米Microsoftは7月13日(現地時間)、新しいデフォルトフォント「Aptos」の採用を発表した。2007年にOfficeのデフォルトフォントを「Times New Roman」から「Calibri」に切り替えて以来、約16年ぶりのデフォルトフォントの変更だ。13日からMicrosoft 365のデフォルトフォントとしてWord、Excel、PowerPoint、Outlookへのロールアウトを開始し、数カ月をかけて全ユーザーに展開する。

フォントはそれを使う人の表現の1つであり、それゆえにデフォルトフォントの場合は派手すぎず、静かに明確な個性を伝えるものが望ましい。その点でCalibriは優れたデフォルトフォントであり続けたが、長い年月を経て「進化させる時期である」と判断して、2021年4月にデフォルトフォントを変更する計画を発表。「Bierstadt」「Grandview」「Seaford」「Skeena」「Tenorite」の5つのフォントを候補に、ユーザーのフィードバックを求めていた。その中で最も支持されたBierstadtを採用し、名前を「Aptos」に変更した。

Aptos(Bierstadt)は、オリジナルのWindows TrueTypeコアフォントやSegoeフォント、AndroidのDroidフォントなどの考案で知られる書体デザイナー、Steve Matteson氏が制作した。20世紀半ばのスイスのタイポグラフィを想起させるサンセリフ体で、明確で太いライン、端がきれいにカットされており、文字の輪郭を形づくる特徴的なラインが小さなサイズで高い可読性を可能にする。

Aptosはカリフォルニア州サンタクルーズの近くにある町で、霧、ビーチ、レッドウッドの木々など豊かな自然を楽しめる。忙しい日常を離れてリラックスしたい人たちが訪れるスポットだ。Matteson氏は創作プロセスで手書きのデザインを重んじており、アウトドアを想わせるAptosと名付けることで、人間味を忍ばせたデザインを表現した。

5つの候補の中からAptosが採用されたが、他の4つのフォント(Grandview、Seaford、Skeena、Tenorite)も引き続き利用できる。Calibriも、Times New RomanやArialなど過去のデフォルトフォントと同様にフォントメニューから選択できる。