米Mozillaは、4月11日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなるWebブラウザ「Firefox 112」をリリースした。Firefox 111から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 111では、2023年3月21日にマイナーバージョンアップの111.0.1がリリースされている。111.0.1では、以下の修正が行われた。
・macOS版:状況によっては、ピンチズーム中に でクラッシュする問題を修正 ・Windows版:一部の環境において起動時にFirefoxがフリーズする問題を修正
このマイナーバージョンアップでは、セキュリティアップデートは行われなかった。したがって、今回は、111.0.1からのアップデートとなる。
Firefox 112のインストール
すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。
アップデート後のFirefox 112は、図2のようになる。
新規に、Firefox 112をインストールする場合、FirefoxのWebページ(https://www.mozilla.org/ja/firefox/new/)からインストーラをダウンロードする(図3)。
[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。
画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。
Firefox 112の新機能
続いて、新機能であるが、以下のとおりである。
- パスワードフィールドで右クリックすると、パスワードを開示するオプションが表示されるように
- Ubuntu Linux環境では、Chromium Snapパッケージからブラウザーデータをインポートできるように。この機能は、FirefoxがSnapパッケージとしてインストールされていない場合にのみに有効となる。現在、この問題に対処するための作業が進行している
- タブバーでタブリストパネルを使用していると、そのリストの項目を中クリックでタブを閉じることが可能に
- [Ctrl]+[Shift]+[T](macOSでは[Cmd]+[Shift]+[T])ショートカットでは、閉じたタブを復元することができる。さらに、このショートカットで、同じセッションから再度開くための閉じたタブがなくなった場合、前のセッションが復元される
- ETP(Enhanced Tracking Protection)でのStrictモードに対して、URLから削除される既知の追跡パラメーターのリストを拡張して、クロスサイトトラッキングからの保護を強化
- WindowsのIntel GPUでソフトウェアデコードされたビデオのオーバーレイを有効にする。結果、ビデオのダウンスケーリングの品質が向上し、GPUの負荷が減少した
以下、具体的にみていこう。
ログインなどで、アカウントを入力後、パスワード入力となる。このフィールドにて、右クリックすると[パスワードを開示]のオプションが表示される。
実際には、「●」で伏せられたパスワードが表示されるようになる。サイトによっては、パスワードを表示する「目」のボタンがあるが、これがないサイトでもパスワードの表示が可能となった。
タブリストパネルは、複数のタブを開いている場合などで、右端の「v」ボタンをクリックすると表示されるパネルである。
このリストで、マウスの中ボタン(中ボタンがないマウスでは、ホイールを押下)をクリックすることで、タブを閉じることができる。従来、タブを中クリックすることで、タブを閉じることができたが、タブリストパネルからも可能になった。
セキュリティアップデート
同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベースで22件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が10件、4段階で上から3番目の「Moderate」が8件、4段階で上から4番目の「Low」が4件となっている。
「High」では、
- macOSのWebGLにおいて、境界外メモリアクセス
- Mozillaメンテナンスサービスでの書き込みロックがバイパス
- フルスクリーン通知が隠れてしまう
- Android版Firefoxでフルスクリーン通知が隠れる可能性
- libwebpでの二重フリー
- ガベージコレクターの圧縮後のメモリ破壊の可能性
- JavaScriptコードを含んでいない無効なコード
- フォント初期化コードでのデータ競合
- Firefox 112、Firefox ESR 102.10で修正されたメモリ安全性の問題
- Firefox 112で修正されたメモリ安全性の問題
などが対応された。今回のアップデートで、もっとも危険な緊急はなかったが、数が多い。また、機能的には小粒であるが、細かなアップデートが行われた。早めのアップデートを推奨したい。