スイス・チューリッヒ大学とIntelの研究チームは、ドローン操縦用AIシステム「swift」が、世界チャンピオンレベルの人間にドローンレースで勝利したと発表した。これまで囲碁や、チェスなどでAIが人間を打ち負かすことはあったが、物理的なスポーツでAIが人間に勝利したのは初めてなのだとか。英科学誌「Nature」に8月30日付で掲載された。
「swift」は、強化学習とディープラーニングを組み合わせた深層強化学習を用いて、AIモデルを訓練しているそう。また、ドローンに搭載されたカメラからのデータと、センサーの組み合わせで、ドローンの現実世界での位置を特定し、レーシングトラック上のゲートを検出。この情報をもとに、レースサーキットをできるだけ早く完走するための最適な行動を選択しているのだとか。
「swift」と世界チャンピオンレベルのドローン操縦技術を持つ人間3人が、2022年6月5日から6月13日にかけて特定の順番で通過しなければならない7つの正方形のゲートを備えたコースで、ドローンレースを実施した。
結果「swift」は、人間にほとんどのレースで勝利。それぞれ9レース中5勝、7レース中4勝、9レース中6勝している。また「swift」のベストタイムは、試合中に記録された人間のベストタイムより約0.5秒速く、特にスタートダッシュやスプリットSと呼ばれる「ドローンを半回転させ、全速力で下降するハーフループを行うアクロバット飛行」において、一貫して人間よりも速かったそうだ。
ただし「swift」は、人間のように変動する条件に適応する能力は低く、たとえば照明などの環境条件が変化するだけでもパフォーマンスが落ちてしまうとのこと。
同研究チームは、「自律飛行の技術を進化させることは、ドローンレースに限らず、非常に重要」だとして、「ドローンはバッテリー容量に制約があり、ほとんどのエネルギーを飛行中に消費します。そのため、速く飛ぶことで、彼らの有用性を向上させることができます。森林監視や宇宙探査などの用途では、限られた時間内に広範囲をカバーするために高速飛行が重要です。映画業界では、高速な自律ドローンをアクションシーンの撮影に利用できるかもしれません。そして、高速飛行能力は、建物内の火災に派遣される救助用ドローンにとっても大きな違いをもたらすでしょう」と話している。
ネット上では「早く人間を養ってくれAI」「間違いなく兵器転用される」「まだ人間の方が順応力が高いけど、今後どうなるんだろー」「今の感じだと今後三年で世界がガラッと変わる。人間の仕事が大幅になくなる。。。」「すごいなあ」「ドローンもAI化か」「F1でもそろそろ出てきそうね」などの声が寄せられた。