マウスコンピューターのクリエイター向けブランドといえば「DAIV」だが、この度装いも新たに新型シャーシを採用したニューモデルが発表となった。「DAIV DD」という名称で登場したこのモデルは一体従来モデルとはどこが違うのか。早速実機を触らせてもらったので紹介しよう。

  • 新型シャーシ採用でエアフローも向上! 装い一新の「DAIV DD」シリーズをくまなくチェックする

    新シャーシを採用した「DAIV DDシリーズ」登場!

迫力ボディと伝統が息づく新デザイン

マウスコンピューターの「DAIV」といえば、クリエイター向けのブランドとして長年愛されてきたことで知られている。従来モデルはノスタルジックな雰囲気の筐体で、メインスイッチをアナログダイヤル風にするなど、個性的なルックスもまた魅力だった。

今回、そんなDAIVシリーズに新たな新型シャーシを採用した「DD」が登場。重厚感のある雰囲気のケースに、最新鋭のスペックを内包し、発表以来注目を浴びている。そんな同モデルを編集部が入手したので、特にシャーシを中心にレビューしてみたいと思う。

本体を見て最初に驚くのは大きさだ。「約W220×D510×H525mm(突起部含まず)」というメーカーの発表そのままに、かなり迫力があるサイズ感で、全身をマットブラックで統一されたデザインはとても重厚感のある仕上がりだ。

「重そう」というイメージはあるものの、フロントにある「取っ手」と、背面の底面側にある「キャスター」によって楽に移動させられるので、むしろ軽快感があるのも特長だ。ちなみに取っ手とキャスターの組み合わせは旧DAIVシリーズから受け継がれたもので、意外に移動することが多いクリエイターPCの使われ方を考慮したデザインとしてユーザーからの支持が多かった仕様となる。いつもの作業時には机の下。社内プレゼンや顧客へのデモンストレーション時にはシャーシごとそこから引っ張り出し、会議室などに運ぶなど、多様なシーンで「使い勝手の良さ」を届けてきただけに、ファンにとってはうれしい組み合わせといえる。

また、外面でいえば今回は底面ダストフィルターや前面フィルターへのアクセスがより簡単になっているのも特長で、底面ダストフィルターは磁力で装着されているので少し引っ張れば簡単に外れてくるのでそのまま洗浄でき、フロントパネルも手で簡単に分離できるので掃除機などでゴミを吸い取りやすいようになっている。オフィスの床近くは意外に埃が溜まりやすいので、定期的なクリーニングに効果を発揮してくれるデザインといえるだろう。

  • ケース上部の取っ手は従来通り掴みやすいタイプ

  • 背面側にはキャスターが取り付けられている。路面を移動させやすいので、サイズ感の割に軽快

  • 上部のカバーをずらすとポート類が出てくる。埃が入りにくい仕様だ

  • フロントパネルを外すとダストカバーが露出する

  • 底面のダストカバーは磁力による取り外し式

ケースの内部はどうなっている?

ケースの中身はこれまでと大きく変わっている。もっとも特徴的なのは電源ユニットが完全にチャンバーに収まり、ケース内のエアフローが分離されている点だ。レンダリングやエンコード等で、長時間フル稼働をする機会が多いモデルだけに、エアフローについては誰もが気にするところだ。従来の底面に電源ユニットが取り付けられている仕様の場合、温められた空気が直接グラフィックスボードに届くことになるため、熱がこもりやすい傾向も見て取れた。電源ユニットを分離することで、グラフィックスには前面から流入するフレッシュな空気が当たることになるので、エアフローはより効率化できるというわけだ。

もう一つ、このモデルでは水冷ユニットが採用できるのも特長で、これの排熱用のラジエターは上部に取り付けられている。熱が上部に逃げようとすることをうまく利用して、冷却を同時におこなう仕様を採用することで、ここにもエアフローを改善するアイデアが採用されているのも好印象だ。ただし、万一のトラブルの際にはグラフィックスボードに致命的なトラブルがあることも想像できるので、定期的な目視チェック等は必須になると思うので注意しておいたほうが安心だろう。

ちなみにストレージ類やケーブル類はフロントから見て右側面に配置されるようになっている。マザーボードの裏側に配置されるのでアクセスは悪いが、ケース内がよりすっきりするのでメンテナンス性は高くなっているといえる。また、エアフローやケーブル類の配置を最適化した恩恵として、搭載できるグラフィックスカードのサイズにも余裕ができたのもメリットだ。実際に、コンシューマ向けのGeForxeだけでなく、RTX Ampereシリーズなどのプロフェッショナルモデルも選べる仕様なので、3DCADなどはもちろん、ディープラーニングなどの開発業務まで視野に入れられることになるため、クリエイター向けモデルでありながら、より使い勝手の幅が広がる仕様になっているといえる。

  • ケーブル類が露出していないすっきりした内部。電源ユニットはチャンバーによって隔離され、エアフローも別系統になっている

  • 水冷ユニットのラジエターは上部に取り付ける方式。定期的にチェックしよう

  • 背面はこのような感じ

今回試用したモデルは基本モデルの「DAIV DD-I9G90」と呼ばれる製品になる。もちろんBTOも可能で、インテル Core i9-13900KF、NVIDIA GeForce RTX 4090、Windows 11 Home 64ビット、64GB DDR5メモリ、M.2 NVMe Gen4 SSD 2TBというスペックとなっている。

第13世代インテル Core iプロセッサーの実力はいまさら紹介する必要もないと思うが、評価機のi9-13900KFは24コア(Pコア数8、Eコア数16)/32スレッドによる圧倒的な演算能力でクリエイターを支援する。特にコア数が必要な演算をさせる場合のパフォーマンスは圧倒的で、他に第13世代インテルCore i7も選べるがこのDDシリーズに限ってはぜひ、i9を選んでいただきたいと思う。

そのほかのパーツ類はもちろんBTOが可能。先ほども触れたとおり、グラフィックスにはデータサイエンス向けのNVIDIA RTX A6000なども選択できるため、パフォーマンス的にはワークステーションに匹敵する実力を持たせているのも特長だろう。GPUコンピューティングで長時間の演算を視野に入れているならRTX Aシリーズ、ハイクロックによる瞬発力ならGeForce RTX4000シリーズなど、用途に合わせて選べるので、作業環境に合わせて仕様を決めるとよい。

ちなみに、これらのハイエンドパーツをチョイスした場合、気になるのは電源ユニットの容量と信頼性だ。せっかくのパフォーマンスを安定して発揮させるには、絶対に高品質なものが必要となるが、DDシリーズの場合1200Wの80PLUS PLATINUMが搭載されるのでその点も安心だ。これなら、高効率のエアフローと相まって、長時間のフル稼働でも安定した実力を発揮してくれるだろう。

新型シャーシにより、より幅広い用途に向けたクリエイターモデル「DAIVE DDシリーズ」。プロフェッショナルが使うコンピューターとして、実に頼りになるマシンだ。気になる方はぜひ、マウスコンピューターのサイトで確認して欲しい。

  • ワークステーションクラスの実力と安定性を両立した「DAIV DDシリーズ」。ハードに仕事をこなすプロフェッショナルにこそ使って欲しいモデルだ