国立文化財機構 文化財活用センターとキヤノンが制作した、国宝「唐獅子図屏風」の高精細複製品が、東京国立博物館本館特別3室の体験型展示スペース「日本美術のとびら」にて公開される。公開期間は6月30日まで。
「唐獅子図屏風」は、皇居三の丸尚蔵館が収蔵する国宝の屏風で、高さ2m20cmを超える大きさ。右隻は織田信長や豊臣秀吉らに仕えた桃山画壇の巨匠・狩野永徳の代表作で、左隻は永徳のひ孫にあたる狩野常信が右隻にあわせて制作したもの。現在は、右隻と左隻を合わせた一双屏風として伝えられている。
今回の高精細複製品の制作は、「文化財の高精細複製品の制作と活用に関する共同研究プロジェクト」のもと、国立文化財機構 文化財活用センターとキヤノンが行ったもの。両者は2018年10月から、より多くの人に文化財に親しむ機会とより深い文化体験を提供することを目的に共同研究に取り組んでおり、15作品の高精細複製品を制作してきた。制作された複製品で、ガラスケースなしの展示や映像と組み合わせた体験型展示など、オリジナルの文化財では実現できない観賞体験を提供している。
「唐獅子図屏風」の複製品制作では、キヤノンと京都文化協会が進める「綴プロジェクト」の技術を活用。入力~画像処理~出力に至るキヤノンの先進デジタル技術と、京都伝統工芸の匠(たくみ)の技との融合により、絵師の筆遣いや岩絵具の鮮やかな色、金箔や金具に至るまで、オリジナルの文化財を限りなく忠実に再現している。複製画の制作工程の動画は、文化財活用センターのYouTubeチャンネルで公開している。