JVCケンウッドは11月7日、KENWOODブランドのデュアルバンドハンディトランシーバー「TH-D75」を発表した。144/430MHzのデュアルバンド対応に対応したアマチュア無線機。新たに「D-STAR」の2波同時運用が可能になったほか、BluetoothやUSB Type-Cに対応した。希望小売価格は89,760円で、2024年1月下旬より発売する。
2016年8月に発売され、ユーザーに長く親しまれた「TH-D74」の後継モデルとなるアマチュア無線機。2023年8月に開かれた「ハムフェア」で先行展示していた。メイン受信のAバンドとサブ受信のBバンドで「D-STAR」の2波同時運用が可能になったのが特徴。D-STARは、日本アマチュア無線連盟(JARL)が推進するアマチュア無線のデジタル通信方式で、これを利用することでAバンド/Bバンドと同時にDVモード/DRモードを利用できる。
機能面では、未使用の音声フレームにデータを乗せて通信スループットを高速化するDVファストデータモードを搭載するほか、シンプレックス通信、シングルレピーター経由の通信、レピーター間のゲートウェイ通信など、多彩な運用方法をサポートする。
DR(D-STARレピーター)モードでは、レピーターリストから選択することで「D-STAR」レピーターへのアクセスを簡略化。「D-STAR」リフレクターに手軽にアクセスできるリフレクター・ターミナルモードにも対応した。ほかには、PTTスイッチを押すだけでゲートウェイ通信を呼び出せるダイレクトリプライ機能、アクセス可能状態をアイコン表示やボイスガイダンスで確認できる機能、最大120件の送受信履歴の保持機能なども搭載した。
本体にはGPSを内蔵し、1.74型カラー液晶を装備。あらかじめ設定した自局の情報と相手局の距離/方角/進行方向/移動速度を表示する相対表示コンパスにも対応している。画面には、自局のリアルタイム情報、気象観測装置から取得した降雨量、気温、風向、風速、気圧、湿度データなどを表示できる。
「APRS」プロトコルで運用する場合は、運用局同士でのリアルタイムメッセージの送受信に対応。「FM」または「D-STAR」の音声チャンネル設定や、素早いQSY(周波数変更)も可能だ。本機単体でAPRSの中継局として運用できるスタンドアローンデジピーター機能にも対応している。
実用面では、Bluetooth、microSDHCメモリーカード、USB Type-Cポートなどを搭載。Bluetoothヘッドセット「KHS-55BT」(別売)からのPTT制御などが可能となり、使い勝手が良くなっている。
周波数範囲は、メイン受信のAバンドが136~174、410~470MHz、サブ受信のBバンドが0.1~76 / 76~108(WFM)、108~524MHz。総チャンネル数は1,000チャンネルで、電波型式は送信がF1D、F2D、F3E、F7W、受信がF1D、F2D、F3E、F7W、A1A、A3E、J3E。
バッテリーは、容量1,820mAhのリチウムイオンバッテリー「KNB-75LA」が使用でき、運用時間の目安は最大15時間。使用温度範囲は、外部電源使用時が-20度~60度、リチウムイオンバッテリー使用時が-10度~50度。IP55相当の防塵/防水性能を備える。本体サイズはW56×D32.5×H121.95mm(突起部含まず)、重さは344g。