Mozillaは5月2日(米国時間)、偽レビューや信用性が低いオンラインレビューを識別するWebサービスとブラウザ拡張機能を提供する「Fakespot」の買収を発表した。

文章を生成するAIツールの進化によって、見分けるのが困難な偽レビューの増加が予想されている。4月25日にCNBCが報じた「People are using A.I. chatbots to write Amazon reviews」によると、Amazonで明らかにAIチャットボットが書いたと思われるレビューがいくつか見つかっており、自然な文章を書き分けるAIチャットボットが偽レビューや詐欺の次の進化形態となる可能性が懸念されている。

Mozillaは3月22日(米国時間)に、「生成AIをより安全で透明性の高いものにするツール」および「誤った情報を与えないピープルセントリックなレコメンドシステム」を手がけるスタートアップ「Mozilla.ai」の設立を発表した。それに続くFakespotの買収発表であり、MozillaのSteve Teixeira氏は「倫理的なAIと責任ある広告に関する活動を拡大し続けるMozillaに、Fakespotは自然にフィットする」と述べている。

Fakespotは2016年にニューヨークで設立された。AIと機械学習を用いてレビューのパターンや類似性を分析して欺瞞の可能性があるレビューを特定。消費者にとって分かりやすい「A、B、C、D、F」の5段階グレードと、実際のユーザーからと思われるレビューを集計した評価を提供している。分析対象は、Amazon、BestBuy、Flipkart、Home Depot、Sephora、Steam、TripAdvisor、Yelp、Walmartなど。

試しに、Amazon.comで一部の利用者からレビューの捏造が指摘されている製品をFakespotで分析してみたところ、平均「4.5」の高評価に対して、Fakespotのグレードは「C」。分析に基づいて調整された平均評価は「3」だった。3万件以上ものレビューが投稿されているが、レビュー数の増加に不審な変化が見られる。また、詐欺が疑われるパターンのあるレビューが混じっており、Amazonが数千件のレビューの修正または削除を行なっていたことが検出されたためだ。

  • Amazon.comにおけるレビューの平均評価が「4.5」の製品をFakespotで分析、欺瞞が疑われるレビューを除いてFakespotが算出した調整後の平均評価は「3」

Fakespotは分析について「パターンを拾うように訓練されたAIを使用」と説明しているが、レビューシステムを悪用する業者の対策を難しくするために詳細は明らかにしていない。Mozillaは利用者のFakespotの体験を向上させる投資を行い、将来的にFirefoxにFakespotを統合する計画も立てている。また、モバイルアプリ(iOS、Android)やブラウザ拡張機能(Chrome、Firefox)の提供も継続する予定だ。