2023年2月7日から19日にかけて、タクティカルシューティングゲーム『レインボーシックス シージ』(以下、R6S)における年間最大の世界大会「Six Invitational 2023」が、カナダ・モントリオールにて開催されます。

2022年シーズンのグローバルランキングにより、日本からは「CYCLOPS athlete gaming」の出場が確定しています。また、1月14日から15日には、「Six Invitational 2023」への出場1枠をかけて、日本3チームを含む11チームによるAPAC地域のクローズド予選が行われます。

今回は、「Six Invitational 2023」に向けて、2022年シーズンの振り返りをはじめ、大会の仕組みや観戦の見どころ、出場する日本チームの情報について、『R6S』公式大会でキャスターを務めるともぞうさんに聞きました。ぜひポイントを押さえて「Six Invitational 2023」の観戦を楽しみましょう。

2022年シーズンの集大成となる「Six Invitational 2023」

――本日はよろしくお願いします! まもなく開催される「Six Invitational 2023」とは、いったいどんな大会なのでしょうか?

ともぞう:「Six Invitational 2023」は、2022年シーズンの集大成となる年間最大の世界大会です。出場できるのは、年間を通したグローバルランキングの上位16チームと、各地域の予選を勝ち抜いた4チーム、合わせて20チームです。

グローバルランキングのポイントが付与されるのは、年に3回開催される世界大会「Major」と、「Major」への出場をかけて争うリージョナルリーグの2つ。これらの大会で好成績を残した16チームが、世界王者を決める「Six Invitational 2023」に招待されます。リージョナルリーグは地域ごとに開催され、日本チームはAPAC Northリーグに属しています。

2022年は、APAC Northリーグに出場する日本チームのうち、「CYCLOPS athlete gaming」(以下、CAG)が2回の「Major」への出場を果たしました。それらの大会で獲得したポイントによって、「CAG」はグローバルランキングで16位に入り、「Six Invitational 2023」への出場が決定しています。

  • 「Six Invitational 2023」出場チームは、グローバルランキングと各地域予選によって決定

  • 2022年のグローバルランキング。ポイントは、リージョナルリーグと「Major」の成績に応じて獲得

「Major」と「Six Invitational」、世界大会の違いを解説したともぞうさんの動画

新体制で挑む「CAG」、次こそグループステージ突破なるか

――2022年シーズンの「CAG」の活躍について教えてください。

ともぞう:「CAG」は2022年、APAC Northリーグのステージ1とステージ3で上位2チームに入り、5月の「Six Charlotte Major 2022」と、11月の「Six Jönköping Major 2022」に出場しました。ステージ2では惜しくも3位となり、「Six Berlin Major 2022」への出場を逃したものの、1年を通してかなり安定した成績を残しています。

「CAG」は、今回で3年連続の「Six Invitational」出場になりますが、これまではグローバルポイントでは上位16チームに入れず、APAC地域の予選から勝ち上がって出場していたんです。それを踏まえると、グローバルポイントでの「Six Invitational」出場確定は、チームとして1つステップアップしたといえますね。

――今回の「Six Invitational 2023」での、「CAG」の注目ポイントを教えてください。

ともぞう:世界大会では、グループごとに分かれて戦うグループステージを突破すると、プレイオフトーナメントに進出できます。「CAG」は2022年よりも前から、何度も世界大会に挑んでいますが、一度もグループステージを突破できていません。あと1ラウンドでグループステージ突破という惜しい大会もあったのですが、なかなか壁を乗り越えられずにいます。

とはいえ、これだけ世界大会に常連として出続けた日本チームは今までになく、3年という長い間メンバーを変えずに戦ってきた「CAG」は、日本の『R6S』シーン史上最強の5人と言っても過言ではありませんでした。

しかし、直近ついにメンバーチェンジに踏み切り、gatorada選手が脱退。新たなメンバーを迎えて、「Six Invitational 2023」に挑みます。新体制の「CAG」が、プレイスタイルを変革してくるのか、そして今度こそグループステージの突破を果たせるのかは、大きな見どころです。

僕は今までの5人が大好きだったので、gatorada選手が抜けて寂しい気持ちはありますが、新しい「CAG」を見てみたいというワクワク感もあります。「Six Invitational 2023」が新体制のお披露目になるので、すごく楽しみですね。

――「CAG」はもともと、どのようなプレイスタイルのチームなのでしょうか?

ともぞう:リスクを取って、ガンガン敵を倒しにいくのが「CAG」のスタイルです。『R6S』では基本的に、特に攻撃側において、一番前でキルを取る人、補強壁を割る人、それをサポートする人と、大きく3つの役割に分かれます。

ですが、「CAG」は全員がどこからでもキルを狙えて、変幻自在に動けるチーム。セオリーどおりの動きをしないので、敵チームにとっては読めない相手です。海外のレジェンドプレイヤーPengu選手も、「こんなリスキーな戦い方で勝つチームがあるのか」と驚いていたほど。海外のアナリストからも注目される、独特なスタイルです。

実は、その独特なスタイルの土台をつくったのは、現在「ZETA DIVISION」VALORANT部門にいるXQQコーチなんですよ。2019年に「CAG」R6S部門のコーチになった彼は、自身の哲学を5人に浸透させ、チームを国内大会優勝や世界大会出場に導いた背景があります。

  • 「CAG」Anitun選手、BlackRay選手、SuzuC選手、Ayagater選手、Fuji3コーチ(※gatorada選手は脱退)

1枠をかけて争う地域予選には、日本から3チームが出場

――「Six Invitational 2023」には、各地域の予選からも4チームが出場するとのことですが、この予選についても教えてください。

ともぞう:「Six Invitational 2023」では、EU、NA、LATAM(ラテンアメリカ)、APACの4つの地域で予選が行われ、各地域1チームが出場権を獲得します。年間グローバルランキングで16位以内に入れなかったチームでも、この予選で1枠を勝ち取れば、「Six Invitational 2023」に出場できるということです。

予選には、オープン予選とクローズド予選の2段階があります。オープン予選はすでに終わっていて、これから開催されるのはクローズド予選。APAC地域のクローズド予選は1月14日から15日に行われ、日本からは「NORTHEPTION」と「Fnatic」、そして「KAWASAKI SCARZ」が出場します。

「NORTHEPTION」と「Fnatic」は、APAC Northオープン予選を突破しての出場です。APAC Northオープン予選からクローズド予選に進めるのは2チームのみでしたが、「DWG KIA」をはじめとする韓国チームを倒し、2枠とも日本チームが獲得しました。

クローズド予選からは、2022年のグローバルポイントや実績に応じたチームが合流します。2022年の「Rainbow Six Japan League」(以下、RJL)のチャンピオンである「KAWASAKI SCARZ」は、APAC Northリーグ入れ替え戦への出場権を獲得していましたが、2023年シーズンから大会形式が大きく変わるため、このクローズド予選に招待されています。

  • 「Six Invitational 2023」の各地域予選の仕組み

――APAC地域の1枠を、日本チームが獲得できる可能性はどれくらいありますか?

ともぞう:6割くらいあるのではないでしょうか。クローズド予選から出場する招待チームのなかでは、「KAWASAKI SCARZ」は群を抜いて強いので、かなり期待しています。

日本チームにとって強敵になりそうなのは、韓国チームの「SANDBOX Gaming」。2022年のグローバルポイントによって、シードでの出場が決まっているチームです。「SANDBOX Gaming」は、韓国の『R6S』シーンで若手の筆頭格と言われているGoodBoy選手、Arukaze選手、Mephi選手を集めたチームですから、警戒したい相手ですね。

――クローズド予選は、やはり日本チームが1枠を勝ち取れるかが見どころでしょうか。

ともぞう:そうですね。「Major」に日本から2チーム出場した実績は過去に1度だけありますが、「Six Invitational」に日本から2チーム出たことはありません。「Six Invitational 2023」には、すでに「CAG」の出場が確定していますから、クローズド予選からも日本チームが勝ち上がれば、日本の『R6S』シーン史上初となる快挙です。

  • APAC地域クローズド予選のトーナメント表

――クローズド予選に出場する日本の3チームは、それぞれどんなチームですか?

ともぞう:まずは、最強のチャレンジャーチーム「NORTHEPTION」。2022年は、国内の2部トーナメントにあたる「Rainbow Six Japan Open」(以下、RJO)で2度優勝していて、2023年からはRJLへの出場が決まっています。

メンバーチェンジの影響で、チームの完成度は高くありませんが、若手の二枚看板であるNina選手とShuReap選手の撃ち合いがとにかく強い。新しく入ったyuKiz選手も若く、新世代の選手がそろっていて、パワフルさと勢いが魅力のチームです。

続いて、大ベテランのMag選手とRamu選手が率いる「Fnatic」。ベーシックなプレイスタイルでありながら、Chibisu選手とTyopi選手という爆発力を持った若手がかみ合っていて、バランスの取れたチームです。

Mag選手とRamu選手は、2019年の「Six Invitational」で、ベスト4をかけた試合でライバルとして戦っているんですよ。その2人が同じチームのメンバーとして「Six Invitational」に出場するとなれば、世界のファンからも注目されるでしょう。

そして、2022年のRJLで国内のタイトルを総取りした王者「KAWASAKI SCARZ」。完成度が高く、全員が強くて何でもこなせる“ミスターパーフェクト”チームです。カリスマ性のあるキャプテンPyon選手が「世界で結果を出したい」と宣言していて、メンバーもそれについていっている。1日9マップも練習を重ねるストイックなチームです。

「KAWASAKI SCARZ」は、さまざまな戦術に対応できる組織力の高さがあるので、僕が一番「Six Invitational 2023」で見たいと思っているチームです。もちろん、3チームとも十分なポテンシャルの高さがありますから、どのチームの試合を見ても見応えのある内容になると思いますよ。

  • 「Fnatic」Ramu選手、Lily選手、Mag選手、Chibisu選手、Tyopi選手、Siru選手、Phenomeneコーチ

  • 「KAWASAKI SCARZ」Rec選手、Wqsyo1選手、Taiyou選手、Pyon選手、おさかなすき選手、Lua選手、TAKAコーチ

「Six Invitational 2023」優勝候補となる地域やチームは?

――世界では今、どの地域のチームが強いのでしょうか?

ともぞう:グローバルランキングで出場が決まった16チームのうち、6チームがEU、5チームがNA、3チームがブラジル、2チームがAPAC。となると、EUが一番強い地域のように思えますが、地域によって大会の仕組みが少し違っていて、単純に出場チーム数では比べられない部分があります。

2021年は、世界大会のほぼすべてのタイトルをブラジルチームが独占するほど、ブラジル旋風が起こった年だったんです。続く2022年は、それに対してEUやNAチームが対抗策を持ってきて、世界大会の優勝を奪いました。

ところが、11月に行われた「Six Jönköping Major 2022」では、ベスト8のうち半分の4チームをブラジルチームが占めるほど、ブラジルチームが勢いを盛り返してきています。なので、個人的には「Six Invitational 2023」でも、ブラジルチームが強さを見せるのではないかと予想しています。

――絶対王者と呼ばれるようなチームや、優勝候補のチームはありますか?

ともぞう:以前は、EUの「G2 Esports」が圧倒的な強さを誇っていましたが、今は群雄割拠ですね。今年はグローバルランキングの6位くらいまでのチームが、優勝を争う展開になりそうです。僕が考える優勝候補は、グローバルランキング1位のブラジルチーム「w7m esports」。2022年に3つの世界大会すべてに出場している数少ないチームの1つです。

ただし、「Six Invitational」は、ほかの世界大会に比べて準備期間が長く、メンバーを変更して挑むチームも多いんです。なので、順位を予想しづらい大会でもありますね。

よりくわしく2022年シーズンの世界大会を振り返るともぞうさんの動画

国内大会から世界にどうつながる? 2023年からは新形式に

――国内で行われているRJLは、世界大会にどうつながっているのでしょうか?

ともぞう:日本チームは、RJLの年間ランキングに応じて、年に1回行われるAPAC Northリーグの入れ替え戦への出場権を獲得できました。APAC Northリーグの下位チームを含む入れ替え戦を戦って、勝てばAPAC Northリーグに出場することができたんです。ただ、2023年シーズンからは大会形式が大きく変更され、APAC Northリーグがなくなります。

2022年にAPAC Northリーグで戦っていた日本チームは、「CAG」、「REJECT」、「Fnatic」、「FAV gaming」の4チーム。これらのチームは、水曜にAPAC Northリーグの試合、週末にはRJLの試合を戦うという形で、並行して2つの大会に出場していました。

――RJLで勝っても、世界大会に直接行けるわけではなかったんですね。

ともぞう:そうなんです。なので、まずはRJLの年間ランキングでAPAC Northリーグ入れ替え戦の権利を獲得し、入れ替え戦で勝ってAPAC Northリーグに出場。APAC Northリーグで上位2チームに入って、やっと世界大会の「Major」に出場できました。

しかし、2023年はAPAC Northリーグがなくなり、RJLで優勝すれば「Major」に直接出場できるようになります。加えて、オープン予選も実施されるので、RJLに出ていないチームも、オープン予選から「Major」に出られる可能性があります。2023年は、日本チームの世界大会での活躍により期待できる年になると思いますよ。

公式から発表されている2023年シーズンの大会形式

これから観戦したい人向け、ルールや大会観戦のポイント

――それでは最後に、これから『R6S』の大会を観てみたい人に向けて、ルールや大会観戦のポイントのおさらいをお願いします。

ともぞう:『R6S』は攻撃側と防衛側に分かれ、5対5で戦います。6ラウンドごとに攻守を交代し、7ラウンドを先取したチームが勝利します。大会では、Bo1(1マップ先取)、Bo3(2マップ先取)、Bo5(3マップ先取)のいずれかで試合が行われるので、画面上部の表示をチェックして観戦するといいでしょう。

1ラウンドは3分間で、攻撃側は敵チームを全員倒すか、指定の場所にディフューザーを設置して45秒守りきれば勝利。防衛側は敵チームを全員倒すか、ディフューザーの設置を阻止、もしくは設置されたディフューザーを解除すれば勝利です。

プレイヤーが操作するオペレーターは、固有アビリティとサブガジェットの2つを持っています。サブガジェットは同じものを持っているオペレーターがいますが、固有アビリティはそのオペレーターのみが持つ特殊な能力です。固有アビリティは、1オペレーターにつき1種類のみ。これをどう使うかが一番のポイントです。

オペレーターには、必ずカウンターとなるオペレーターが存在します。じゃんけんのようになっているので、両チームの読み合いがおもしろいところ。ラウンドごとにオペレーターを選択するので、どのような読み合いが起きているのか、ぜひ実況解説を参考に楽しんでください。

それから、マップ内の壁や床を壊して射線を通せるのも、『R6S』ならではの魅力です。発売から7年経つゲームですが、いまだに世界大会で「そんな射線があるのか!」と新しい発見があるくらい。大会を観て一撃必殺の射線を覚えたら、自分のプレイにもすぐに活かすことができますよ。

  • 「Six Invitational 2022」の試合画面。画面上部のチームロゴ横にある赤いバーが、マップの取得状況を示している。この試合はBo3で、「CAG」が1マップ先取している状況

  • ラウンドごとにオペレーターの選択が行われ、両チームの読み合いが起きる

  • 壁や床を壊すことで、マップ内に新たな射線が生まれるのもおもしろさの1つ

――ともぞうさん、本日はありがとうございました!

年に1度の祭典「Six Invitational 2023」まもなく開催

日本から3チームが出場するAPAC地域クローズド予選は、1月14日から15日にかけてオンラインにて開催。そして、「CAG」が出場する「Six Invitational 2023」は、2月7日から19日にかけて、カナダ・モントリオールにて開催されます。ぜひ日本チームの活躍を応援しましょう!

■「Six Invitational 2023」開催スケジュール

・LATAMクローズド予選:1月13日~15日(オンライン)
・APACクローズド予選:1月14日~15日(オンライン)
・EUクローズド予選:1月29日~30日(オンライン)
・NAクローズド予選:1月22日~23日(オンライン)

・グループステージ:2月7日~11日(無観客オフライン)
・プレイオフ パート1: 2月13日~15日(無観客オフライン)
・プレイオフ パート2&グランドファイナル: 2月17日~19日(有観客オフライン)

  • 「Six Invitational」で世界王者に輝いたチームは、ハンマーをかたどったトロフィーを掲げる