上下にゆっくり振ってもびくともしない印象で、通常の使用ではまったく問題なさそうです。

画面表示は美しく、ゲームにも好適

薄さに息をのんだのも束の間、さらに息をのんだのが画面表示の美しさ。新しいiPad Proは、2枚の有機ELパネルを重ねて明るさを稼ぐタンデムOLEDという新技術を採用しており、黒い部分は漆黒のまま明るい部分の輝度を高めています。液晶テレビと有機ELテレビの違いと同じで、夜景の写真も明るい部分が浮かび上がるような表示で思わず見とれました。Apple TV+で配信している動画も、ひときわ没入感高く楽しめました。

  • タンデムOLEDの効果もあり、大画面ながら表示はとても美しい

有機ELパネルだけに、残像が少なくなったのもポイント。リフレッシュレートを最大120Hzに高めるProMotionテクノロジーにも対応しており、リズムアクションやFPSなどのゲームを楽しむ人には魅力的なゲーミングデバイスになったと感じます。

  • 人気音楽ゲーム「beatmania IIDX ULTIMATE MOBILE」は残像がなくプレイできた (C)Konami Digital Entertainment (C)Konami Amusement

  • 人気のリズムアクション「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」は120fpsの表示に対応している (C)SEGA / (C)Colorful Palette Inc. /(C)Crypton Future Media, INC. www.piapro.net All rights reserved.

M4チップ搭載で画像生成AIもこなせる

最新のM4チップを搭載し、従来のM2チップよりも大幅にパフォーマンスが向上したのも見逃せません。処理性能面では、ニューラルエンジンが手厚く強化されており、ますます注目が高まるAI関連の処理の高速化が期待できます。

試しに、無料でStable DiffusionやAnythingが利用できる画像生成AIアプリ「Draw Things」を使ってみました。Draw Thingsは、一切の処理をクラウドに投げず、完全にデバイス上で処理するため、デバイスの処理性能が作業時間を左右するのですが、使用するAIモデルにもよりますが数十秒で画像を生成してくれました。今後、OS標準でAIまわりの機能が強化されても、ストレスなく処理してくれるでしょう。

  • iPad Proなら、「Draw Things」で画像生成AIが満喫できる

ただ、Draw ThingsはCPUとニューラルエンジンをフルに使って処理するため、画像生成中は本体の背面がそこそこ熱くなります。温度を可視化できるサーモグラフィカメラを使ってみたところ、アップルマークだけが低い温度になっており、熱伝導性の高い銅製になったアップルマークが効率的に発熱を発散していることが分かりました。

  • iPad Proは、アップルマークが熱伝導性の高い銅製になっている

  • Draw Thingsでの画像生成中、サーモグラフィカメラでiPad Proの背面を見てみた。アップルマーク周辺が40度半ばの熱を帯びていた

  • アップルマーク自体は周辺より10度以上低く、熱を効率的に放出しているのが分かる

カメラも強化されています。前面のFaceTimeカメラは位置が長辺側に移り、横画面でWeb会議アプリを利用する際に視線がずれなくなりました。

さらに背面カメラは、新たに搭載した文書スキャン機能が便利だと感じました。カメラを向けると紙を認識して自動で撮影してくれるのですが、フラッシュを焚きつつ複数枚の撮影や合成を実行し、きれいに仕上げるのがポイント。スキャナーの画質には及びませんが、いつでもどこでも複数枚の書類をスピーディーにデータ化できるのは魅力的だと感じました。ビジネスパーソンのみならず、子どもの学習教材をデータ化したいファミリーも注目といえます。

  • 背面カメラは超広角カメラがなくなったが、True Toneフラッシュが大型化されている

【動画】スキャン機能を使っているところ。手間をかけず、予想以上にきれいに電子化できた

さまざまな作業の効率を高めてくれるApple Pencil Pro

iPad Proと同時に登場したアクセサリーも、iPad Proの魅力を底上げしてくれます。特にApple Pencil Proは、ペンシルを使った作業の効率をグンと高める新機能を3つも備え、初代Apple Pencil登場時のようなインパクトを感じました。

  • 新たに登場したApple Pencil Pro。見た目はApple Pencil 2とほとんど変わりない

  • これまでにないオシャレなデザインのパッケージを採用する

新機能の1つが、ペンシルを持つ軸をグッと握るとスクイーズです。メモアプリでは、これまで画面下にあったツールパレットがペン先付近に表示され、ペンや色の変更がスピーディーにできるようになりました。Goodnotesも、スクイーズによるアンドゥやリドゥ機能をすでに実装しており、今後サードパーティー製アプリでも恩恵が受けられそうです。

  • 軸をグッと握るとスクイーズ機能が働き、メモアプリではペン先付近にツールパレットが現れる

ペンシル内にジャイロセンサーを搭載し、ペンシルを回すとペン先の向きや太さを変えられるようになったのも便利。ペン先を少し浮かせた状態で描画位置が確認できるホバー機能の存在もあり、ペン先を変えての描画がとても効率的になりました。

  • マーカーなど太いペン先にした場合、ペンシルを回転させるとそれに合わせてペン先の角度も変わる

【動画】スクイーズ機能やペンの回転機能を試しているところ。いずれも作業の効率が高まると感じた

さらに、ペンシル内にハプティクス機能を内蔵し、画面を見ずに処理の実行や完了を触感で確認できるようになったのも好ましいと感じます。これらの改良で、さまざまなアプリでの作業効率向上が期待できます。価格は21,800円と少し値は張りますが、iPad Proと一緒に導入したいアクセサリーだと感じます。

新しいiPad Pro専用になったMagic Keyboardは、トラックパッドに触感フィードバック機能が加わったうえ、パームレストがアルミ素材になって質感が高まり、全体に満足度が底上げされました。価格は、11インチモデル用が49,800円、13インチモデル用は59,800円とお高めなのが悩ましいところ。

  • パームレストなどキーボード上部がアルミ製になったMagic Keyboard

  • バックライトも搭載する

5年は不満なく使え、次期OSでさらなる進化も

iPad Proを短期間ながら試用して、iPadのフラッグシップらしい進化を見せたことが体感できました。価格は11インチモデルが168,000円から、13インチモデルは218,800円からと高価ですが、性能の底上げで4~5年は軽く第一線で活躍できるのは間違いないと感じます。6月のWWDCで、次期iPadOSにAIまわりの大きな機能追加が発表されるのは確実とみられ、さらなる進化も享受できます。機能も見た目も満足できるプレミアムなiPadとして、既存のiPadユーザーが気になる存在になりそうです。