久々に開催されたインテルのアキバイベントは……雨!
2023年8月26日、ドスパラ秋葉原本店にて『「インテル×ASRock」最新インテル Arc グラフィックス紹介』イベントが開催されました。当日は12/15時の2回行われましたが、12時の会に参加してきたので内容を紹介いたします。
遅れそう! と慌てて会場に到着しまして、なんとか滑り込みましたが……どうも雲もようがおかしい。開始数分前から雨が降り出しましてイベント終了直前までずっと降っていました。
本来は後ろにも見えるように大型モニターも用意されていたのですが、雨のために軒下に入るため、全員が大型モニターを見るのは少し大変でした。
さて、今回のプレゼンはまずインテルの太田仁彦氏のパートから始まり、大きく3つのお題について語られました。
まず「発売当初、あまり性能が出ないとご心配をおかけいたしました」とドライバーのアップデートを説明。Intel Arc発売以降、多数のドライバアップデートが行われており、性能が大幅に向上していたことについて触れています。
機械学習を使った超解像度技術「Intel XeSS」も70以上のタイトルでサポートされ、ドライバアップデートによる性能向上も図られています。
DX9タイトルでは最大77%、DX11タイトルでは最高28%の性能向上が図られているだけでなく、FPSタイトルではフレーム描画速度の遅延が20%縮まったことで、スムーズな表示になったと紹介。
速度向上の著しいものはと見てみると、『CS:GO』や『Apex Legends』と描画速度命なタイトルでこれは期待できそう。「インテルは真面目な会社なので、方向性が定まれば着実にアップデートをおこなっていく」と将来に期待を持たせました。
ASRockの原口有司氏はこれに対し「インテルは内蔵グラフィックスでずっとドライバを提供している。また、他社のGPUを使うとグラフィックスドライバが同居しているが、それによるトラブルもほとんどない」と安定性に関してコメントしていました。
ちなみにインテルはハードウェア会社というイメージが強いですが、ソフトウェア開発にも非常に強い会社で、「インテルのCコンパイラの最適化が進んだことでライバルメーカーの製品も速くなった」という逸話があるぐらいです。
また、GPU関係のツールとして「Intel PresentMon Betaが登場したことを紹介。8月18日に最初のリリースとなる、Beta v0.5が登場したばかりです。
これはGPUが現在どのように動作しているか表示するツールです。特に今GPUがどのぐらい忙しいか表示する「GPU BUSY」は、手持ちのシステムのCPUとGPUのバランスチェックによさそう。
見どころなのは、なんと他社製GPU製品でも使える点。さらにオープンソースなので、他社のアプリケーションにも統合可能だそうです。
Intel GPUが搭載するQSVの高速なAV1トランスコード
2番目に説明したのは、高い圧縮効率と高いクオリティを誇り、採用が進むビデオエンコード方式「AV1」に関してです。
太田氏は、「現在インターネットに流れる帯域の80%が動画関係である」と、動画がインターネットの帯域幅全体を圧迫している現状を紹介。これを解決し、かつロイヤリティフリーとしてAlliance for Open Media(AOMedia)が開発したのがAV1(AOMedia Video 1)です。
H.264の半分、H.265の20%減のファイルサイズに圧縮される一方で画質は高く、コンテンツサイズを下げる方法としては非常に有力な規格ですが、ソフトウェアエンコードが致命的に高負荷(処理が遅くなる)という欠点があります。
インテルはAV1への対応に関してかなり積極的で、Arc 700シリーズだけではなく300シリーズでもAV1をサポートしています(Arc 700シリーズはAV1のエンコードを同時に2つこなせますが、これが活用できるかどうかはソフト次第という回答でした。コンシューマー向けのArc GraphicsだけでなくIntel Data Center GPU Flex 170(参考記事のように、マルチストリームはこのあたりのデータセンター向け製品で使うのがメインなのでしょう。
また、マニアックなストリーム配信としてIntel Deep LinkのStream assistを使う方法を紹介。GPU内蔵のCPUに外付けGPUを搭載しているパソコンの場合、高いGPU性能が求められるゲーム処理は外付けGPUを使用し、比較的処理の軽い動画エンコードを内蔵グラフィックスで行う事が可能です。
ゲーム配信でも、外付けGPUの性能を犠牲にすることなく動画のエンコードを分散処理できます。実際にTwitchでストリートファイター6を動作させながら配信をおこなっていました。
GPU+OpenVINOで生成AIも高速化
最後に生成AIにもIntel Arcが使えることについて紹介しました紹介。生成AIというとChatGPTが話題ですが、自宅でOpenAI GPT-4を動かすことはできません。一方、参加者の中には「自宅でStable Diffusion(オープンソースAIで画像生成をおこなうアプリケーション)を動かしている」という方がいらっしゃいました。
太田氏はOpenVINO上でIntel GPUを使用しStable Diffusionを高速に動かすというデモを実施(参考記事)。CPUでは1分以上かかる表示が数秒で表示されました。
プレゼンでは細かい内容を説明していませんでしたが、Stable DiffusionがOpenVINOの中間形式で出力して、OpenVINOの処理をGPUが実行する設定によって高速化するようです。
デモを眺めてみると確かに高速ですが、思い返すと昨年のInnovation 2022(参考記事)ではGAUDI 2を使って、もっと高速に表示させていたような気がします
処理能力の差はあるとはいえ、基本的なコンポーネントはそろっており、お試しでArc 300シリーズを使ってみて、手ごたえを感じたら上位のArc 700シリーズに移行するのもありとのこと。原口氏は「Arcは他社のように『40シリーズでないと動かない』という事がない」とコメントしてました。
品質重視、そして落ちたレイテンシをクロックアップで対応!
最後に原口氏が、当日発売開始になった「ASRock A770 16GO」のアピールを行いました。型番からわかるように16GBメモリ製品ですが「パソコンでも言われているが、メモリを増設すると速度が落ちる、レイテンシが増える」とポジティブな側面ばかりではないと説明。
GPU製品でも同様ですが、16GB製品は8GB製品よりもメモリをオーバークロックを実施し、さらなるパワーアップを行っているといいます。8GB、16GBどちらの製品もGPUクロックをリファレンスよりも速い2,200Mhzで動作させるのは共通ですが、8GB製品は16Gbpsのメモリクロックに対し、16GB製品は17.5Gbpsに増速させています。
さらに「ヒートシンクに無酸素銅を使用し、ヒートパイプも他社の上位製品並みのグレードのものを使用。グリスもサーバー製品に使うものを使用して塗りなおしの必要なし」と質の高さをアピール。
ボードに関しても「Dr.MOSやプレミアムチョークでコイル鳴きを低減しているし、2ozの銅箔を使った高品位なものを搭載」、ヒートシンクとファンも「他社よりもピッチの狭いフィンと、フィンの抵抗に対応する特許のファン形状。さらに温度によってファンを止める0dBサイレントクーリングで、セミファンレス動作に耐えるようにあえてスリーブベアリングを採用」と、最近GPUが価格競争になっている中で品質重視の製品であることをアピールしていました。
最後に原口氏は、9月30日にも何かしらのイベントがあると予告していました。
今日は久しぶりのオフラインイベントでした。
— ASRock Japan (@AsrockJ) August 26, 2023
一回目は豪雨
2回目は蒸し暑い+ちょぼちょぼ雨
9月30日は旧リナカフェこと、リフォーク秋葉原にてイベントをやります(*'ω'*)
これなら天候に左右されないッ!!!