日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立)は、7月1日に同社の人気調理家電を発売しました。

なかでも注目の製品が、圧力&スチーム炊飯器の最上位機種「ふっくら御膳 RZ-W100GM」と過熱水蒸気オーブンレンジの最上位機種「ヘルシーシェフ MRO-W10B」。

両製品ともに日立ならではの特徴的な機能で人気ですが、新モデルではなにが変わったのでしょうか? 7月6日に開催されたプレス向け新製品試食会で確認しました。

  • オーブンレンジの最上位機種「ヘルシーシェフ MRO-W10B」(写真左)と圧力&スチーム炊飯器の最上位機種「ふっくら御膳 RZ-W100GM」(写真右)

  • 会場では新機能を使った料理の数々を試食できました。気になる味は……?

日立の炊飯器は初めてIoTに対応! 甘みと粒立ちもさらにアップ

日立の圧力&スチーム炊飯器といえば「外硬内軟」な炊き上がりが特徴。これは、中心までしっかり柔らかいながら、外はプリっと弾力があるご飯のことです。

そして、ご飯の味だけではなく、使い勝手の良さにも定評があります。とくに、炊飯中の蒸気がほぼでない「蒸気カット」機能は、他社フラッグシップモデルにはあまり搭載されない機能。蒸気カットがあるから「棚に収納した状態で炊飯できる」と、ふっくら御膳を選択する人もいます。

このほか、高級機種としては比較的軽い約790gの内釜、給水の必要がないスチーム機能など、特徴的な使いやすい機能が多数あります。

  • 炊飯容量5.5合の圧力&スチーム炊飯器の最上位機種「ふっくら御膳 RZ-W100GM」。サイズは幅248×奥行302×高さ234mm、重量6kg。推定市場価格は99,000円前後

ふっくら御膳は、従来から京都の米老舗「八代目儀兵衛」の炊飯技術を取り入れた炊飯プログラムを採用しています。

新モデルとなるふっくら御膳 RZ-W100GM(以下、RZ-W100GM)は、既存モデルよりも浸水時間を長くすることで、炊飯方法が従来より甘みのあるご飯が炊ける「圧騰甘み炊き」に進化しました。

試食会には八代目儀兵衛 取締役であり、自身も五つ星お米マイスターの資格をもつ松下 祐氏が登壇。「ご飯の美味しさの指標のひとつは『甘み』の強さである」と語りました。

ただし、米の甘みを引き出すには、米の芯まで給水させる必要があり、給水を長くするとご飯全体が柔らかくなってしまいます。これでは八代目儀兵衛の求める「外硬内軟」な食感が再現できません。

そこで、RZ-W100GMでは給水時間を長くするとともに、炊飯の最後に行う圧力をかけた高温スチームによる蒸らし工程を調整。全体の炊飯工程を調整することで「甘み」と「食感」を両立したといいます。

  • 八代目儀兵衛 取締役の松下祐氏

  • RZ-W100GMで炊いたご飯(コシヒカリ)。中心まで柔らかいのに、ハリのある「ふっくら御膳」らしい炊き上がり。粒立ちがよく、口に入れると一つ一つの米がしっかりと感じられます。ご飯をかみしめるとジワッと甘みが口に広がり、米の旨味が後を追いかけてくるのも印象的でした

RZ-W100GMのもう一つの注目ポイントが、日立の炊飯器としては初となるスマートフォンとの連携機能です。

アプリを使うことで本体にはない炊飯メニューを追加したり、外出先から炊飯の予約時間を変更することができます。アプリコースでは煮物などの調理メニューも選択可能です。

  • 日立のコネクテッド家電を管理できる「ハピネスアップ」の炊飯器画面。炊飯コース/調理メニューの選択のほか、炊飯器の炊飯状態や残り時間、保温状態などを表示できます

  • 面白い機能のひとつが炊きかたを自分好みにカスタマイズできる「わがや流」という機能。食後に好みを入力することで、次回はより好みに近い炊飯をしてくれます

  • 購入した米の量を登録すると、炊飯した量を推定して残量を表示する「米在庫管理」機能。米の在庫が設定量以下になると知らせてくれたり、登録した購入サイトにアクセスすることも可能です

焼き物調理がパワーアップしたオーブンレンジ「ヘルシーシェフ MRO-W10B」

日立の高機能オーブンレンジ「ヘルシーシェフ」といえば、上位モデルが搭載する「Wスキャン」機能が特徴的。高級オーブンレンジの多くは、自動調理に食材の表面温度を検知する「赤外線センサー」を利用しています。

Wスキャンは、この赤外線センサーとともに重量センサーもあわせて搭載。より精度の高い自動調理ができるのです。新製品「ヘルシーシェフ MRO-W10B」(以下、MRO-W10B)も、もちろんこのWスキャン機能を搭載した製品です。

  • 容量30Lの過熱水蒸気機能搭載オーブンレンジ「ヘルシーシェフ MRO-W10B」。本体サイズは幅497×奥行442×高さ375mm、重量約18kg。推定市場価格は152,000円前後

ちなみに、重量計は庫内底部にあるため、食材の重量検知ができるのは基本的にレンジ自動調理機能使用時です。多くの家庭では、日常生活においてはレンジ機能を多用するため「普段利用する機能が優秀」なのは嬉しいポイントですね。

  • 新製品MRO-W10Bの庫内。底面のセラミック製テーブルプレートは取り外しできるという珍しい仕様。レンジ加熱時に食材が吹きこぼれても、底面を外して水で丸洗いできるメリットがあります

とはいえ、せっかく高機能な過熱水蒸気オーブンレンジがあるなら、週末や来客時は凝った料理を作りたくなることもあるはず。

そんな要望を叶えるため、昨年モデルから搭載したのが「熱風旨み焼き」機能です。熱風旨み焼きの特徴は、日立独自の「クワトロ加熱」。これはレンジ、オーブン、過熱水蒸気、グリルという、4つの過熱方式を複合的に利用して調理する方法です。

  • 熱風旨み焼きで調理した豚のスペアリブ。レンジ機能で中を素早く加熱し、オーブンと過熱水蒸気で肉を包み込むように加熱して肉汁を閉じ込め、最後にグリル調理で肉の表面を一気にパリッと香ばしく焼き上げます

注目したいのが「レンジ機能」を利用している点。多くのオーブンレンジはオーブン調理時に金属製の天板を利用しますが、レンジ調理において金属は厳禁。このため、レンジは食材の中心を加熱するのに優れた加熱方法にもかかわらず、オーブン調理と併用できない製品が多いのです。

そこで、MRO-W10Bはレンジ調理時に庫内底面に利用していたセラミック製のテーブルプレートを天板として利用。これにより、レンジ、オーブン、過熱水蒸気、グリルすべての過熱方法を一度に利用できるようになりました。

  • 「熱風旨み焼き」使用時は、テーブルプレート焼き網をのせて上段にセットします

  • 「熱風旨み焼き」を使って会場で調理した鶏のモモ肉。皮がパリッと焼けているのがわかります。肉と同時に野菜も調理できるのも嬉しいポイント

従来までは「熱風旨み焼き」で調理できるのは肉料理でしたが、新製品であるMRO-W10Bは魚料理にも対応。複数の過熱方法を利用することで、皮はパリッと、身はふっくらと焼くことができます。

しかも、赤外線センサーが食材の状態をチェックすることで、冷蔵の魚はもちろん、冷凍した魚も解凍せずそのまま美味しく調理可能です。

  • 熱風旨み焼き(魚)のメニュー選択画面。「種類」で魚の状態(切り身、丸身、干物)さえ選べば、あとはMRO-W10Bが美味しく調理。魚の大きさや、冷蔵・冷凍といった状態を設定する必要もなく手軽です

  • 会場で調理した鮭の切り身。「仕上がり:標準(中)」モードだと全体的に薄い焼き色がついています

  • 会場では「熱風旨み焼き」で調理した鮭の切り身と鶏モモの試食もできました。魚は皮がパリッとしているのに身はふっくらと柔らか。鶏モモも身が加熱されすぎずジューシーでした

  • 各食材の調理前はこんな感じです

新製品は「熱風旨み焼き」の魚料理対応のほか、さまざまなオートメニューを強化。新しく肉をしっとり仕上げる「やわらかメニュー」が追加されたほか、従来からある「野菜シャキシャキメニュー」やスイーツメニューも増えています。

  • 野菜シャキシャキメニューで調理したチンジャオロウスー。作り方は、片栗粉をまぶした牛肉と残りの材料を耐熱容器に入れ、MRO-W10Bで「チンジャオロウスー」を選ぶだけ。作り方は簡単なのに、肉は柔らかくピーマンにはしっかり歯ごたえがありました

  • スイーツメニューには新たに、アフタヌーンティーセット アイスボックスクッキー アソートクッキ、オートミールシリアルバー、バナナメープルカップケーキが加わりました。アフタヌーンティーセットはスコーンやカップケーキなど1セットが一度に焼けるそう

今回は日立のフラッグシップ調理家電2製品をチェックしました。両製品ともに、美味しさにこだわった新機能を搭載。試食した料理はいずれも食材の良さをしっかりと引き出している印象です。

そして、製品を実際に触ると再確認するのが、従来からある日立ならではの便利機能の使い勝手のよさ。炊飯器の蒸気セーブや給水レススチーム、オーブンレンジならWスキャンや取り外しできるテーブルプレートなど、毎日使うからこそ嬉しい機能だと実感します。

現在、自宅の家電の使い勝手に不満があるなら、買い替えの候補として検討してみてはいかがでしょうか?