SSDやHDDなどストレージデバイスでおなじみのSeagateから、初のGne 5(PCI Express 5.0 x4)対応のNVMe SSD「FireCuda 540」が登場した。公称シーケンシャルリード、ライトともGen 4の限界を突破する10,000MB/秒に達する超高速SSDの実力をチェックしてみたい。

  • Seagate初のGen 5対応SSD「FireCuda 540」を試す - 公称10,000MB/秒の超高速仕様の実力とは

2023年初頭から市場への投入が始まった、Gen 5対応のNVMe SSD。Gen 4対応SSDはインターフェース速度の限界からシーケンシャルリード/ライトは7,400MB/秒あたりで頭打ちとなるが、それを突破する10,000MB/秒以上の速度を実現しているのが最大の特徴だ。そんなGen 5対応SSDが2023年の6月末にSeagateからも発売された。

  • SeagateのGen 5対応NVMe SSD「FireCuda 540」

それが「FireCuda 540」だ。1TBと2TBモデルが用意され、最大シーケンシャルリード/ライトは10,00MB/秒と高速だ。コントローラはGen 5 SSDではおなじみのPhison「PS5026-E26」で、NANDフラッシュメモリには3D TLC NANDが組み合わされている。

特徴的なのは、耐久性の高さだ。TBWは1TBで1,000TB、2TBで2,000TBとGen 5 SSDの中でもトップクラス。前モデルでGen 4対応の「FireCuda 530」も耐久性の高さが特徴だっただけに、ここはSeagateならではの強みと言える。そのほかスペックは下記の表にまとめた。

容量 1TB 2TB
実売価格 31,000円前後 51,000円前後
フォームファクタ M.2 2280 M.2 2280
インターフェース PCI Express 5.0 x4 PCI Express 5.0 x4
プロトコル NVMe 2.0 NVMe 2.0
NANDフラッシュメモリ 3D TLC NAND 3D TLC NAND
コントローラ Phison PS5026-E26 Phison PS5026-E26
シーケンシャルリード 9,500MB/秒 10,000MB/秒
シーケンシャルライト 8,500MB/秒 10,000MB/秒
総書き込み容量(TBW) 1,000TB 2,000TB
保証期間 5年 5年
  • コントローラはPhison「PS5026-E26」。Gen 5 SSDでは、これがスタンダードになっている

  • 詳細は公開されていないがMicron製の232層3D TLC NANDと見られる

  • CrystalDiskInfo 9.1.1での表示結果。Gen 5(PCI Express 5.0 x4)対応であることが分かる

  • 健康状態やファームウェアのアップデートが行える「SeaTools」アプリを無償で利用可能だ

  • 別のSSDからのデータ複製やバックアップなどが可能な「DiscWizard」アプリも用意

テストでも10,000MB/秒以上の速度を確認

まずは、CrystalDiskMark 8.0.4で最大性能をチェックしてみたい。用意したのは、今回紹介しているFireCuda 540の2TB版に加えて、比較対象としてFireCuda 530の2TB版(公称シーケンシャルリード7,300MB/秒、シーケンシャルライト6,900MB/秒)も入れている。テスト環境は以下の通りだ。

【検証環境】

  • CPU:Intel Core i9-13900K(24コア32スレッド)
  • マザーボード:MSI MPG Z790 CARBON WIFI(Intel Z790)
  • メモリ:Micron Crucial DDR5 Pro CP2K16G56C46U5(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2)
  • システムSSD:Western Digital WD_BLACK SN850 NVMe WDS200T1X0E-00AFY0(PCI Express 4.0 x4、2TB)
  • ビデオカード:MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC(GeForce RTX 4060)
  • CPUクーラー:Corsair iCUE H150i RGB PRO XT(簡易水冷、36cmクラス)
  • 電源:Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold)
  • OS:Windows 11 Pro(22H2)
  • FireCuda 540のCrystalDiskMark 8.0.4の結果

  • FireCuda 530のCrystalDiskMark 8.0.4の結果

FireCuda 540はシーケンシャルリード/ライトともに10,000MB/秒を超えており、公称通りの性能を発揮した。ランダムアクセスは、RAND4KQ32T1についてはFireCuda 530が上回る。リード、ライトとも1,200MB/秒超えは非常に優秀だ。

FireCuda 540も十分高速な部類ではあるが、RAND4KQ32T1がほかの項目に比べて伸び悩むのはコントローラのPS5026-E26の傾向と言える。同コントローラを採用するほかのGen 5 SSDも同じだからだ。実アプリに影響が出やすいRAND4KQ1T1ではFireCuda 540が上回った。

次はMicrosoft OfficeやPhotoshop、Illustrator、ゲームの起動などさまざまなアプリの処理をシミュレートするPCMark 10のFull System Drive Benchmarkを実行しよう。

  • ExcelのPCMark参照

FireCuda 540の「5,683」というスコアは、もはや驚異的と言ってよい。Gen 4ではハイエンドクラスでも3,000台が多いからだ。それはFireCuda 530の結果からも分かる。アプリの処理速度についても優れた性能を持っているようだ。

続いて、ゲームの起動や録画、コピーなどゲームに関するさまざまな処理をシミュレートする3DMarkのStorage Benchmarkも試そう。

  • Excelの3DMark参照

このベンチマークは、スコアが2,500以上で「Very Good」、3,000以上で「Great」という判定だ。そのため、Gen 4のFireCuda 530でもかなり高いスコアなのだが、FireCuda 540はその1.3倍以上の5,593を記録。ゲームでの利用にも強い。

これだけ高速だと、発熱も気になるところ。最後に温度とデータ転送速度の推移をチェックしておこう。TxBENCHでシーケンシャルライト(データサイズ512MB)を5分間連続して実行した時の温度とデータ転送速度の推移をHWiNFO Proで測定している。ヒートシンクはマザーボード(MPG Z790 CARBON WIFI)付属のものを利用した。ケースに組み込んでいないバラック状態でテストを行っている。

  • マザーボード付属のヒートシンクを利用した。SSDはCPU直結でGen 5対応のM.2スロットに装着している

  • Excelの温度推移参照

  • Excelの速度推移参照

FireCuda 530に比べると20℃ほど高くなる。それでも速度推移を見ると分かる通り、一定以上の温度になるとデータ転送速度を落とすサーマルスロットリングは発生しなかった。しっかりしたヒートシンクを装着すれば動作は問題ないと言える。ただ、試しにヒートシンクを装着しないで同テストを実行したところ、開始1分程度で87℃に到達してデータ転送が止まってしまった。ヒートシンクなしで使うのは避けたほうがよいだろう。

今回のテストはここまでだ。FireCuda 540は、第1世代のGen 5 SSDとして一般的な性能を持ちながら、高い耐久性を実現しているのが最大の特徴だ。5年間の製品保証に加えて3年間のRescue Data Recovery Services(データ復旧サービス)も付与されており、安心感を重視してGen 5 SSDを選ぶなら注目の製品と言える。