Lマウントミラーレスカメラで久々のスマッシュヒットとなったのが、パナソニックの「LUMIX S5II」。シリーズ初の像面位相差AFを搭載した点や、最新のフルサイズミラーレスとしては価格が手ごろな点などが特徴ですが、なかでもプロのクリエイターのような“エモい”動画や写真がカメラ単体で手軽に撮影できる新機能「リアルタイムLUT」が多くのファンに注目されています。
数あるLUMIXシリーズのなかでも、LUMIX S5IIと動画重視の派生モデル「LUMIX S5II X」の2機種にしか搭載されていないリアルタイムLUT、改めて魅力を試してみました。
プロの絵作りが自分のカメラに適用できる「リアルタイムLUT」
パナソニックのLUMIX S5IIは、2023年2月に販売を開始したフルサイズミラーレス。従来モデル「LUMIX S5」と同じ小型軽量ボディを継承しつつ、要望の多かった像面位相差AFを搭載してAF性能を大幅に引き上げたのが大きな特徴。さらに、イメージセンサーや画像処理エンジンを一新して表現力を高めたほか、ペンタ部に冷却ファンを搭載して安定した動画撮影を可能にしたり、手ぶれ補正の効果を高めるなど、「変わらないのは見た目だけ」といえるほど大幅な改良を加えています。
それでいながら、LUMIX S5IIは手ごろな価格設定としているのがポイント。実売価格は、ボディ単体モデルが248,000円前後、20-60mmの標準ズームレンズが付属する標準ズームレンズキットは280,000円前後と、最新のフルサイズミラーレスカメラとしては意欲的な価格となっています。
もう1つ特徴的なのが、新機能「リアルタイムLUT」を搭載したこと。パソコンでの後処理を必要とせず、自分好みの雰囲気を反映させた動画や写真をカメラ本体で撮影できる機能です。憧れのクリエイターと同じ絵作りの動画が作れるのは、印象に残るVlog撮影に挑戦したい人には魅力的な要素となります。
評価したいのが、リアルタイムLUTはインターネットからダウンロードしたファイルをカメラに保存するだけで使え、最大10種類の表現を手軽に切り替えて撮影できること。クリエイターが作成したリアルタイムLUTのファイルは、パナソニックが運営する「LUMIX Color Lab」や有志のブログから無料でダウンロードできます。
スチル派も注目のリアルタイムLUT、新機種への搭載に期待
早速、LUMIX S5IIでリアルタイムLUTを試してみました。LUMIX Color LabでダウンロードしたリアルタイムLUTのファイルをSDメモリーカードにコピーし、LUMIX S5IIのメニュー画面からカメラに読み込ませれば準備完了です。撮影時は、フォトスタイルで「リアルタイムLUT」を選び、さらにAFモードボタンを押して好みのLUTを選択するだけでOK。ライブビューを見ながらLUTを柔軟に切り替えられるので、シーンに合わせた表現で撮影できるのが便利だと感じました。リアルタイムLUTは動画だけでなく、写真撮影時も適用できるので、スチル派も見逃せません。
動画の知識や高価な編集ソフトがなくても、プロのクリエイターの表現が楽しめるリアルタイムLUT。現時点では、LマウントのLUMIX S5IIとLUMIX S5II Xの2機種のみで利用でき、それ以外のLマウント機やマイクロフォーサーズ機では使えないのが残念です。
ただ、パナソニックは9月13日に新しいカメラの発表を予告しています。ティザーの内容から、おそらくマイクロフォーサーズ機で、位相差AFに対応した高性能モデルだとみられます。この新機種にリアルタイムLUTが搭載されれば、大いに話題になりそうです。注目しましょう。