写真に収めた景色は、肉眼で見るより色や輝きが落ち着いてみえるもの。明暗差が大きい場合には、暗い部分は黒っぽく潰れてしまい、反対に明るすぎる部分は白く飛んでしまいます。そこで露出/明るさを変えほぼ同時に撮影した複数の写真を合成、幅広い明暗差を持つ写真に仕上げようというのが「HDR(High Dynamic Range)合成」の考えかたです。

そのように生成された写真(HDR写真)は、HDRの表示に対応したディスプレイで表示すると真価を発揮します。たとえば、iPhone 11 Pro以降に搭載されている「Super Retina XDRディスプレイ」は、ピーク輝度1,200ニト(ニトは明るさを示す単位)という明るさでHDR写真を表示できます。

逆にいうと、これほどのピーク輝度を持つディスプレイで表示しない限り、HDR写真の輝き感をじゅうぶんには発揮できません。さらにディスプレイの設定次第では、HDRの輝き感を抑えて表示することもあります。

以前は確かにギラギラするほどの明るさで表示されていた、一切変更をくわえていない同じ写真なのにどうして? という場合、iPhoneの設定が影響していると考えられます。

ひとつの可能性は、HDR写真の表示設定を無効化してしまったこと。「設定」→「写真」画面にある「フルHDRで表示」スイッチをオフにすると、HDR写真に記録された明暗差を若干抑えて表示するようになります。

もうひとつの可能性は、iPhoneを「低電力モード」にしていること。低電力モードに切り替えると、Super Retina XDRディスプレイは消費電力節減のためピーク輝度を抑えるようになり、HDR写真の明暗差は穏やかになります。

写真自体にはなにも変更をくわえていないのに、ギラギラとした輝き感があるはずの写真がごく普通に見えるという場合、この2つの設定を確認してみては?

  • HDR写真の輝きが感じられない場合、「フルHDRで表示」スイッチと「低電力モード」を確認しましょう